2009年4月11日土曜日
砂鉄“研究”史(2)の1
●「鉄と鋼」時代
前記したように,「地学雑誌」には,その後「砂鉄」に関する記事・論文は掲載されていません.「地質学雑誌」は1893年から刊行されていますが,調べた範囲内では「砂鉄」の性状・産状に関する論文はないようです.
日本鉄鋼協会は1915(大正4)年に設立され,その年に会誌「鉄と鋼」が刊行されて以来,現在も発行され続けています.1918年頃から製鉄原料としての「砂鉄」についての論文が掲載されはじめ議論(?)が始まりました.1933年に,俵国一の「古来の砂鉄精錬法」(丸善)が出版された頃に,一応,砂鉄に関する議論(?)は尽くされたようで,急速に砂鉄に関する論文は姿を消します.
なお,この時代の論文は現代の論文と基本的に異なります.現代の論文は,結論が第一で,文章は簡潔で誤解を生まないものであるのが前提です.
以下,読んでもらえればわかりますが,まず,用語があいまいであること,論理があいまいであること,先人の研究を引用しないこと,引用しても与えられた定義が無視されることなど,現代ではあり得ないことが続きます.
できるだけ説明は簡潔にしたいのですが,突っ込みどころが満載なので,長くなりすぎました.
それでは,順を追って「鉄と鋼」に掲載された「砂鉄」に関する記事を追ってみましょう.
・山田賀一(1918)「中國に於ける砂鐵精錬」
山田賀一(1918)は,当時実際におこなわれていた「たたら製鉄」についての報告です.これには「たたら製鉄」の原料である「砂鉄」についても,概略が述べられています.
以下,引用と解説を並べます.
「山陰山陽両道の脊梁をなす中国地方は概ね高原性にして,此地方を構成せる岩石は水成岩としては結晶片岩,秩父古生層,中生期層等にして,火成岩は主に花崗岩,閃緑岩及び花崗斑岩より成る」
「結晶片岩」は水成岩というよりは変成岩です.また,現在は「水成岩」は用いず,「堆積岩」を用います.
「秩父古生層」は関東山地・秩父地域を模式地とする地層のことで,命名当時は日本の古生界の標識的な地層と考えられており,遠く離れた中国地方でも,このように使用されていました.しかし,現在では模式地の地層は古生代の岩体と三畳系・ジュラ系のメランジ堆積物であると考えられており,現在では標識的な地層としては用いられません.模式地地域のみで「秩父系」・「秩父層群」・「秩父中古生層」として用いられています.
「中生期層」は,現在は「中生界」という用語が使われています.
「砂鐵は此等火成岩中に磁鐵鉱の形にて少量包含され花崗岩の黒雲母中に多く其外閃緑岩,花崗斑岩中にも存在せり.花崗岩より出るものは通常燐,チタン少く,閃緑岩より出るものは比較的チタン含有量多し.」
これは,複数の解釈が可能な複合文章です.
この文章からは,1)「砂鉄は磁鉄鉱として火成岩中に少量含まれている」のはいいとして,2)「磁鉄鉱は花崗岩の黒雲母中に多く含まれ(ており),閃緑岩・花崗斑岩中(の黒雲母中)にも(それより少ないが)含まれている」もしくは,2’)「磁鉄鉱は花崗岩の黒雲母中に多く含まれ(ており),閃緑岩・花崗斑岩中に(は,黒雲母中とは限らず)も(それより少ないが)含まれている」ともよめます.
もし,花崗岩・閃緑岩・花崗斑岩を問わずに「黒雲母中に磁鉄鉱が含まれている」のなら,花崗岩より黒雲母の多い閃緑岩の方に磁鉄鉱が多く含まれているはずですが,記述では「花崗岩>閃緑岩・花崗斑岩」なので,「花崗岩では黒雲母中に磁鉄鉱が多く含まれ」かつ「閃緑岩や花崗斑岩には(黒雲母とは限らず)少量の磁鉄鉱が含まれている」ということになります.筆者がそういう意味で書いたかどうかは定かではありません.
