2010年8月20日金曜日

反プレートテクトニクス論,読後

 
 星野通平「反プレートテクトニクス論」(イー・ジー・サービス出版部)が到着したので,読んでいました.
 ほとんど新知見はないですね.しかし,プレートテクトニクスに対する疑問の集大成というところ.どの主張にも違和感を感じないのが,逆にふしぎ.

 Ⅰ章は,「プレート説の誕生」で,ごく短い略説.
 Ⅱ章は,「プレート説が主張する観測事実の検討」で,この本のほとんどを占めています.
 Ⅲ章は,「地球の歴史」ですが,これは星野さんの独擅場.
 Ⅳ章は,「プレート説流行の背景」.これが,この本の本論ですね.

 わたしは,単純に「プレート論は「軍事科学」と「キリスト教」が創りだしたもの」という話を授業でしたことがありますが(そんな話をしてるから,非常勤講師を切られるんだな(^^;),こんなにたくさんのデータをそろえてしゃべったわけではありません.

 で,読んでいて,気分が高揚してきたかというと,どんどん沈んできました.
 なぜなら,この本に対する反応は,「たぶん,ない」だろうから.

 理由はたくさんありますが,第一に,PT論者にとっては“プレートテクトニクスは観測された事実”であるから,今さら,土俵を下げて相手をしても「得るものがない」からですね.
 だから,無視される.

 第二に,実際には,PTが「パラダイム」でなければ困る人は(その他のテクトニクスでなければ困る人たちにしても),ホントはごく少数だと思われること.
 地質学会に,いったい何人の会員がいるかは知らないですが,圧倒的多数が,(個々の)論文レベルでも(個人の)研究テーマレベルでも,別に「どっちでもかまわない」人たちでしょう*.地向斜造山論がパラダイムのときは,地向斜造山論で解釈し,PT論がパラダイムのときはPT論で解釈するだけ**.
 したがって,自分に向かっていわれているとは,だれも思わない.よって反論も肯定もしない.

 悲しい.

 そういえば,「パラダイム論」そのものも,「唯一絶対神」の影が見えるなあ.

* 化石の記載論文や,新鉱物の記載論文,露頭現象の記載論文,はては地域地質の記載にいたるまで,「地向斜」とか「プレート」とかの存在を前提としてしか書けない論文は,これまで,いったい,いくつあったのでしょうか.

** たとえば,昔の「鉱床学」の教科書などを読むと,もちろん「地向斜造山論」に調和的に書かれていますが,よく読むと,「マグマの活動に関係がある」といってるだけで,背後に「地向斜」があろうが「プレート」があろうが,そんなに関係ないことがわかります.PT論による新しい「鉱床成因論」など,ないだろうかとさがしていますが,そんなものはみつからない.以前それらしき論文を見つけたとき,いっしゅん喜びましたけど,書かれていたことは,鉱脈を裂罅としてみて応力場解析をやっているだけで,鉱床成因論をやってるわけではなかったですね.
 つまり,現象を「解釈」しているだけでした.
 

2 件のコメント:

夏羽 さんのコメント...

先日はさっと目を通しただけで、貴ブログの主旨を理解せず、勢いでコメントを書いてしまい、申し訳ありませんでした。

歴史的、宗教的、政治的、営利的、様々な事情が各時代にあると思いますが、現在、プレートテクトニクス論が世を制しているさまには、たてまえぬきに、あきれかえっております。また、一般市民のほとんどがこのことに対して疑問を抱かないというのも不思議です。ハプグッド先生の本にはダーウィンともう一人(誰だったかな・・)がポールシフトという考えを禁止したため、現在の気候に合わない植物、動物の痕跡を説明するため、大陸移動説、氷河期という仮定が持ち出されたと書いてありました。

プレート説、氷河期、マグネティック ポールシフト論、速度の概念(地球の自転、公転、太陽の自転、公転等の速度を地球上の計算で事実として教えていること) など、ちょっと論理的に考えれば、それがおかしいとわかると思うのですが(間違っているという証拠もないんですけど)、専門家を含めほとんどの人がだまされる、これはもしかしたら、ウンモ星人が言っていたように人間の能力に欠陥があるせいなのかもしれないと、思われてきたりもします。ウンモ星人、トンデモで申し訳ありません、これを書いたのが宇宙人かどうかは別にして、彼らが書く、メタフィジック、進化論はなかなか面白いんですよ。
http://www.ummo-sciences.org/en/index.htm
以前は日本語の訳もあったのですが、今は見つかりません。2012年について何も語っていなかったので、はやらなかったのかな(w)。

これはここに書かれてある、まあクイズっていえるのでしょうか、2パーセントの大人が答えることができたそうですが、私の経験上、今まで相当な人に聞いてみましたが、今だ答えられた人はいません。最近は質問するのもやめてしまいました。ボレアロブーさん、いかがですか?(:-D)

When you look at yourself in the mirror, the image you see IS NOT IDENTICAL to what other people see when they look at you. Simply hold up a written page in front of a mirror to verify what you have known all the time but not given much thought to. The mirror seems to transpose left to right.

Not long ago, one of our brothers in the United States informed us that a North American writer had written a scientific book which posed the following: if a person sees their image inverted left to right in a mirror, then why isn't the image also reversed top to bottom, with the feet at the top of the image?

It seems that in the United States, only 2 % of the adults they asked could give a satisfactory answer. Only 38 % of a group made up exclusively of experts and students in Physics, Psychiatry and Mathematics could answer quickly.

This illustrates perfectly that if a great percentage of people of the Earth are not prepared to understand certain fundamental concepts in connection with space symmetry, vision and perception on the level of the brain, they will be even less able to understand and analyse proofs and demonstrations in connection with Higher Mathematics.

ところで、今の時代、そろそろ、未来の人に残す、タイムカプセルをつくることを考えてもいいんじゃないかなと、私は最近思っているんです。まあ、どんな情報を残すかにもよりますが。子供の頃、学校の課外授業でやりましたよね。わくわくするものです。もし言語が失われていたとしたら、どういう形でのこすべきなのだろう・・・?

やはり過去にもそういう風に考えて今の時代の人類のためにタイムカプセルを残してくれた文明が少なからずあったようです。残念ながら、キリスト教によってほとんど焼き払われてしまったようですが。 まだまだ残っているでしょう。見つかるといいですね!しかし、失われた文明のものだから正しいと判断するのは危険でしょう。数万年後に現在のプレート説が発見されるかも知れませんから。(汗)

また、長々と失礼いたしました。私はまったくの素人ですが、地球の歴史には興味がありますので、時々拝読させていただきます。がんばってくださいね!

ボレアロプーさん さんのコメント...

英文の質問の意味がわかりませんでした.
もしかして「右は右」,「左は左」,「上は上」,「下は下」に見えることが不思議なのでしょうか?