2011年12月26日月曜日

「放散虫」について(チャートとの関係)

チャートとの関係は
a) 図2-6:「白亜紀後期四万十帯の形成過程」(平朝彦,1990「日本列島の誕生」)より

・海底地形:「白亜紀後期四万十帯の形成過程」>これは四国の例
 >北海道の例で説明したいが「ない」>大筋は同じなので,参考に

●図の「1億3000万年前」に注目:中央海嶺で「プレート」が作られる
・玄武岩の熔岩は「ドロドロ」流れる(例:ハワイのキラウエア火山の噴火)
>海中で流れると瞬時に外側が冷やされる>チューブ状になって流れる>「枕状熔岩」の形成

・「富良野採石」:同時期に造られたものが,この上川盆地(富良野盆地)でも見られる
>富良野市にある採石場の跡:壁に見えるウロコ模様>枕状熔岩が重なったもの

・これは「海底火山噴火」の“化石”>噴火の記録が残っている
そこで,石灰質ナンノプランクトンが降っている様子が描かれている>マリンスノー
TVの映像で「マリンスノー」を見たことがあると思うが,陸から遠く離れているので,陸からの砂・泥がとどかない>プランクトンの遺体のみが積もる>海底に沈積して「ナンノ石灰岩」を形成する

●図の「1億1000万年前」に注目:
・こんどは「マリンスノー」として「放散虫」が降っている
>じつは石灰質ナンノプランクトン(=CNP)も「降って」いるのだが,石灰には特殊な性質がある
:ある程度以上深い海では,溶けてしまう>その限界を「CCD」と呼んでいる

・プレートに載って移動している最中に,海底面が深海まで行ってしまう(CCDより深い)
>放散虫は残るけど,CNPは残らない
>積み重なった放散虫は,続成作用によって徐々に「チャート化」する.

●図の「1億年前」に注目:
・徐々に陸地に近づく>陸からの細粒砕屑物(泥)が混じる

●図の「8500万年前」に注目:
・どんどん陸に近づき,陸上からの砕屑物(火山灰/泥)が付け加わる

●図の「7000万年前」に注目:
・プレートが海溝から沈み込んでいる

b) 図2-9「白亜紀後期西南日本の復元」:図2-6の「7000万年前」の拡大図と考えるとよろしい

・大陸棚を伝って落ちてくる「タービダイト」(礫・砂・泥が懸濁したもの)
>春の雪解け水・嵐・巨大地震などが起きると,「タービダイト」が発生する

・当時の沿岸では,長頸竜やモササウルス,アンモナイトなどが泳いでいる>「タービダイト」からは,その化石が発見される:上川盆地では見つからないが,南の富良野盆地周辺や北の名寄盆地周辺では見つかる

・海溝で>プレートは,マントルへと沈み込む
>全部が沈み込むわけではなく,上にのせていた地層を大陸棚に残して行く>「付加する」=>「付加体

>巨大地震が起きたりすると>大陸棚にあった(その昔,Pによって運ばれてきた古い堆積物が,剥落して落ちてくる)>しばしば,「ブロック」として,あるいは構造もわからない「グチャ」として

こういう連続した事件を総合的に図にすると
c) 図2-7:「柱状図」のようになる
一番下に,枕状熔岩-ナンノ石灰岩-徐々にチャートに移り変わり-陸から来た堆積物が増えてくる
・×××山(実名削除)=上川盆地東側あたりで見られるのは「層状チャート」~「頁岩」の部分

こういった「運動」の影でなにが起きているか….
●石油の起源
・大まかな形は,先ほどの海底地形と同じ
・陸上に近いところでは,陸からの植物遺体が集積して「石炭」ができる
●海洋では,プランクトンが大発生>「海山の影響」・「暖流寒流の衝突=潮目」など
>マリンスノーとして沈下>酸素が消費>腐泥の形成
>この有機物が地層中に取り込まれ,より単純な有機物(ケロジェン)に変化し>のちに石油になると考えられている
石炭・石油=エネルギー資源:われわれは,過去の微生物や植物の遺産をつかって文明を築いている.

