2015年1月24日土曜日

99.9%は仮説

 
かなり以前に買って,少し読んで放置してあった本.
少し時間ができたので読んでみた.なぜ途中で放棄したのかが思い出せました((^^;).



著者は,少し物理学を齧ったことのある「ほら吹き」という感じですね.
科学論でもなんでもない.

だいたい,この表題はなんだろう.主語がないではないか.これを読む人は“科学は”という前提で読むだろうという想定なんだろうけど,洒落臭い.
自然科学が扱うものは「取り決め」であり,仮説ですらない(仮説と言えるのは取り決めの上になりたつ「理論」のこと).
自然に存在するモノのうち,ある部分を切り出して「A」と呼ぶ.それが取り決め.別の部分を「B」と取り決める.そうすると「A」と「B」との関係を議論することができるようになる.
取り決めを壊して「わたしのはAではなくA’です」とあとからバラしても,詐術であることには代わりがない.

著者は,世界地図をひっくり返したモノを示して「これはなんでしょう」と,問う.世界地図をひっくり返したモノにすぎないが,著者はそう思うのは頭が硬くなった人だという.

バカ言うんじゃあない.
地図の上が北であることは「不文律(の取り決め)」である.北が上でない場合は「北をどちらと設定しているか明示」しなければならない.そうでなければ,会話が成立しない(地図にもならない).
「オーストラリアでふつうに売っている世界地図」には,方位が示されていないというのかい?

以下,怪しげな法螺話が続きます.

やり口としては,共通の取り決めの上での議論であるはずのことを,次元を変えてしまって(共通の取り決めを勝手に放棄して)「ほら見ろ違うだろ」という.
買う必要もないし,読むこともお勧めしません((:-p).
 

2015年1月22日木曜日

アンモの地球生命史

 
FBの方にも書いたのですが,あまりに面白いので,残しておこうと.

アンモの地球生命史」小川隆章


むかし,「大人の童話」で探ってたのと同じ方向ですか.(^^;

もう,紙版は絶版のようですが,Kindle版は販売されているようです.

エンレイソウ属

 
先日,エンレイソウ属(genus Trillium)の話題がFBであり,「学名の意味が怪しい」と発言してしまいました.
理由は,以前調べたら「わからなかった」からです.

ある日本人が著した「植物学ラテン語辞典」には,Trillium=Tres+Lilium,ということで,「三つの」+「ユリ」であると載っているらしいです.詳しくはどう書かれているのかは未見なのでわかりません.
どうやら,その“辞典”では「Trillium」を最初に使用した学者についても,引用はしていないようです.つまり,「植物学ラテン語辞典」の著者の解釈ということらしいです.

しかし,この説が正しいとするとTri-LiliumなのでTrililiumになるはずです.Trilliumにはなりません.
気になったので,調べてみました.
以前調べた時には,ネット上の情報に限界があって,調べられなかったのですが,今回は少し前進.

まず,エンレイソウ属の学名は(genus Trillium)でよろしいようです.
で,Trilliumの原著者は…予想したとおり,リンネでした.
つまり,genus Trillium Linnaeus, 1753ということです.
以前はここで限界でした.今回ネット上の情報をサーフィンしてみると,Linne (1753)がpdf.化されているのが見つかり,そこから画像を拝借しました.

表紙


問題のTrilliumは,その339-340頁に載っています(解像度が悪いのはご勘弁).

p. 339


p. 340


残念ながら,etymologyについては,載ってませんね.
これが,混乱の原因でしょう.だから,「解釈」せざるを得ないのね.
日本では,Trilliumの解釈は,前出の「三つのユリ」説が主のようですが,外国ではスウェーデン語のtrilling(=3)が語源であり,それにラテン語語尾の-iumを付加したものというのが主なのです(つまり,「小さな三/三つのもの」).

しかし,どちらも「解釈」なのに,解釈であることを明言していないようです.
さて,そうなると探索は,ここで行き止まり.

考えられるのは,外国でいわれているスウェーデン語のtrillingのラテン語化(リンネはスウェーデン人)か,誤植かです.ただし,書籍の方ではTRILLIUMというのは複数回でてきますから,単純な誤植ではないと考えるべきでしょうね.

むかし,イチョウの学名が,なぜ Ginkgo であって Ginkyo でないのかを疑問に思った地質学者が,原標本のラベルを調べに外国までおもむいた話を思いだしますが,わたしにはそんな力はありませんので,ここまでですか((^^;).


ところで,リンネ以前はなんと呼ばれていたかというと,Solanum triphyllum (=三葉のナス)のようですね.リンネ分類ではエンレイソウ属はナスの仲間ではなく,ユリの仲間なので属名を創設したということですね.