こういう複合文章は論文には不適切なので,使用するべきではありません.
3)「花崗岩から出る砂鉄には通常燐・チタンが少なく,閃緑岩から出る砂鉄には比較的チタン含有量が多い」と読めます.閃緑岩中の「燐」については記述がありません.このチタン(鉄鉱)に関する記述は,このあと大きな意味を持つので,記憶しておいてほしいです.
「これら砂鐵の産出區域は伯耆,出雲,石見,安藝,備後,備中,美作の七カ國に跨れり.」
伯耆国:鳥取県中西部
出雲国:島根県東部
石見国:島根県西部
安藝国=安芸国:広島県西半分
備後国:広島県東部
備中国:岡山県西部
美作国:岡山県北東部
「砂鐵には二種ありて眞砂(マサ)及赤目(アコメ)と稱す.」
著者は「真砂」と「真砂砂鉄」,「赤目」と「赤目砂鉄」の両方を使用しています.すでに何度か書いた理由から,解説には「真砂粉鉄」と「赤目粉鉄」を使用させていただきます.
「眞砂は美麗なる白き花崗岩中に包含され中國山脈の北側然も伯耆國日野郡,出雲國仁多,飯石の両郡,石見国邑智郡地方に限り産出す.この砂鐵は大粒にして黒く光澤を有し殆と全部磁鐵鑛よりなり比較的燐の含有量少し.」
「真砂粉鉄」は「美麗なる白き花崗岩中に」あるといいます.この意味は「有色鉱物=マフィック鉱物がほとんど含まれていない花崗岩中にある」ととれます.「磁鉄鉱は黒雲母中にある」という先の記述と矛盾しますがどうなのでしょう.また,そういうマフィック鉱物が含まれていない花崗岩が「伯耆国日野郡・出雲国仁多郡・同飯石郡・石見国邑智郡」に分布するということであり,かなり限定的であり,証拠の提出が可能なことですが,こういう場合でも,証拠として地質図とその岩石薄片などを添えて,示されたものを見たことがありませんがなぜでしょう.
つぎは「真砂粉鉄中に含まれる砂鉄は大粒でほとんど全部磁鉄鉱からなり,燐の含有量は少ない」と読めます.こういう判断はできないことがこのあとわかります.
「赤目砂鐵は赤粘土質又は最も崩壊し易き角閃花崗岩中に含有され多く山陽道に面せる地方即ち安藝,備後,備中,地方に存在す.此砂鐵は小粒にして黒き磁鐵鑛,中に褐鐵鑛又は赤鐵鑛を混へ,多少赤色を帯ひたるか故に此名あり.燐の含有量眞砂に比して多し.」
また複合文章です.分解すると…,
1)赤目粉鉄は赤粘土質(の岩石)に含まれているか,または最も崩壊し易い角閃(石)花崗岩中に含有されている.
2)赤目粉鉄を含有する岩石は,多くは山陽道に面する地域(安芸・備後・備中地方)に存在する.
「赤粘土質」とは何にかかるのか不明ですが,ここでは(の岩石)を補ってみました.無難に考えれば「赤目粉鉄は赤粘土質の角閃(石)花崗岩に含まれている」か,または「赤目粉鉄は最も崩壊し易い角閃(石)花崗岩に含まれている」となるでしょう.つまり,「赤目粉鉄は赤色を示す粘土状風化物を伴う,真砂化著しい角閃石-黒雲母-花崗岩中に含有されている」と解釈できます.
つまり,「赤目粉鉄」も「花崗岩からのものなのだ」とされていると考えられます.
ところが,この「角閃花崗岩」という用語はくせ者です.私は「角閃石花崗岩」と解釈しましたが,そのような岩石学用語ではないのかもしれません.黒雲母がほとんど含まれず角閃石が多い花崗岩は,閃緑岩といった方が早い岩石です.なぜ,閃緑岩といわないのか.もしかしたら,これは「たたら学用語」で,「角閃石花崗岩」と翻訳するのはまずい岩石なのかも知れません.しかし,そのようなことがあったら,議論が成立しないので,地質屋は介入できないことになります.