(このあと,「放散虫化石を取り出しにくいわけ」について説明しましたが,ブログでは省略します)

2011年12月21日水曜日

「放散虫」について(チャートとの関係:プレートテクトニクス)

プレートテクトニクス

「日本付近で起きるプレート境界地震」
3.11以来,こういう図はイヤになるほど見てきたと思う.
>静岡大学防災総合センター教授 小山真人氏のHP(東日本沖で起きた巨大地震について)に原図があります.

・日本近海をいくつかのブロックに分けることができ,そのブロック内では,ほぼ周期的に「巨大地震」が繰り返しているというまとめの図

・基本的には,「ユーラシア=プレート」(大陸地殻)に,「太平洋プレート」(海洋地殻)がぶつかり,そこで下に沈み込む(サブダクション=ゾーンといいます)
>プレート同士の摩擦によってストレスが溜まり,それが開放されるときに「巨大地震」がおきるのだろうということ.

・日本付近では,左上の図のように複数のプレートが複雑に入り組んでいて,おのおのブロックによって力のかかり方が違うから>地域的に起きたかが違う>周期性が異なるのは,置かれている環境が一様ではないから

・巨大地震の周期>100~200年単位:さらに大きなものは500~1000年という間隔になるんだろう
・3.11の地震も,一部では千年に一回という地震であるという人もいる
>数十年単位でも,人間は,すぐに忘れてしまう.千年単位だと「それは起きないこと」と勝手に思ってしまう(高校地学を必修からはずしたからじゃあないですかね…).

●この間の氷河期が終わったのが約1万年前:日本列島に人が住み始め,縄文時代が始まった.
>たとえ千年に一回だとしても,われわれの先祖は,それからだけでも,3.11級をすでに10回経験している.
>10回も!
>歴史を学ばない人間は,何度でも同じことを繰り返す.


平朝彦「日本列島の誕生」より
a)図1-4c:「プレートテクトニクス」
地球全体>世界地図>地球の表面はいくつかのプレートに分かれていて,地球内部から放出される熱エネルギーによって,お互い押し合いへし合いしている.

・ナスカPと太平洋Pとの間に「東太平洋海膨」というのがある
>ここで生まれた「太平洋P」が太平洋を旅して,日本海溝で地殻の底へ沈んで行く
>その沈むときに,「摩擦」が生じて地震が起きる>3.11=「東日本大震災」もその一つ(繰り返し)

b)図1-4a:地球の断面図
>「東太平洋海膨」:ここで,マントル下部から溶けた岩石が浮かび上がる>地表に(海底)にでて冷え固まる=プレートの生成
>次から次へと,岩盤が形成される=>プレートとなって太平洋を移動し,日本海溝でマントルに沈み込む
>プレート同士の摩擦の多いところで「×」印>地震の頻発地帯

プレートの運動は,同時に>大きな海底地形をつくり出す=>図1-4b
>中央海嶺(Pのわき出し口)>巨大な海底山脈
>太平洋を移動するプレート>平坦な海洋底
>海溝(Pの沈み込み口)>極端な深海

=これは現在の「地球の断面図」だが,中央海嶺から海溝までの旅に一億年ぐらいかかっている>逆に言えば,一億年の記録が,じつは,海底に残っていることになる

===================


●記録としての一例:海山=ハワイ島=>天皇海山列
>プレートの旅の途中で「ホットスポット」があると,ハワイのような火山島ができる>古いハワイはどんどん日本に近づいてきている.
「ホットスポット」:最近では,原発事故時にまき散らされた放射能が部分的に作った「高汚染地域」のことをさす言葉として有名ですが,地球科学上では「マントル内部の特別な高温部」をさす言葉で,その地表には「火山島」があることで注目されています.

