2016年7月4日月曜日

思いだしたこと

 
ここ半月くらいの間で,上川盆地関連の論文を数十単位で読んだ.
そこで思いだしたことがある.

それは,化石が産出したぐらいでは地層の時代は決まらないこと.
大げさにいえば,すでに時代は「生層序学の終焉」を迎えていたということ.
それで,多くの生層序屋が限界を感じたんだな.

「オリストストローム」,「メランジ」,「付加体」…,これらの概念が生層序学を吹っ飛ばした.
たとえば,「Aという地層の中に含まれている石灰岩からαという化石を産出した」…むかしは,そのαという化石が示す年代をそのまま,「Aという地層」の年代としていた.
ところが上記の概念によって,その石灰岩は「別なところから運ばれてきた」ものであり,地層の年代は示していないという厄介なことになったのだ.

結局,その石灰岩は異質な岩体であるから,石灰岩の「母岩となっている地層と同時代の化石」を探さなければならないのだ.それには,緻密な地質調査とある程度の実験施設が必要になった.母岩を破壊し,中の微化石を抽出しなければならないからだ.
母岩から僅かな微化石が産出したとしても,対比すべきスタンダードが「正しい」のか再検討・確認しなければならないし….模式地の検討が遅れていれば,それで終わり….海洋底堆積物に含まれる微化石がスタンダードとなったが,それはせいぜいジュラ紀ぐらいまでしか遡ることは出来ないし….

つまるところ化石学は,アマチュアにはつまらない学問と化した.むかしは,アマチュアでも発見すれば科学に貢献できたのだが….
科学の他の分野では「ビッグ・サイエンス化」に伴う一般人の科学離れがおこっていたが,それとおなじことが化石の世界でも起こっていたわけだ.

しかし,よく考えれば,かなり以前から「タービダイト」という概念はあった.大陸棚にいったん溜まった堆積物やそこに生息していた生き物が大陸斜面を滑り落ち,そこに落ち着いたわけだから,厳密には地層が溜まった時代と化石の示す時代は…すでに同じではなかったわけだ.
同様に「現地性化石」,「異地性化石」という概念もあった.まあ,この場合だって「ほとんどの化石は異地性」だったし….
とはいえ,地質学的には,ほぼ同時代で済ましていたんだな.

古生代の化石が石灰岩とともに,白亜紀の地層に紛れ込んでくるとなると「だいたい同じ」ではすまないし….

さて,一番の問題はそういうところも含めて「ジオパークは面白い」と見せる(魅せる)ことができるかなんだが…(^^;;;.


 

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