2019年6月27日木曜日

北海道地質学史に関する文献集(25)

 
佐藤博之(1985)百年史の一こま

佐藤博之(1985a)百年史の一こま(1)地質調査所初期の地磁気観測.
佐藤博之(1985b)百年史の一こま(2)博覧会と地質調査所.
佐藤博之(1985c)百年史の一こま(3)ライマンとナウマン.

 百年史の一こま(1)のテーマは「地質調査所初期の地磁気観測」であるので,あまり関係がない.
 (2)「博覧会と地質調査所」には,明治6年のウィーン万国博覧会に出品された資料に関連して,開拓史勤務の白野夏雲についての言及がわずかにある.
 また,1877(明治10)年の第一回内国勧業博覧会に関して,地質調査所から内務省地理寮諸務課に転入した白野夏雲の収集した「土石と木材」が出品され,これらについての記述もわずかにある.また,末尾に夏雲の次男である白野己巳郎についても言及されている.

 (3)「ライマンとナウマン」では,いわずと知れた北海道地質学の大恩人=ライマン氏について詳述されている.
 ライマンとナウマンを対比させながら地質調査史を語っている.ライマンについてはたくさんの弟子たちが語っているのだが,ナウマンを語る弟子が一人もいないことが印象的だった.
 また,二人とも日本の地質学にとっては大恩人であることは明らかなのだが,両人が去ったあと,東大や匿名の連中が二人の業績を抹消しようという動きがあったことも注目される.もちろん,明治政府の軍国主義化に伴う,第二の「尊皇攘夷」であったと考えられるだろう.

 下に引用した引用文献だけでも,概略は理解できると思う.

文献
坂市太郎(1918)北海道の開発と石炭鉱業.日本鉱業会誌,no.403, p.14-22.
一一一一(1892a)北海道石狩炭田の炭量.日本鉱業会誌,vol.8, p.534-535.
一一一一(1892b)北海道ノ炭鉱ニ就テ.東京地学協会報告,vol.14, no.11, p.3-25.
団 琢磨(1926)思い出す事どもー其頃の三池と筑豊一.石炭時報,vol.1, p.599-608.
北海道総務部文書課(1978)ベンジャミン・S・ライマン.開拓に尽した人びと.vol.2, p.125-142. 理論社.
井黒弥太郎(1968)榎本武揚伝.みやま書房,札幌,418+10p.
今井 功(1966)黎明期の日本地質学.地下の科学シリーズ,ラティス,193p.
今津健治(1979)山内徳三郎「ベンジャミン・スミス・ライマン氏小伝」.エネルギ一氏研究,no.10, p.90-97.
石原初太郎(1898)伊豆半島第三紀層論.地質学雑誌,vol.5, p.273-286.
伊藤弥次郎(1927)鉱山局の思い出.石炭時報,vol.2, p.358-361.
Imperial Geological Survey (1893) Imperial Geological Survey of Japan, with a catalogue of articles exhibited by the Geological Survey at the World's Columbian Exposition. 49p.
賀田貞一略伝(1915)日本鉱業会誌,no.370.
加藤鉄之助(1914)大正博覧会における地理的出品物に就て.地学雑誌,vol.26, p.544-552.
桑田権平(1937)來曼先生小伝.99p.
松井 愈(1953)ライマン(B.S. Lyman)と北海道の炭鉱.一北海道の炭鉱を主にする地質学史に関する考察:その一ー.歴史家,no.1, p.1-13.
中村新太郎(1930a)新訳日本地学論文集集(三)ナウマン博士一トルコ及びメキシコに於ける地質研究(上).地球,vol.14, p.53-58.
一一一一(1930b)新訳日本地学論文集(五)ライマン一日本油田調査第二年報(ー).地球,vol.14, p.191-200.
中島謙造(188920万分の1地質図幅「静岡」説明書.地質調査所,47p.
日本工学会(1930)明治工業史・地学篇,87p.
西山正吾(1920)地質学者ライマン先生小伝.東洋学芸雑誌,vol.37, p.487-490.
小川啄治(1985)伊豆半島石英安山岩略説.地質学雑誌,vol.2, p.444-451.
一一一一(1937)一地理学者の生涯⒀.地理教育,vol.23, p.411-418.
佐川栄次郎(1921)ライマン先生を憶ふ,地質学雑誌,vol.28, p.40-54.
一一一一(1936)ナウマン氏小話 フォッサマグナ 賛川風景.地球,vol.26, p.277-285.
山陰一生(1884)地質調査事業進歩の景況.東洋学芸雑誌,no.35, p.151-154.
佐藤博之(1983)先人を偲ぶ(1).地質ニュース,no.346, p.52-63
沢村孝之助(1972)明治期の伊豆半島調査.杉山隆二(編)「伊豆半島」,東海大学出版会,p.35-39.
島田純一(1926)ライマン先生ー弟子の観た先生一.石炭時報,vol.1, p.270-272.
鈴木 敏(188820万分の1地質図幅「甲府」説明書.地質調査所,128p.
鈴木 醇(1949)北海道鉱業開拓者ライマン先生の業績.北海道鉱山学会誌,vol.5, p.279-289.
徳間貞一・永淵正叙(1941)佐川さんを憶ふ.地質学雑誌,vol.48.
ユネスコ東アジア文化研究センター(1975)資料御雇外国人.小学館,524p.
江原真伍(1962Fossa Magna を中心としてー Naumann 博士の日本島の調査.地学研究,vol.12, p.307-309.
山根新次(1953)日本地質学会創立六十年に寄せて.地質学雑誌,vol.59, p.279-282.

YOKOYAMA, M. (1904) On some Jurassic fossils from Rikuzen. Jour. Coll. Sci. Imp. Univ. Tokyo. vol.18, art. b, p.1-13.

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