Armadillidium vulgare (Latreille, 1804)は,日本では「オカダンゴムシ」と呼ばれています.
属名のArmadillidium という語は Armadill-idiumという構造で,「アルマジロの」+《縮小詞》=「アルマジロの小さなヤツ」という意味.
なるほど,「オカダンゴムシ」が,その名前のように「丸まる」のが,「アルマジロ」そっくりですね.こういう防御形態をとる動物は,動物分類の枠を越えて共通しているものがありますが,そういうのを「平行進化」と説明する場合があります.
進化系統上は遠い動物でも,似た環境に適応する場合,似た体の構造をとる場合があるということです.つまり,外見の類似だけで生物分類をおこなうと,思わぬ落とし穴が待っているというわけです.
ま,アルマジロとダンゴムシを生物として近いと思う人はいないでしょうけどね((^^;).
なお,語根 Armadill- の原形は armadillo ですが,これはスペイン語らしい.
もともとは,ラテン語で armatus-illus =「武装した」+《縮小詞》=「武装(この場合は「防御」がメインですね)した小さなもの」だったらしいのですが,スペイン語が入ってarmad(o)-illoに変化しているらしいです.
わたしはスペイン語はわかりませんので,なんですが,スペインの「無敵艦隊」のことを,確か「アルマダ(Armada)」といってましたから,たぶん,あっていると((^^;).
種名のvulgareは,ラテン語で,「ウルグス(vulgus)」=「集団,多数;大衆.群衆」の形容詞で《中性形》.「大衆に属する」という意味で,「一般的な,普通な」の意味が強いものです.
vulgare にはvolgaris というバージョンがあります.volgarisは,なんとなく,ドイツの大衆車「フォルクスワーゲン(Volks-Wagen)」をイメージしてしまいます.「フォルクスワーゲン」の「フォルクス(volks)」は,「大衆の」という意味ですから,たぶん関係があるんでしょう.
さて,属名と種名をあわせると,「普通な,アルマジロの小さなヤツ」ですから,現地(タイプ・ロカリティ(type locality))では,普通にいるヤツだったのでしょう.
イヤ,名詞の「集団,多数」の意味が形容詞化した,「(いつも)たくさんいる,アルマジロの小さなヤツ」の方が,リアルですね.
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