2019年4月11日木曜日

北海道地質学史に関する文献集(12)

北海道地質学史に関する文献集(12)

今井 功(1963)地質調査事業の先覚者たち(4)炭田・油田開発の貢献者ーライマンー.


 地質学史開拓の巨人の一人・今井功氏の著作である.これは1~7のシリーズのうちのひとつ.このシリーズは,後にまとめられて今井(1966)「黎明期の日本地質学」となって出版されている.
 北海道の地質学に関係あるのは,上記(4)のみ.

 その序文を引用しておく.

 ライマンは石炭・石油など 日本の地下資源開発の上に大きな業績を残したが その地質学的評価はあまりかんばしいものではなかった.彼はアカデミックなドイツ地質学よりも 実際的なアメリカ地質学の影響を受けている.したがって いかにして地下資源を開発するかということに専念し そのために役に立つようにと助手たちを教育した.そして 助手たちとともに学び ともに成果をわかちあった.助手たちがライマンを慕ったのは当然であろう.しかし このようなやり方はまだ封建色の濃い当時の日本では受け入れられなかったため ライマンが去ってのち 助手たちは次第に官界・学界から離れ 実業界に転じていった.ライマンが再評価されるようになったのは かなり後のことである.

おもな参考文献
B.S. Lyman: A General Report on the Geology of Yesso,1877
ライマン:北海道地質総論 開拓使 明治11
B.S. Lyman: A Report of Progress for the First year of the Oil Survey ,1877
B.S. Lyman: A Report of Progress for the second year of the Oil Survey ,1878
B.S. Lyman: Reports of Progress for 1878 and 1879 Geological Survey of Japan ,1879
H.B. Woodward: History of Geology ,1911
賀田貞一略伝 日本鉱業会誌 第370号 大正4
山際永吾小伝 日本鉱業会誌 第385号 大正6
坂市太郎:北海道の開発と石炭鉱業 日本鉱業会誌 第403号 大正7
佐川栄次郎:ライマン氏を憶ふ 地質学雑誌 第28巻 第328号 大正10
小野崎五助:桑田知明翁を追悼す 日本鉱業会誌 第614号 昭和11
桑田権平:來曼先生小伝 昭和12
American Geological Society: Geology ,1888-1938, Fiftieth Anniversary Volume ,1938
B. Juffe: Men of Science in America-The Role of Science in the Growth of Our Country, 1944
日本石油史編集室:日本石油史 昭和33
日本学士院編:明治前日本鉱業技術発達史 昭和33
斎藤仁:北海道の地下資源調査事業の沿革(ー)(二)(三) 地下資源 No.1No.3 昭和33-34


0 件のコメント: