開拓使(1884)北海道志.24巻.政治・採鉱.
明治17年に開拓使から発行された「北海道志」である.その24巻に「政治・採鉱」がある.
明治17年といえば,「開拓使官有物払い下げ事件」の発覚から3年がたち,開拓使が廃止されて北海道庁がつくられる2年前である.幕府がたおされ新政府ができたものの,日本がどのような進路をたどるのかもまだ定かでないころ,というよりは富国強兵政策が推し進められ,軍国主義化の足場がつくられ始めたころか.
「採鉱」の章には最初に,1)蝦夷地ではもともと砂金がとれていた,2)大野土佐日記の例,3)松前藩による採金とアイヌとの軋轢のこと,4)徳川幕府による米人地質学者の招聘と地質調査および鉱山技術の伝習について,5)明治政府による米人地質学者の招聘と地質調査および鉱床調査について短く書かれている.
本文には,鉱山開発の歴史や鉱山法,各種鉱山に関する記述が乱雑に記述されている.
想像を働かせてみれば,官有物払い下げ事件によって存続を脅かされた開拓使が,自分達の業績を強調するためにつくらせたものかと愚考するが,個々の記録は重要なものとは言え,乱雑な記録であるとの印象は拭いがたい.
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