●天皇海山列

・ハワイ島は,現在活発に活動している火山島
>その横に,マウイ島とか,オアフ島とかの古い火山島がある.
>海上に頭を出していない島>「海山」:まだ沈みきっていない=「ミッドウエー島」or「ミッドウエー環礁」
>そのほかにも,海山がならんでいて=「天皇海山列(Emperor Seamaounts)」と呼
・それらを調べると,ハワイ島から離れるにしたがって古くなり「アリューシャン列島」に近いあたりでは,7000万年前ぐらいになる.
・7,000万年まえ:後期白亜紀の終わりくらい:中生代が終わるのが6500万年前
>はるか恐竜の時代から,ハワイ島はあった


GoogleEarthの写真:海洋底は,ほぼ平らで変化に乏しい>海流が流れている
なにもなければ,スムースに流れるが,所々に「ホットスポット」がのこした海山がある
>海山があればなにが起きるか
=湧昇流=>プランクトンが発生(海底の物質が巻き上げられる)>食物連鎖が開始する
>プランクトンとは?
>ハワイ沖は,世界有数の漁場:同様の場所はみな「良漁場」

2011年12月19日月曜日

「放散虫」について(放散虫とはなんなのか;生命史の中の「放散虫」)

・生命史の中の「放散虫」
地表に生態系ができて,“地球”が成立してから,約五億五千万年.それからのすべての時代の「放散虫」についての説明はできません(わたしにはそんな能力はない&そんなことは求められていないだろうから).

そこで,「地質標本館」の展示から:聴きたい(と思われる)ことに関係する部分についてだけ…

(その前に)
日本にも,昔は「地質調査所」があったんですが,いまはもうありません.地質調査所の業績を中心に展示していたのが「地質標本館」>所管が配置換えになって,つくば市にまだ存在しているはず.

地下資源は「国の基礎」のはずで,その開発及びその技術者の養成は,重要事項だったはず(その点,明治の政治家は偉かった).当時の子どもたちは,現在の大人より「岩石・鉱物」・「化石」(自然全般も含めて)について,よく知っていた.

だが,「海外から安い資源を買ってくれば良い」・「技術者・学者養成も必要ない」という,浅はかな考えが“指導者”の間に蔓延し,日本の大学からは「地質学教室」が消え,地質調査所もなくなった.
そんなんだから,自然災害を警告する(できる)人が減り,市民も「ま,大丈夫だろ」と根拠もなく考えるようになってしまったんと違う?(政府や企業のいうことを「信じていたのに」と,逆ギレする人がいるけど,「警告する人」は「づーっ」といましたよ)

最近は,農業も漁業もいらないという考えの“指導者”が増えているみたいですね>TPP


(それはともかく)
・地質調査所発行「地質ニュース」1997.6
http://www.gsj.jp/Pub/News/n_index/index.html から「1997」年を選び,さらに「6月号/No.514」を選ぶと,ダウンロードできます.

>中に,地質標本館で「付加体の形成と放散虫化石」という展示を始めたというニュースが載っている.
●「ジュラ紀付加体の海洋プレート復元と放散虫化石」(原著者の著作権保護のため「低解像度」にしてあります;以下おなじ)
この図版は,著者である利光誠一さんから上記ニュースと一緒にいただいたもの
>左に地質時代が書いてある:ペルム紀(古生代の最後の時代),三畳紀,ジュラ紀>この上が白亜紀になる
・左側:放散虫化石の電子顕微鏡写真がある>だいたい,写真の位置とでてくる時代が一致している
>上川盆地の××××山(実名削除)のチャートを溶かせば,たぶん,一番上の方にならんでいる放散虫がでてくるでしょう.

●「放散虫の模型の立体写真」>立体視ができる

●「ジュラ紀放散虫化石層序」:本文中のより正確で詳細な部分(「展示」とは性格が異なる).
22: Cinguloturris carpatica:左上ジュラ紀中期の終わりころ~白亜紀の始めころ
21: Stylocapsa(?) spiralis ::一番右;中期ジュラ紀の終わり
20: Tricolocapsa conexa :右から三番目;中期ジュラ紀の中後期
19: Tricolocapsa tetragona :表にはない
18: Tricolocapsa plicarum :右から4番目

>こういったものが,産出していることが確認されている.
>逆に言えば,これらの化石が産出すれば,その時代がわかる.