また,その産地は山陽道(安芸国・備後国・備中国)に面しているとされています.蛇足しておけば,下原重仲の「鉄山必要記事」では「備中国」でとれるものを「赤目粉鉄」としていますので,これは拡大解釈です.同等なものと判断したなら,その根拠を示してもらいたいところですが,そのような記事はありません.
続いて「赤目粉鉄は小粒であり,磁鉄鉱中に褐鉄鉱または赤鉄鉱を混在し,多少赤色を帯びている」と,しています.地学雑誌の無署名記事では「赤目は水酸化鉄」かつ「モミジは赤鉄鉱」とし,TS生の記事では「赤目は水酸化鉄」としていたのと異なります.
先人の報告と異なることをいっていますが,それについての説明も,異なることの証拠も示されていません.先人の研究が引用すらされていません.
続いて,「粉鉄」の分析値が示されています(分析値省略).
単位が示されていませんが,たぶん%だと思われます.しかし,そうだとすると,総計が100になっていないのはなんなのでしょう.
表はまず,「真砂」と「赤目」に大きく分かれています.
化学成分は見たところ,「真砂」と「赤目」の違いよりも,「真砂」内でのばらつきの方が大きいように見えます.それもそのはずで,何度か指摘していますが,フェルシック鉱物(=無色鉱物)の存在を必要とする「たたら製鉄」原料としての「粉鉄」は,精選の程度によってフェルシック鉱物(=無色鉱物)と不透明鉱物(=酸化鉄など)+マフィック鉱物(=有色鉱物)の比率はいくらでも変わってくるのが当たり前です.たとえば,[チタン酸/鉄総量]とか,[燐総量/鉄総量]とかの比で比較するしか意味がないのではないかと思われます.
筆者は「真砂」には「燐」の含有量が少なく,「赤目」には多いといっていますが,あげられた分析値中の「燐」の相対量はそうなってはいません.「赤目粉鉄」の分析値が二つあげられていますが,一つは「真砂粉鉄」群と同等で,一つはほかのすべての粉鉄に比べて若干高い値を示すとしかいえないと思われます.
また,筆者は言及していませんが,この分析値から見る限り「真砂粉鉄」および「赤目粉鉄」中の酸化チタンの量に違いがあるようには見えませんでした.
つづけて,
「以上,真砂砂鉄は磁鐵鑛にして還元し難く且つ燐分を含むこと少き故に主に製鋼用即ち鉧押用又は低燐銑鐵の製造に用られ…」
と,なっていますが,分析表を見ても「真砂砂鉄が磁鉄鉱」であることはわからないし,「還元し難」いか「し易」いかもわからないと思います.また,後にわかることですが「製鋼用即ち鉧押用」には「真砂粉鉄」だけではなく「籠り粉鉄」と呼ばれる「赤目粉鉄」も必要とされています.「真砂」だからとか「赤目」だからとかではなく,「低燐」の「粉鉄」が必要とされているのだと思われます.
小塚(1966;後出)は山陰地域の17資料の分析値を示していますが,真砂粉鉄と赤目粉鉄に含まれる「燐」の量について,何かが言えるようには見えません.
「赤目砂鐵は褐鐵鑛又は赤鐵鑛を混へ比較的還元し易く且つ通常燐分を0.1%以上含有せるか故に専ら銑鐵原料とせり」
分析表は「鐵(第一酸化鉄+第二酸化鉄)」で示されているもので,これから褐鉄鉱や赤鉄鉱が混在することがわかるなら,その方法を教えてほしいものだと思います.ましてや,先人は「アコメには水酸化鉄」が「モミジには赤鉄鉱」が入っていると主張しているのに,反証を示すことなく違うことを,このように断言するのはおかしいと思ます.
