2009年7月29日水曜日
辞書の展開(7)
●旧体系と新体系の対比(4)旧体系の「…目」から
今度は,獣亜綱中の「目」がどうなっているかについてみてみましょう.
Carroll (1988)では,以下のようになっています.
Infraclass EUTHERIA 真獣下綱
Order APATOTHERIA 擬獣目*
Order LEPTICTIDA 薄鼬目*(はくゆうもく)
Order PANTOLESTA 汎盗目*(はんとうもく)
Order SCANDENTIA 登攀目*(とうはんもく)(ツパイ目)
Order MACROSCELIDEA 大脛目*(だいけいもく)
Order DERMOPTERA 皮翼目
Order INSECTIVORA 食虫目
Order TILLODONTIA 欠歯目
Order PANTODONTA 汎歯目
Order DINOCERATA 恐角目
Order TAENIODONTIA 紐歯目
Order CHIROPTERA 手翼目*(しゅよくもく)(翼手目)
Order PRIMATES 霊長目
Order CREODONTA 肉歯目
Order CARNIVORA 食肉目
Order RODENTIA 齧歯目
Order LAGOMORPHA 兎形目
Order CONDYLARTHRA 顆節目
Order ARTIODACTYLA 偶蹄目
Order MESONYCHIA (ACREODI) 中爪目*(無肉歯目)
Order CETACEA 鯨目
Order PERRISSODACTYLA 奇蹄目
Order PROBOSCIDEA 長鼻目
Order SIRENIA 海牛目
Order DESMOSTYLIA 束柱目
Order HYRACOIDEA 岩狸目(擬鼠目)
Order EMBRITHOPODA 重脚目
Order NOTOUNGULATA 南蹄目
Order ASTRAPOTHERIA 雷獣目
Order LITOPTERNA 滑距目
Order XENUNGULATA 異蹄目
Order PYROTHERIA 火獣目
Order XENARTHRA 異節目
注:原文は英語,和訳は適当なものをつけた.[*]は私的訳語.
真獣下綱以下の「目」は,みな等価に置かれていますね.
はっきりいって,これは,系統関係つまり進化の道筋は「わからない」といっているということです.しかし,よく見ると,実はこれらの「目」の並べ方には,ある傾向があり,じつは,なんとなく進化の道筋を表しています.
さて,Carroll (1988)は,Novacek (1986)を引用して,これらの「目」はいくつかのグループ分けが可能であろうことも示しています.
それは,以下…,
Subclass THERIA 獣亜綱
└ Infraclass EUTHERIA 真獣下綱
├ Cohort EDENTATA 貧歯区
└ Cohort EPITHERIA 上獣区
├ Superorder INSECTIVORA 食虫目
├ Superorder VOLITANTIA 遊飛上目*
├ Superorder ANAGALIDA アナガレ上目
├ Superorder UNGULATA 有蹄上目
└ Cohort EPITHERIA incertae sedis
Cohort EDENTATA 貧歯区には
Cohort EDENTATA 貧歯区
├ Order XENARTHRA 異節目
└ Order PHOLIDOTA 鱗甲目
が含まれており,各Superorderには以下の分類群が含まれています.
Superoder INSECTIVORA 食虫目
├ Order LEPTICTIDA 薄鼬目*(はくゆうもく);レプティクティス目
└ Order LIPOTYPHALA 欠盲腸目;リーポテュプラ目
├ Suborder ERINACEOMORPHA ハリネズミ亜目
└ Suborder SORICOMORPHA トガリネズミ亜目
Superorder VOLITANTIA 遊飛上目*
├ Order DERMOPTERA 皮翼目
└ Order CHIROPTERA 翼手目
Superorder ANAGALIDA アナガレ上目
└ Order MACROSCELIDAE 大脛目*(跳地鼠目)(may include ANAGALIDAE)
└ Grandorder GLIRES 山鼠大目*
├ Order RODENTIA 齧歯目
└ Order LAGOMORPHA 兎型目
Superorder UNGULATA (有蹄上目)
│ ├ Order ARCTOCYONIA 北狼目
│ ├ Order DINOCERATA 恐角目
│ ├ Order EMBRITHOPODA 重脚目
│ ├ Order ARTIODACTYLA 偶蹄目
│ ├ Order CETACEA 鯨目
│ └ Order PERISSODACTYLA 奇蹄目
├ Grandorder MERIDIUNGULATA 午蹄大目(most South American ungulates)
└ Grandorder PAENUNGULATA 半蹄大目*
└ Order HYRACOIDEA イワダヌキ目
└ Mirorder TETHYTHERIA (テーテュース獣中目)
├ Order SIRENIA (海牛目)
├ Order PROBOSCIDEA 長鼻目
└ Order DESMOSTYLIA 束柱目
Cohort EPITHERIA incertae sedis
├ Order TUBULIDENTATA 管歯目
├ Order CARNIVORA 食肉目
├ Order PRIMATES 霊長目
├ Order SCANDENTIA 登攀目
├ Order TILLODONTIA 欠歯類
└ Order TAENIODONTA 紐歯目
なお,最後のCohort EPITHERIA incertae sedisは系統関係がわからないという意味ですので,おのおのを繋いだのは私の勇み足かもしれません.
これはまあ,進化の道筋ではなく,いくつかの系統分けが可能だということを示しているに過ぎませんね.
次に,Colbert & Morales (1991)なんですが,Burkitt (1995ed.)もふくめてCarroll (1988)とパタンは大きく変わりませんし,長くなりすぎるので「略」します.
では,新体系では…,以下が概略です.
superorder PREPTOTHERIA (顕獣上目)
├ grandorder ANAGALIDA(アナガレ大目)
├ grandorder FERAE(野獣大目)
├ grandorder LIPOTYPHLA (= INSECTIVORA) (リーポテュプラ大目・欠盲腸大目)
├ grandorder ARCHONTA(主(獣)大目)
└ grandorder UNGULATA(有蹄大目)
Carroll (1988)が引用した Novacek (1986)によく似た分類が採用されているように思われます.
しかし,こちらの場合は,クラディズムが基本ですから,実は進化の道筋を表していることになります.してみると,有蹄類が一番進化していることになるんですかね.
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