さて,なぜこのような展示を「地質標本館」でやるのか.
>べつに「放散虫化石」を見せたいからではない

展示の表題「付加体の形成と」付加体とはなにか…
>これが,チャートの存在と関係してくる.

それを説明する前に,PTについて,おさらいをしておきます.

2011年12月17日土曜日

「放散虫」について(放散虫とはなんなのか;生態系の中の「放散虫」)

●生態系の中の「放散虫」
a)「生態的ピラミッド」

・「生態系」というと,よくでてくる図:海の生態系を簡略化したもの
・一番下に大量の「植物プランクトン」があり,それを食べる「動物プランクトン」がいて,それらを食べる「小型肉食者」がいて,さらにそれを食べる「大型肉食者」がいる>「食物連鎖」と表現される
・この図の中では「放散虫」は「動物プランクトン」に含まれる>実際には,こんなに単純ではない
(これは「量的」な概念をあらわしたもの)

b)「海洋の食物循環」(あまりいい図ではないが,時間の関係でこれしか見つからなかった)

・「植物プランクトン」=「珪藻」をイメージしたものでしょう>「動物プランクトン」に食べられる;同時に,「植物プランクトン」は,エビなどの甲殻類に喰われる:同時に小型の魚にも喰われる
・小型の魚・甲殻類は大型の魚に食べられる>それらはもっと大きな肉食動物に:この絵では「サメ」ですが「イルカ・クジラ」などもそう.場合によっては「ヒト」も.
・一方で,それらすべての生物は「死ぬ」>死ぬと分解されて「分解を受け持つ生物」によって>単純な元素・化合物に還元される>それらを「植物プランクトン」が利用する>「ピラミッドというよりは循環系」

ちょっと気になるもの=「太陽の光」が描かれてる:太陽の光は「生態系」には関係ないものなのだろうか.

c)「生態系の概念」

・太陽から来る「光」のほかに…
・地球上のさまざまな要素:これらが,密接に,複雑に関係して「なにか」を作っている
>これが「地球」:普通「地球」というと,右側の三つ「大気」・「水」・「土=岩石」:それぞれ,「大気圏」・「水圏」・「岩石圏」と呼ばれている
>それだけでいいのか:それでは,どこにでもある星に過ぎない>「地球」ではない:生命は存在していない.

「動物」+「植物」+「ヒト」=「生命」>これがなければ「地球」とはいえない(だろう)
・地球物理学者は「地球の年齢は46億年」とかいうが,46億年前の“地球”なんて,ただのチッポケな熔けた星に過ぎない:生命は存在していない.

d)「地球上における水の動きとそれに伴う物質の循環」(西村三郎)
西村三郎:京都大学名誉教授;普及書をたくさん書いている>どれも面白い:10年ほど前に亡くなっているので,だんだん読めなくなる.

・地球上のさまざまな要素がある>水を媒介とした物質の循環を示している
生命もその要素の一つ>地球の営みと生命とは切り離してかんがえられないのだということを示している
>この話は「生物学者の側」からのもの

●「地球の歴史を研究」しているもの立場からは…
>それは「地球の誕生」から説明し始めなければ,ならない…>無理:別な機会があったら,と,いうことで
>ホンの一部:「地質時代における生態系の進化」について

・「隠生累代」>生命の痕跡がほとんどない時代:それでも単細胞生物=微生物はいた>生態系らしきものはない

a)「カンブリア紀の生態系」:カンブリア紀に入ると「無脊椎動物=三葉虫など」が現れる

>「植物」を各種の「無脊椎動物」が喰う:超原始的な生態系ができあがる
>「生態系」ができたとたんに「急速な進化」が始まる>俗に「カンブリア紀の爆発」
>「喰う・喰われる」の関係ができると「効率よく喰ったもの」が「勝ち」.「喰われないで生き延びたもの」も「勝ち」
>すこしでも良いデザインの生きものが多く生き残る:そういうスイッチが入ってしまった

b)「デボン紀の生態系」:デボン紀に入ると,より運動能力の高い「脊椎動物」=「魚類」が出現>魚類は生態系の頂点に立つ

c)「ペルム紀の生態系」:古生代後期になると,海の生態系は,ほとんど完成
>「無脊椎動物」の一部が,すでに上陸を果たした「植物」をおって上陸=昆虫
>魚類から進化した「両生類・爬虫類」が「植物」・「無脊椎動物」をおって上陸
>しかし,古生代の段階では,陸上はそれほど「賑やか」ではない

d)「三畳紀の生態系」:中生代=「爬虫類の時代」
>陸上が賑やかになる:食物の流れは,「植物」から始まるが「草食性爬虫類」に流れるようにシフトした.

