理由は,以前調べたら「わからなかった」からです.
ある日本人が著した「植物学ラテン語辞典」には,Trillium=Tres+Lilium,ということで,「三つの」+「ユリ」であると載っているらしいです.詳しくはどう書かれているのかは未見なのでわかりません.
どうやら,その“辞典”では「Trillium」を最初に使用した学者についても,引用はしていないようです.つまり,「植物学ラテン語辞典」の著者の解釈ということらしいです.
しかし,この説が正しいとするとTri-LiliumなのでTrililiumになるはずです.Trilliumにはなりません.
気になったので,調べてみました.以前調べた時には,ネット上の情報に限界があって,調べられなかったのですが,今回は少し前進.
まず,エンレイソウ属の学名は(genus Trillium)でよろしいようです.
で,Trilliumの原著者は…予想したとおり,リンネでした.つまり,genus Trillium Linnaeus, 1753ということです.
以前はここで限界でした.今回ネット上の情報をサーフィンしてみると,Linne (1753)がpdf.化されているのが見つかり,そこから画像を拝借しました.
表紙
問題のTrilliumは,その339-340頁に載っています(解像度が悪いのはご勘弁).
p. 339
p. 340
残念ながら,etymologyについては,載ってませんね.
これが,混乱の原因でしょう.だから,「解釈」せざるを得ないのね.
日本では,Trilliumの解釈は,前出の「三つのユリ」説が主のようですが,外国ではスウェーデン語のtrilling(=3)が語源であり,それにラテン語語尾の-iumを付加したものというのが主なのです(つまり,「小さな三/三つのもの」).
しかし,どちらも「解釈」なのに,解釈であることを明言していないようです.
さて,そうなると探索は,ここで行き止まり.
考えられるのは,外国でいわれているスウェーデン語のtrillingのラテン語化(リンネはスウェーデン人)か,誤植かです.ただし,書籍の方ではTRILLIUMというのは複数回でてきますから,単純な誤植ではないと考えるべきでしょうね.
むかし,イチョウの学名が,なぜ Ginkgo であって Ginkyo でないのかを疑問に思った地質学者が,原標本のラベルを調べに外国までおもむいた話を思いだしますが,わたしにはそんな力はありませんので,ここまでですか((^^;).
ところで,リンネ以前はなんと呼ばれていたかというと,Solanum triphyllum (=三葉のナス)のようですね.リンネ分類ではエンレイソウ属はナスの仲間ではなく,ユリの仲間なので属名を創設したということですね.
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