2016年5月13日金曜日

「北海道地質総論」の用語

 
ブログ更新,とどこおってますが,ちゃんと生きてます.(^^;

現在,來曼(1878)「北海道地質総論」をテキスト化中.で,忙しいのです.d(^^)
ほかに,この地方には雪解けとともに片付けたり,準備したりしなけりゃならないものがたくさんありますもので.(^^;;

de,「北海道地質総論」
その中に,見慣れない用語がたくさん出て来ますので,ちょっと紹介.

まずは,「煤炭」.これは,現代の言葉で「石炭」のこと.
日本では江戸時代から「石炭」という言葉が使われていましたが,明治にはいって「煤炭」が用いられるように.これは中国の「煤炭[méi-tàn]」の借用語.なぜ,明治期に入って使われるようになったのかは不明ですが,すでにライエルの「地質学の基礎」が「地学浅釈」として中国語訳されてますので,その影響かも知れません.
つぎは「骨状煤炭」.
これは「bony coal」の和訳.なぜbonyなのかは置いといて((^^;),これは「劣質炭」を意味します.
蛇足しておけば,これは英語ではなく米の地質屋スラング.

さて,普通に出てくる堆積岩.細かい方からいくと….
「舎兒」.中国語では「家の子」という意味らしいですが,この場合は違います.
「舎兒」=「シャー・エル」つまり「シェール[shale]」のこと.語源はチョットわかりません.調査中です.
つぎに「坭石」.「坭」は「泥」の旧字.すなわち「坭石」は「泥岩[clay stone]」のことです.
も少し粗くなって….
「沙石」.「沙」は「砂」のこと.なお,英語版のLyman (1877)では「sand rock」になってます.
さらに粗くなって….
「粗糙(そそう)沙石」.「粗」は普通につかいますが,「糙」とは「黒米」のことらしいです.でも,この場合は「粒」を表してるんだろうとおもいます.つまり,「粗粒砂岩」のこと.英語版では「coarse sand rock」になってますね.
もっと粗くなります….
「石子」.「石子」ってなんだろうと少し悩みましたが,英語版を見ると「pebble」になってました.「小礫」のことでした.
面白いのが,
「豆大豆子層」.なんじゃろうと思いましたが,英語版では「Bean size pebble rock」.なるほど((^^;).

で,堆積物の中に「雲母[mica]」が目立つと…「枚格状=micaceous」とありました((^^;).

さて,色の道はむつかしい…((^^;)と,いいますが….
「銷泐變棕色」.わかんね~((^^;).読み方も,どこで切るのかすら?((^^;). 
では解析.
「銷」は音読みでは「ショウ」,訓読みでは「と・ける,け・す」と読みます.
「泐」は音読みでは「リョク,ロク」ですが,現代日本では使用しませんね.で,中国語辞典を見ると「石が筋に沿って割れる;書写する;彫る」など.
「變」は「変」の旧字です.
で,最後の「棕」ですが,「シュ」と読むらしいことはわかるのですが意味がわかりません((^^;).

でもなんとなく,「銷泐」が風化して脆くなったもの.「變棕色」は色らしい,ということは推測できます.
で,伝家の宝刀(でもないですが(^^;)を見ると該当する個所には「weathering brown」がありました.なるほど,“風化した茶色”ですか.