2011年2月23日水曜日

学びなおすと地学はおもしろい

       

 
 なにかの書評で,「せんべいの力学」の絵のホンワカに惹かれて,購入してしまいました.
 まだ,こういう本が成立することが,不思議な気がしますけどね.

 わたしらは,「学びなおさなくても」=「現状のままでも」地学はおもしろいと,思ってますから(^^;.

 「はじめに」と「第1章」は,まったくその通りだと思います.高校ぐらいまでは,理科は「地学」だけで,必要十分です.受験テクニックなど忘れて,地球のおもしろさを,授業で充分に味わってほしいものだと思いますね.

 2章以降は,易しさと難しさが,カオス状態.
 ま,地学≒地質学は教科書で勉強するんじゃあなくて,そこにある地球の一部を使って勉強するのが本当ですから,カオスは仕方がないですね.

 気になったのが断層の話.
 「フォルト」は著者のいうように「失敗」の意味です.日本語で「断層」と訳すのは「意訳」です.
 もともとは,英国の炭田地帯で炭層に沿って狸堀りしていたら,炭層が見あたらなくなったので「フォルト=失敗」でした.
 なくなったからといって,あきらめるわけにはいかないので,「フォルト面」に(そのまま)沿って掘り続けると,また,炭層に再会します.これが「ノーマルな失敗=ノーマル・フォルト」.
 なかなか,炭層に再会しないので,しょうがないから(フォルト面を)逆に掘ると出てくるのが「リバースな失敗=リバース・フォルト」.
 もともと,「地層が切れている=断層」という意味はありません.
 ノーマルとリバースの語源は「学びなおすと…」の著者が推定しているようなことではありません.
 層位学ができてから,ようやっと,「地層が切れている」という概念が後付けされたのです.

 だから,妙なことも起きます.
 今は「横滑り断層」なんて,妙な言葉もありますが,本来はあり得ない.なぜなら,横に滑っただけでは,炭層はちぎれていないので,そのまま掘り続けることができます.だから「失敗=フォルト」ではない.

 このブログのどこかでも,いちど書いたような気がします.
 でも,20人/日程度の読者のブログでは,教授の著作には太刀打ちできませんね.


 説明すると,必ず,その説明とは矛盾する事例がでてくるのが地学.
 この本は,説明しすぎのような気もしますが,著者はかなりの雑学派のようで,いろんなことを知っている=まさに「地質学者(=博物学の末裔)」なんでしょうね.
 突っ込みどころもいっぱいありそうで,おもしろく読んでます.
 

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