・じつは,これでもう地球上の生態系は完成した:現在とまるで同じ
ということは>恐竜は滅びる必要がなかった哺乳類はでてくる必要がなかった
>それなのに変わってしまった>なぜ変わったのか「爬虫類は哺乳類にバトンタッチしたのか」というのは,面白い話題ではあるが,今日の話には関係ないので,別の機会があれば.

●さて,ここで「恐ろしいこと」に気づかないか
・生態系の上位にいる生物は,絶滅しても,代わりがでてきた>例がわかっている
>じゃあ,基礎になっている「植物プランクトン」・「動物プランクトン」が絶滅したら>代わりがでてくるのだろうか:ひょっとしたら,大変なことに…

・明瞭ではないが,じつは,過去にどうやらそういう事態が起きていたらしい.
>個別の絶滅は,いつでも起きているが,複数の分類群が一時に絶滅する“大絶滅”はそのような“連鎖反応”が関係していると考える学者もいる.
・もちろん,そのあと,代わりの「植物プランクトン」・「動物プランクトン」がでてきたのだが,その時代,その「植物プランクトン」・「動物プランクトン」を食べていた生物は甚大な被害を受けるだろう:一時的にしろ食べるものがなくなるし,代わりのものが出てきても,それを食物として受け入れられるかどうかは運次第.
>そういうわけで,連鎖的な絶滅が起きる=「大絶滅が起きる」>もちろん,これによって地層により入っている化石が変わるので,「地質時代がわかる」わけでもあるが….

●地球温暖化が起きると「大絶滅」が発生すると考える学者がいる.
>地球温暖化が起きると海水準が上昇する>浅海が広がる>「植物プランクトン」が大量発生する>海底に大量の有機物が放出される>海底付近の酸素が減少する>海底に生息する生物が絶滅する:この場合は,植物プランクトンが(絶滅したからではなく)異常に増加したから,生態系に異常をきたした例といえる.

=もうひとつ=
・地球上の生態系が始まって以来,生態系の基礎を支えているのは「植物」>主に「植物プランクトン」
>かれらがいなかったら,われわれは存在していない.

・われわれがいま呼吸している空気中の酸素は「地質時代」をとおして「植物&植物プランクトン」が生産してきたもの.
>より正確にいうと,植物プランクトンが生産した酸素が上空でオゾン層を作り,これが紫外線を遮断したため,生物が浅海に侵出できた
>浅海で効率的に酸素を発生するストロマトライトが繁栄した(正確にいうと,藍藻類が作り出す層状構造の岩石を「ストロマトライト」という)
>これが,現在の多くの酸素を含んだ大気の基礎を作った.


(蛇足)植物P・動物Pといえば,「単細胞生物」>単細胞といえば…「単細胞なヤツ」といえば,悪口>しかし,バカにできないものなんです.
そうえば「化石」もおんなじで,「化石のようなヤツ」>これも悪口ですね.
わたしら,「悪口の対象」ばかり研究している(^^;

2011年12月15日木曜日

「放散虫」について(放散虫とはなんなのか;生物としての「放散虫」)

わたしは,化石放散虫を扱っていました.そのため「生物としての放散虫」については,まるでわかりません.
「石灰質超微プランクトン」の生態なら,調べたことはありますけど….

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ところで,19世紀から微生物としての「放散虫」が知られていました.

エルンスト=ヘッケル(Ernst Haeckel)の観察が有名.
ヘッケル:「個体発生は系統発生を繰り返す」と,いう言葉で有名な学者>個体が成長するときには,進化の道筋をたどるように見える:この学者の背景は,科学史として興味深いものがありますが,今回のテーマには無関係なもので省略.

