地質学雑誌の広告に釣られて発注したが,届いたらとんでもない代物だった.
著者らは,きっと地質学史の基礎や地史学の基礎を知らないのだろう.
たぶん,英語も.
授業の資料に使えるかと思って購入したが,使用するなら全ページにわたって説明してあげないと学生さんは混乱するばかりだろう.よって,不可.
第三紀は廃止になったとか書きながら,「古第三紀」や「新第三紀」を使うなよ.地質学って「本当に滅びたんだなあ」と実感する.
これ以前に,「The Concise Geologic Time Scale」の和訳本「要説地質年代」がでていた.
これの素晴らしいところは,「日本地質学会」の“誤訳のススメ”なんかものともしていないところ.
Paleogene Periodを「旧成紀」,Neogene Periodを「新成紀」とキチンと訳しています.
個人的には「旧(古)獣紀」,「新獣紀」のほうが好きですが.
購入した時には,「顕生累代」とペアになる用語に「先カンブリア時代」を採用してあって,ガッカリしたのですが,今回の「地球全史スーパー年表」よりは,はるかにまし.
「顕生累代」を使用するなら,ペアになる言葉は「隠生累代」になるべきなのは,理の当然.
「先カンブリア時代」なんてのは,カンブリア紀以前は研究対象ではなかった時代の言葉で,俗語として使うならともかく正式に使うのはどうもね.
でも,「原生累代」,「太古累代」はおかしい.単位が交差しています.
その下に,「新・中・古原生代」や「新・中・旧・原太古代」って,おかしいでしょ(これは,まあ,原著がそうなってるのだから,しょうがないといえば,しょうがないですが).実体がないのに,「古生代」なんかと同列にするのはね~~.