2013年3月15日金曜日

コンクラーベ?

 
コンクラーベが終わったそうです.

コンクラーベといえば,トム・ハンクス主演の映画「天使と悪魔」で,詳細に再現されていましたので日本でもよく知られるようになりました(じつは,REGZA+HDDに入れてあるので,なんども見ています).
トム・ハンクスは名優なのかどうか,私にはわかりませんが,彼が出ている映画は,どれもよくできていて,見ていて飽きないです.好きですね.

中学校の時の社会の先生が「コンクラーベはなかなか決まらないので“根比べ”だ」というジョークを飛ばしていました.もちろんこれは,だだのオヤジギャグです.

さて,でも「コンクラーベ」という言葉は,よくわからない言葉です.
「なにが?」って,なにもかも.
だいたい,何語なのかもよくわからない.

英和辞典には,conclaveとして「1)秘密会議;2)教皇選挙会議;3)枢機卿団」となっているのが普通です.これはもちろん,2)が元の意味で,ほかはそれから派生した,英語圏で使われる言葉の意味なのでしょう.
で,英語では「カンクレイブ」と発音しますから「コンクラーベ(というカタカナ語の語源)」は「英語」ではないことが明らかです.

では,教皇選挙会議を意味する言葉なのなら,イタリア語かラテン語であることが考えられます.
しかし,ラテン語では[v]は「ヴ」とは発音しませんので,イタリア語でも(たぶん)しないと思う(私は,イタリア語は知らないので判断できません.知ってる人がいたら教えて欲しい(^^;).
例によって,日本に蔓延している「よくわからないカタカナ語」のひとつなのかもしれません.
“日本人”はこういうわけのわからないもの(を強制するの)が大好きですからね.使えない受験英語を何年にもわたって学校で教えているし,実生活では使用頻度の著しく低い数学や物理の一分野を「受験数学」,「受験物理」として強要してますからねえ.
そのくせ,命を守る地学なんてものは教えない…(我田引水(^^;)


さて,閑話休題;真面目にいきましょう.
羅英辞典には,「conclave = a room, chamber」とでています.英和辞典とはまったく意味が違いますね.

このconclaveは,じつは合成語として理解することが可能です.ちょっと,強引ですがやってみます.
  conclave = com-clavis =「伴って」+「閂」:となります.

com-は接頭辞で「b, h, l, p, r, w以外の子音字の前でcon-となる」ですから,-clavisの前ではcon-になるわけです.
claveはclavisの変化形(と辞典にはでている)なのですが,こういう変化というのは,日本人には,簡単には理解できませんね.だいたい説明もろくにないし.
ただ,初期ラテン語ではこういうことがあったらしい.「訛り」とでも考えておきますか((^^;).
ところで,clavis (クラーウィス)は,もとはギリシャ語で[ἡ κλείς] > cleis《ラテン語表記》であり,意味は「横木.閂」のことです.


さて,
「閂を伴って」>「鍵をかって」ですから,1)「部屋」という意味を持つのは理解できますね.必然的に“カギをかった部屋は”>2)「密室」という意味を持ちますね.
次に,密室でやるのはだいたい悪いことですが((^^;),3)「秘密会議」もしくは「重要会議」につかわれるのも理解できますね.
ラテン語自体は完全に死語ですが,ヨーロッパでは,高級言語として宗教界や学門の世界で使われてきました.たぶんそれで,このconclave(コンクラーウェ)は枢機卿会議;それも教皇を決める特別な会議を指す言葉として使われるようになったのでしょう.


ところで,claviculaという言葉があります.
  clavicula = clavi-cula=「棒の」+《縮小詞》=「小さな棒」>「鎖骨」

ということで,解剖学用語の「鎖骨」を意味する言葉として使われています.
これも,我田引水((^^;)

 

0 件のコメント: