2007年12月1日土曜日

ラマルクのこと

 「ラマルクは『自然の体系』八巻を出版する計画を立てた.しかし,そのような大部の出版物に対する国家予算はなく,その一部として書いた『水理地質学』(一八〇二)のみが出版された.」
 「この本で彼は,地表を流れる水の影響は僅かな変化をもたらすが,積もり積って,深い谷,広い平野をつくるという『斉一説Uniformitarianizum』の考えをとった.これはキュビエの『天変地異説Catastrophism』に対するものであった.」
 「この思想がフランスを訪れた地質学者チャールズ・ライエル(一七九七-一八七五)に伝わり,ライエルの『地質学原理』(一八三〇-三三)がチャールズ・ダーウィン(一八〇九-八二)に深い影響を与えたとすれば,ラマルクのダーウィンへの影響は,ダーウィンが考える以上に深いものがあるだろう.」

 木村陽二郎(1983)「ナチュラリストの系譜」の169頁からの引用です.

 以前から,ラマルクに対する評価は低すぎるように感じていましたが,今から20年以上も前に,ラマルクをこれだけ評価している人がいました.残念なことに,木村氏は生物学がご専門なので,ラマルクの地質学については,ほとんど触れられていません.
 だれか,フランス語ができる地質屋さんがラマルクの地質学に関する著作を評価してくれないですかねえ.

 近代地質学が,英国で始まったというのは,もうだいぶボロが出てきているようですが,それにしても,フランスやロシアの地質学(当時は「博物学」といった方がいいのかも知れませんが)を系統的に論じた著作というのはないですねえ.

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