ついに,山崎有信著「大鳥圭介伝」を購入してしまいました.
原著は古書店で数十万円もするので,あきらめてました.大空社という出版社から,復刻版が出ているのはかなり前から知っていたのですが,これも二万円(!)近く,また,だいたい,いつも品切れになっているので,放置してあったものです.
旭川の市立図書館にはこの原著があるんですが,例によって禁帯出.大鳥圭介が江川塾に入塾するあたりのごく一部は複写しましたが,なにせ,658頁という大著.榎本武揚との関係や武揚その人の記述はほとんど確認することもできずに悔し涙(:_;).
ああ,これでゆっくり読める(^^).
さて,目次をたどっていたら,「北海道石炭鑛の調査」というのがありました.
その中のエピソードを一つ.
圭介がライマンとともに石炭の調査をしていたときのこと.
数日にわたるテント生活で,付近の「清水の澤」の水を沸かして,のどを潤したことから,そこを「湯呑澤」と名付けたそうです.のちに,この「ゆのみざわ」はなまって「いわみざわ」になったと大鳥圭介自身が語ったそうです.
岩見沢市のHPを見ると別のエピソードが書かれています.が,ざっと調べるとさまざまなバリエーションがあるようです.石炭の調査ではなくのちの道路工事の際であるとか,大鳥圭介の名はなくただの役人であるとか,作業員であるとか,また,「湯飲み」ではなく「湯浴み」であるとか....
私としては,やはり,大鳥圭介の「湯飲み」説を取りたい(^^;.
ちなみに,更科源蔵の「アイヌ語地名解」では,別な語源も紹介されています.
アイヌの古老の話として「岩見沢より志文よりのところにクトサンペツという川があって,その川の名を訳して岩見沢にしたのだ」とか.
クトサンペツは知里真志保「地名アイヌ語小辞典」で調べると,どうも kut-san-pet かと思われます.
kut- は「地層が現れている崖」や「岩棚」などをあらわし,san- は「坂」や「棚;棚のような平山」を意味しているそうです.pet はもちろん「川」ね.
san- が,チョット怪しげで,「見る」,「見える」というような意味はどこにもないようです.うーん.
なお,更科氏は「しかし,昔の地図にそういう名の川は見あたらない」と付け加えており,こちらの説はどうも怪しげですね.