・生物としての「放散虫」
a)ヘッケルのスケッチ1>「タケノコ型」

b)ヘッケルのスケッチ2>「玉型」
この絵は,Wikipediaで「放散虫」を検索すれば,そこにある.ほかにもたくさんあるので,興味のある人は検索してダウンロード.

いずれも大変に「美しいもの」です.と,「お茶を濁す」((^^;)

2011年12月14日水曜日

「放散虫」について(放散虫とはなんなのか;微化石としての「放散虫」)

●放散虫とはなんなのか
・微化石としての「放散虫」

a)「主な海生微化石群の生息時代」(from Haq, B. U. and Boersma, A., 1978):配布したのは日本語化したもの.

・縦に「地質時代」>横にいろいろな「微化石」:つまり>どの時代の地層から「どんな微化石がでるか」を表したもの.

・「微化石の種類」>なんだかわからないものもありますが,大部分は単細胞生物です.
 >「微化石」の意味は,単に「顕微鏡サイズ」を意味しているだけであって,「生物としての分類」には,関係がない(「示準化石」として扱う場合,じつは「生物ですら,なくっても」かまわない).

しかし,そういう「実用的」なところを離れて眺めれば…,
1)簡単に言えば,岩石の中には,こんなにも「生命の痕跡」がある
2)「放散虫」を含めて,多くの微生物は,古生代の始めからいて,(地球上の生命として)われわれの大先輩にあたる(「『ヒト』なんて最近生えた『カビ』のようなもの…」って,「カビ」も立派な大先輩です(^^;).

・メジャーなもの
・「放散虫」,「珪藻」,「有孔虫」,「石灰質超微プランクトン」
>「有孔虫」,「石灰質超微プランクトン」は,骨格がCaCO3=炭酸カルシウム=石灰からできている
>「放散虫」,「珪藻」は,骨格がSiO2=シリカ=ガラス質骨格からできている

b)「主な微化石=微生物」:四大微化石
・並べ方に意味があります
上二つ:珪質微化石,下二つ:石灰質微化石
右二つ:大きい(0.1~0.4mm),「石灰質ナノプランクトン」は:小さい(0.02~0.04)>珪藻は,大きいものは放散虫・有孔虫に匹敵するぐらい>大部分は「石灰質ナノプランクトン」と「放散虫・有孔虫」の間くらいの大きさ.

大きいものは,筆などで「拾い出す」ことが可能(昔は,トラの髭で釣ったとか)>「石灰質ナノプランクトン」は不可能.

・いずれにしても,非常に「美しい」もの
学生時代(大学院):処理し終わった微化石のプレパラートを,顕微鏡で,一晩中眺めていても,飽きなかった.
なにを?>地層の中での「化石の分布」,「種類」を調査>それがなにを意味するか

「放散虫」について(前振り)

===「前振り」1===


●地質年代表:(一般市民相手なので,大まかな「地質年代表」を示し,概説しました)
・大学で授業をおこなうときには,必ず一コマは当てます;地学を専攻している学生の場合は二コマ.
 地質学に関係した事項を説明するときに必ず必要になるから>地質時代の名称とその長さ・古さに注目


・「地球の歴史全体」の表
・累代>「隠生累代」と「顕生累代」
 「隠生累代」:生命の痕跡がほとんどない>生命が隠れている時代
 「顕生累代」:生命の痕跡がたくさんある>生命が顕著な時代
・「顕生累代」を拡大>「古生代」・「中生代」・「新生代」に分けられている
 「古生代」:古いタイプの生物の時代=主に無脊椎動物の時代
 「中生代」:中くらいのタイプの生物の時代=爬虫類の時代
 「新生代」:新しいタイプの生物の時代=われわれ「哺乳類」の時代

・中生代:「三畳紀」・「ジュラ紀」・「白亜紀」に分かれている
 「ジュラ紀」:映画「ジュラシック・パーク」以来,市民権を得ている>でも,実際に出演した恐竜は,ほとんどが「白亜紀」のもの.

