授業が終わった後の疲労感と開放感のまぜこぜで,つい,積ん読状態の本に手を出してしまいました((^^;).
それは,笹沢教一「ニッポンの恐竜」.
チャラけた題名のせいで,いわゆる「恐竜バカ本」(「恐竜トンデモ本」ともいう(^^;)の一つとしてコレクションしておいたもの.
読んだら,まったく違いました.
なんとこれは,日本では稀少本ともいえる「地質学史」もしくは「古生物学史」のまじめな本でした.
おまけに著者は新聞記者ということで,文章が平易でうまい.
午後3時ころから読み始めて,合間合間に別のことをやり,夜になってから本格的に読み始めて,結局,寝る前に読み切ってしまいました.
本来なら,こういう内容の本は,(今となっては全国に数ある)大学博物館の職員が書くべき本ですが,博物館から出ないところが悲しい…((--;).
日本の大学は研究の際に出た資料を重視しなかったので,明治の初めに大学ができてから,ほぼすべての資料は放置され,紛失するままになっていました.
ここ10数年の「開放された大学」のイメージ作りのために,旧帝大を中心に大学博物館が設置されてきましたが,歴史がないので,付け焼き刃であることは証明するまでもありません.
こういった大学および大学博物館がもつ問題や,よくわからない業績主義によって放置されている本来の学問とか….
口を開けば「エコ」とか「環境」とかいうくせに,地球の環境を創りあげてきた「ものたち」に一切の敬意を払わないこの国のシステムとか….
そのため,民間の化石ハンターによって,あらしたい放題になったたくさんの化石=古生物とか….
それを確保するために孤軍奮闘したアマチュア化石研究家とか,小さな自治体とか….
一時的な,街おこしブームによって悲劇に見舞われた貴重な資料や研究者とか….
この国の,生きていく姿勢とか,学問に対する姿勢とか,国民の教育に対する姿勢とか,いろんなことを考えさせる一冊でした.
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そういえば,昔,博物館の研究報告で収蔵されている化石の主なものについて,発見者のあるいは寄贈者の名前を明記しておいたら,非常に喜ばれたことを思いだしました.
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