2009年8月24日月曜日
辞書の展開(14)
●犬形獣亜目[suborder CANIFORMIA]
次は,犬形獣亜目[suborder CANIFORMIA]です.
suborder CANIFORMIA Kretzoi, 1943(犬形獣亜目)
├ CANIFORMIA incertae sedis ... family †MIACIDAE Cope, 1880 (ミアキス科)
├ infraorder CYNOIDEA Flower, 1869 (犬下目:けんかもく,いぬかもく)
└ infraorder ARCTOIDEA Flower, 1869 (熊下目:ゆうかもく,くまかもく)
from “The Taxonomicon”
例によって,「犬下目」と「熊下目」に分けるために,先に「ミアキス科」をはじき出しています.
ミアキス類は,旧体系では犬猫含めた食肉目の先祖形という扱いでしたが,新体系では犬形獣の中での先祖形という扱いに位置づけが変わっています.
犬下目[infraorder CYNOIDEA] には,次の分類群が納められています.
infraorder CYNOIDEA Flower, 1869 (犬下目)
└ family CANIDAE (Fischer de Waldheim, 1817) Gray, 1821 (イヌ科)
├ CANIDAE incertae sedis
├ subfamily †HESPEROCYONINAE Martin, 1989(ヘスペルキュオーン亜科)
├ subfamily †BOROPHAGINAE Simpson, 1945(ボロプァグス亜科)
└ subfamily CANINAE (Fischer, 1817) Gill, 1872 (イヌ亜科)
├ CANINAE incertae sedis
├ tribe VULPINI Hemprich & Ehrenberg, 1832(ウルペース族,キツネ族)
└ tribe CANINI Fischer, 1817(カニス族,イヌ族)
from “The Taxonomicon”
犬下目位置不詳には,genus Procynodictis Wortman & Matthew, 1899やgenus Prohesperocyon Wang, 1994が入れられています.前者は,以前はミアキス科に入れられていたものですが,後者はよく分かりません.Procynodictisは後期始新世の北米に生息していました.
ヘスペルキュオーン亜科は,詳細不明な属-種が多いですが,始新世後期から中新世前期の北米に生息していたグループで,なにか中途半端な印象のあるグループです.ボロプァグス亜科(これに属する属は主に中新世の北米に生息していた)をふくめて,現世のイヌ亜科への橋渡し的な役割なんでしょうか.
また,両亜科とも分かる範囲では北米産ということは,犬グループは北米で進化したということなんでしょうね.
イヌ亜科はキツネ族とイヌ族に分けられています.この分類を成立させるために,はじき出されたのがレプトキュオーン[Leptocyon]属.レプトキュオーン属は中~後期中新世の北米に生息(話がうまく合いすぎてるなあ).
キツネ族は(記録の限りでは)前期鮮新世の北米で発生(後期中新世の記録もあるが,どうも怪しいらしい).
後期鮮新世には,北米から欧州,アフリカ,アジアに勢力範囲を拡大した.南米に進出したのはごく最近のことらしい.
イヌ族は前期鮮新世には欧州-アジア-オーストラリアにいた.もちろん北米にも.
鮮新世後期にはアフリカに進出し,南米に進出したのは更新世になってからのことらしい.この間,多種多様な仲間を増やしながらのことですね.
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