2011年11月7日月曜日

無顎類が面白い

「無顎類」とは,classis: AGNATHA Cope, 1889に与えられた日本語・学術用語です.
いいなおすと,米国の古生物学者エドワード=D.=コープ(1840-1897)が,動物なのに顎をもたない奇妙な生物(+古生物)たちを,一つのグループにまとめ,それにAGNATHAという学名を与えました.1889年のことです.それを和訳したのが「無顎類」なのです.

原著が見つからないので,そこにどういう定義が書かれているのかは判らないのですが,いずれにしろ,クラディズムが主流の現代分類学では,意味のある用語とは考えられていないようです.
「顎をもつ」という特徴では,一つのグループを造ることができますが,「顎をもたない」という特徴では,一つのグループ(分類群)を造るとは考えられていないからです.

逆にいえば,動物が顎をもつまでに,さまざまな試行錯誤があり,そのさまざまな試行錯誤の結果が「AGNATHA=無顎類」として,認識されたということです.
つまり,さまざまな奇妙な生物たちが「そこにいる」といえます.


現代的な情報源としては,WikipediaWikispeciesがありますが,そこに書かれている情報は,非常に曖昧で不正確なので,よくわかりません.
しかし,Mikko's Phylogeny Archiveで,ざっとその世界を眺めてみると(学名が並べてあるだけなので,生理的に拒否されるでしょうけど(^^;),凄まじい量の“試行錯誤”があったんだ,と実感できます.

その学名を,どれか一つコピー&ペーストしてGoogleしてみれば(だいたい,いい情報にあたらないことの方が多いですが),たまに,面白いものがヒットします.画像検索でやるのが,判りやすいですね.
ヒットしたそのどれもが,実に奇妙な形をした“魚?”たちです.
じつは,もう「魚類」という言葉も,科学的には「死語」なのです(クラディズムが原因です).


どうして「無顎類」をテーマにした本が書かれないのかと不思議に思うぐらい,奇妙で大胆な連中がそこにいます.
これをテーマにした本が書かれれば,きっと,グールドの「ワンダフル・ライフ」とおなじようなヒット作となること請け合いなんですけどね.
   
 

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