・「新生代」:「第三紀」・「第四紀」に分かれている
 「第三紀」が二分>「古いタイプの哺乳類」と「新しいタイプの哺乳類」の時代に分離
 「第四紀」:われわれ「人類の時代」
 こういう概念ができてから,かなり時間が経っている:人類の化石の発見が相次ぐ>人類の時代の始まりが古くなっている:表が再編成されている最中>もう,「第三紀」は使われなくなる

===「前振り」2===


●「町内の自然を歩く」:6~7年前,町内の子どもを集めてやった,イベントの資料(「絵はがき」仕様)
 >町内で見ることができるものだけで,どのくらい時間を遡ることができるか
 >サブタイトル「ご町内は,タイムマシン」
 子どもは,もうそんなことには興味がない>「恐龍」より「モンスター」の時代
 >>没>>…(^^;



●「神居古潭」の岩石:上川盆地内では,古くからある家では,庭石として普通につかわれている
●1/50000地質図:「旭川」&「当麻」を提示
 「青色片岩」と「緑色片岩+黒色片岩」は,上川盆地の東側では見られない
 「赤色チャート」は普通に見られる.

「放散虫」:上川盆地では,じつは珍しくないもの>ほぼ,いつも見ているのに気付かない>微化石の微化石たる所以

●赤色チャートの絵はがき
 チャート自体は,上川盆地の住人には見慣れたもの:
(絵はがきの)左下:チャートを薄片にして岩石顕微鏡で見たもの
  >白い粒>「放散虫化石」(大きさ0.1~0.4mm程度)

(絵はがきの)右下:チャートを溶かして洗い電子顕微鏡で見たもの
  >スポンジ状:丸いもの,三つの枝,タケノコ…
  >うまく処理すれば,見ることが可能

===「前振り」3===


もう一つの例●新生代放散虫化石
こちらは,上川盆地ではなくて,空知平野の河原に普通にある泥岩からとりだしたもの:わたしが学生(大学院)のころやったもの(30年ぐらい昔に撮影した「銀塩」写真)

●放散虫写真
 新生代(哺乳類の時代):数百万年前(ごく新しい)>母岩が軟らかい
 >取り出すのは,そんなに大変でない;保存が良くて,表面がきれい

二枚ずつ写真がならんでいる:立体写真ではなくて,顕微鏡サイズでは大きい>厚みがあるのでピントが全体には合わない>中心部の構造がわかるものと外側の模様がわかるものと…

●形に注目
右側:“球”形:中に別の玉が入っている>三重構造
右下はだいたい球形;上下に棘>縦に長い>この中にも玉がある

左;“タケノコ”型
左上:小さい玉(上に棘)>少し大きな玉が続き>さらに下に向かって開いている
左下:似たような形>棘が折れている;折れているけど足がある
(下にくっついているのは,珪藻の殻)

“玉”型と“タケノコ”型は,放散虫の大きな分類基準

「放散虫」について

先日,上川盆地内の某所で「『放散虫』について」という題でお話ししました.
某所といって場所を明示しないのは,受講者の一部が「街おこしのヒント」にしようと考えているらしいので,差し障りがあるかもしれないからです.

ただ,こちらとしても,ある程度時間をかけて話をまとめたものなので,そのままにしておくのはバランスシートがあわないので,記録として残しておくことにしました.

話の筋は以下のようです.
なお,大見出しは先方からいただいた題です.

===
●放散虫とはなんなのか
・微化石としての「放散虫」
・生物としての「放散虫」
・生態系の中の「放散虫」
・生命史の中の「放散虫」
●チャートとの関係性は
・プレートテクトニクス
●放散虫を取り出すことが難しい訳
・続成作用
・化石化作用

===
しばらくの間,ブログ的に編集して掲載するつもりです.

2011年12月13日火曜日

断念;無顎類が面白い

ホントに,無顎類は面白いです.
が,適切な論文が見つからないままに,ネット上の頁を信用して始めたら,先に進めなくなりました.
「はしごを登ったら,はずされた」状態ね.

もっと整理して,仕切り直して,後日再挑戦をおこないたいということで,とりあえず,断念します.