2011年8月21日日曜日

PALAEOSPONDYLOIDEA

order PALAEOSPONDYLOIDEA Sollas, 1903


1903: order PALAEOSPONDYLOIDEA Sollas,
1927: order 2. † PALAEOSPONDYLOIDEA: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)

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PALAEOSPONDYLOIDEA = palaeospondyl-oidea=「Palaeospondylusの」+「~類似の形からなるもの」

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Palaeospondylus はgenus Palaeospondylus Traquair, 1890のこと.
Palaeospondylus = palaeo-spondylus=「古い」+「脊椎」=“古椎類(属)”

palaeo-は,ギリシャ語の[παλαιός]」=《形容詞・男》「古い」が,ラテン語の尾語根化したものです.本来は,palai-, palaio-のはずですが,ラテン語綴り化する段階で,[αι(ai)]は[ae]に変換される習慣があるようです(ICZNでも,そう勧告されています).それで,palae-, palaeo-として用いられています.バージョンとしてpale-, paleo-も使用される場合がありますが,語源的には,こちらはかなり問題がありそうです.

spondylusは,(一般には)ギリシャ語の「スポンデュロス[σπόνδυλος]」=「脊椎」のラテン語化だとされています.
しかし,元もと(Classical Greek)では,[ὁ/ἡ σφονδύλος]だったらしく,これはラテン語風につづると,sphondylos もしくはsphondylusでした.[σπόνδυλος]のほうは,(現代)ギリシャ語辞典には載っていますが,古典ギリシャ語辞典では,どうも曖昧.

一方,ラテン語辞書にはspondylus (spondylos)やsphondylus (sphondylos)は載っていたり,載っていなかったり.その意味するところも,「(貝類の)肉質の部分」や「一種の筋肉」であって,あまり調和的でない.
spondylus (sphondylus), spondyli (sphondyli)=《男》

案ずるところ,ギリシャ語:[ὁ/ἡ σφονδύλος]=「脊椎」,ラテン語:spondylus=「筋肉」だったのが,ギリシャ語をラテン語化する過程においてゴッチャになり,現在では
《ラ語》spondylus, spondylī =《男》「脊椎:脊柱」
になってしまったのかもしれません.

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さて,Palaeospondylus類を一括する言葉が必要になりました.
しかし,現在でも動物分類では「目(order: Ordo)」とかを示す語尾は統一されていません.たぶん,1900年代初期といえば,やりたい放題だったのでしょう.

ここで使われている-oideaは,現在では,主に「上科」を表す語尾として統一されていますが,もともとは,ギリシャ語の[εἰδος]=「形.種類」をラテン語化した-oides=「類似の」の変化形といわれています.
のはずですが,ここいらあたりを説明した辞典・文法書には,いまだ巡り会っていませんので,なんだかわからない((^^;).
いろいろと類推すると, ギリシャ語の[τό εἶδος]=《中》「見られるもの;形.種類」を《接尾辞》連結形としたときに,[-ο-ειδης]という形をとり,これがラテン語綴りになるときに[ει(ei)] = [i]となる性質が表れて,-oidesになったらしい.(蛇足しておくと)さらに-oide《仏》になり,-oid《英》になります.もちろん意味は「~類似の」.
この-oidesが変化し,語尾が-eusとなると,-oideus = -oid-eus=「~類似の」+「~からなる」=「類似の形からなる」という意味をつくりますが,この時,語尾が-usなので,形容詞としての変化が適用され,-oideus, -oidea, -oideum=「~類似の形からなる」という《形容詞》が成立します.
あまりに柔軟すぎると思いますし,文法書にだって,こんな解説はないのですが,この時,-oideaは《女》《単》《形容詞》なんですが,《女性名詞》化して《主・単》が-oidea,《主・複》が-oideaeとなります(他にも変化形をつくりますが,関係分だけ).

で,この「類似の形からなる」という語尾が,-oideaは「動物分類上の「上科」に使用され」,-oideaeは「植物分類上,「亜科」に使用され」ているというわけです.

点と点を繋いで,ようやくたどり着きましたが((^^;),このあたりが,現在の限界ですね.
 

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