なお,「磁鉄鉱」より「褐鉄鉱」や「赤鉄鉱」が還元し易いと書いてあるのは何度か目にしましたが,実例もしくは実験結果が示されているのを見たことがありません.あえて示す必要もない自明のことなのでしょうか.
さらに,分析表中の「赤目砂鉄」とされている標本の「燐」含有量は0.031と示されていて,その値は著者の主張と矛盾します.
以下には,鉄穴流しなどの記述が続きますが省略し,実際にたたら場で使われる粉鉄の記述まで跳ぶことにします.
実際に,「たたら場」で使われる粉鉄には「籠り粉鉄」・「籠り次粉鉄」・「上り粉鉄」・「下り粉鉄」があります.この名称は「たたら製鉄」の過程・ステージを表していて,そのときに使用される粉鉄の調整の違いを現したものです.砂鉄もしくは粉鉄の分類用語ではありません.
「鐵穴流し場より持ち歸れる砂鐵には尚三,四割の砂を混へたり,これを鑪場にて再洗し.適度の砂を含む様三種乃至四種に洗別す.」
「籠り小鐵:鑪爐を吹き始めてより暫くの間熔解し易き為めに用ふるものにして尚二十%内外の砂を混入せり.」
「籠り次小鐵:籠り小鐵の次に用いるものにして前者より砂の混入量稍少なく約二十%乃至十五%なり」
「上り小鐵:籠り小鐵の次に用いるものにして砂の混入量更に前者より少なく約十二三%内外なり」
「下り小鐵:鑪吹の最後に装入する砂鐵にして砂の混入量最も少なく通常十%以下なり」
これら「たたら場」に持ち込まれた「粉鉄」を再度水洗して「砂鉄(=不透明鉱物)」と「無色鉱物(=フェルシック鉱物)」の割合を調整したものを「清粉鉄(きよめこがね)」と呼んでいます.実際に使用する粉鉄にも,まだ一割から二割程度の無色鉱物を含んでいるということです.
なお,おのおの名の由来は,たたら製鉄を始めると作業主任である「村下(むらげ)」は寝る暇もありません.したがって,「たたら場に籠る」のであり,このとき使うのが「籠り粉鉄」です.純粋に近い砂鉄を使わないわけは,論文などでは,しばらく明らかにされませんが,最近では無色鉱物がある程度混じっている方が,熔融温度が低く,また鉱滓をつくり易くなるので,製鉄作業が楽になることになるらしいことが示されています.
「籠り粉鉄」は特定な場所からのみ採取されるとする村下もいたようですが,実際にはいわゆる「赤目粉鉄」を調整することで,十分に役目を果たすものらしいことがのちにわかります.たぶん,「真砂粉鉄」でも調整すれば使えるのでしょう.
「次」に使うのが,もちろん「籠り次」です.
徐々に砂鉄含有量を上げてゆくのがコツらしい.炉の温度が上昇し,砂鉄と無色鉱物が溶け始めると,原料である「粉鉄」と,燃料であり還元剤である「木炭」をどんどん挿入することになります.このとき積み重ねた材料の高さがどんどん上がってゆくので,このときいれる粉鉄が「上り粉鉄」.
炉のなかでは,「粉鉄=砂鉄+無色鉱物」・「木炭」のほか「炉壁材」も鉱滓をつくるために融け始めす.これが進むと,炉壁材が消耗し,それ以上の反応は望めないために作業が終了に近づきます.そして,積み重ねた材料の高さは下がり始めます.このとき挿入するのが「下り粉鉄」となります.
繰り返しますが,これらは「たたら過程のステージとそのとき使われる粉鉄の名前」であって,「粉鉄の分類名」ではありません.
記事は,さらに操業法として,1.銑押し操業,2.溜め吹操業,3.鉧押操業,について解説されています.
1.銑押し操業
「銑押には一般に赤目砂鐵を使用し特に燐の少き所謂真砂白銑を製出する時のみ眞砂々鐵を用ふ.」
銑押しには通常,赤目粉鉄を原料として用いるとしています.
