2012年3月21日水曜日

名医の時間

相変わらず,健康番組が盛んです.

最近よく聞く言葉が「名医」.
マスコミ的には「ほら,こんなに『名医』がたくさんいるよ」といいたいのでしょうけど,冷静に考えると,これは困ったことなのです.
だって,「名医じゃない医者」がたくさんいることの裏返しなのですから.

また,「名医」が存在するということは,現代“医学”は,「医学」ではなく「医術」の面が多いことの「証明」でもあります.
「科学」は,教える側と教えられる側に一定のレベルがあれば,「伝授できる体系」のことを指しています.
「科学」は,ある「体系だった知識」の一群を意味していますから.

ところが,「名医」がいて,彼のノウハウを他者に伝えることが困難なのであれば,それは「科学」ではなく「技術」であることを示しています.
名医の弟子となって,特に並外れた才能を持つ人だけが,師匠の「ワザ」を受け継ぐことができる.これが「技術」の特徴です.言葉や知識の体系とはならない「秘伝」なのです.

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科学論の世界では,日本人には「科学」と「技術」および「科学技術」の違いがわからないと,よくいわれます.普段は,それでもいいのですが,ときどき確認しておかないと,世の中の動きがわからなくなることがあります.
科学技術庁(現・文部科学省)に,科学が理解できていないことなどね.
 

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