「特に燐の少き所謂真砂白銑を製出する時のみ眞砂々鐵を用ふ」といいます.
「白銑」とは,ここでは「所謂白銑」と書いてあって説明はありませんが,製鉄関係者もしくはたたら製鉄関係者間の俗語のようで,定義は明確ではありません.出来上がった銑鉄の破断面が白色のものを「白銑」といい,ネズミ色のものを「鼠銑(もしくは「ねずみ銑鉄」あるいは「鼠銑鉄」など)」と俗に呼んでいるようです.
しかし,かなり無責任な言葉なので科学的な定義を持った言葉に翻訳してもらいたいものです.現在の解釈では,白銑と鼠銑の違いは,原材料の違いに由来するものではなく,同一の鎔銑からでも冷却の早い部分から黒鉛が追い出されて「白銑」となり,冷却の遅い部分に黒鉛が残り「鼠銑」となるらしいです.
「真砂白銑をつくるときのみ,真砂粉鉄を使う」というのは,トートロジーのような気もしますが,これも複合文章なので,言わんとすることは別なことなのかもしれません.「燐の含有量の少ない銑鉄をつくるときには,もともと燐の含有量の少ない粉鉄を用いる」ということなのかもしれません.これもトートロジーのような気がしますが,筆者は真砂粉鉄の方が「燐」の含有量が少ないという前提なので(前述したようにその証拠は示されていませんが),低燐銑鉄をつくることを強調したのかもしれません.
銑押しとこのあと出てくる鉧押しに用いられる炉には本質的な違いはないとあります.実際,銑押し中にも「鉧」は生じると書いてあります.炉内を常に観察し,「鉧」が生じ始めると,すぐにそれを除去するのだそうです.
2.溜め吹操業(低燐銑鉄製造法)
「溜め吹操業」は明治40年頃よりおこなわれた改良型の銑押し操業だとあります.
改良点は,原料に「真砂粉鉄」を用い,炉底の凹みを五倍程度に大きくするそうです.「鉄滓を強い塩基性にする」と書いてありますが,この「塩基性」の意味は書いてありませんし,「塩基性にする方法」も書いていません.それでも話しを進めます.
炉の凹みを大きくするのは,そこに大量の鉱滓の層をつくり,そこを通る鎔銑から燐分を吸収させるのだそうです.銑鉄の品質にバラツキが生じるのを防ぐために,炉内に長時間とどめおきます.そのために「溜め吹」の名があるわけです.
しかし,記述によると,もともと燐分の少ない印賀村付近の真砂粉鉄だから有効な方法だそうです.例によって,製品の燐分の分析値は掲載されていますが,原料である粉鉄の燐分は示されていません.
3.鉧押し操業
鉧押しに使用される炉および操業法は1)銑押しや2)溜め吹とほぼ変わらないものが用いられると,ありますが,炉の高さは鉧押し炉のほうが低くつくられ,送風口は大きいとあります.この違いにどういう意味があるかはわかりませんが,著者はこのために「炉の中央または壁に粘着せる鉧の塊を増大せしめ,銑となって熔解するのを防ぐ手段」だとしています.
銑押しでも放置すると「鉧」が生じるのであるから,放置すればいいだけかと思われますが,さまざまな微妙な作業のどれかが「鉧」を増大させるものらしいです.しかし,明確な説明・解析はありません.
明らかに異なる点は,原料が「真砂粉鉄」に限られる点であるとしています.しかし,著者は「銑押し」でも放置すれば,「鉧」が生じるといっているのですが….
文章も,文意もかなりあいまいであることは明らかだと思います.こういうあいまいな書き方は,のちの研究者によって都合の良いように解釈され,我田引水が起きます.結果としてしばらくの間,「たたら製鉄」はなにか不思議な作業のようで,科学的なメスが入れられることがなかったのであろうと思われます.
なお,この記事では,このあと,「鍛冶場」における作業や,たたら製鉄の結果生じた「鉄滓」を再利用する「角炉」や「丸炉」の記述がありますが省略します.
長くなったので項を変えます.
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