2010年8月27日金曜日
最近ビックリしたこと
地質学雑誌に,JGL(=日本地球惑星科学連合ニュースレター)というのが,添付されるようになって久しいです.
このニュースレターには,しばしば無神経な記事が載るので有名ですが,最新号(vol. 6, no. 3)にもそういう記事がありました.
あ,いや,別に不快感を表明しているわけではなく,こちらとしては,無料で「トンデモ本」みたいな記事を送ってくれるので,おもしろ半分に読んでいるだけです.
その記事は,「白堊紀末の大量絶滅と小惑星衝突」というもの.中身は,マスコミ受けがいいので,しばしばTVの“科学番組”などでもやりますから,周知のことですが,おもしろいのはその副題「30年の論争に終止符」というやつ.
勝手に終止符を打たれても困りますが,すごいのは,“反論はしてはならぬ”というメッセージ.
わたしなんかは,意見の違う人が互いの意見をぶつけ合うので,科学が前進すると思ってますから,「論争は終わった」ので,“部分的な反証など,あげてはならぬ”などということが文章になっていると,ゲシュタルト崩壊をおこしてしまいます.ましてや,それが,科学を標榜する“学会”のニュースレターに記事としてのってるなど….
一つの仮説に対して,「それに沿わない事実がある」ということを表明するのを拒否する学会ってなんなんだろう.
もちろん,そういうことを気にする研究者なり団体なりがいたとして,「この記事はおかしいのではないか」と表明したら,例の如く「これは投稿記事なので,当局は一切責任を負わない.反論したければ,その記事は掲載してもよい」となるんでしょうね.
学問は別に多数決でするわけではないですね.
各々が,信じる仮説の証明に向かって進めばよい.反証をあげる人がいたら,その部分が仮説の完成には足りないわけだから,そこを掘り下げればよい.それだけの話(逆にありがたい話でしょう).
他人の研究や,その公表の邪魔をしたら,「…穴二つ」になってしまわないですかね.
「一つのことしか考えるな」というのは,ちょっと前なら「ファシスト」とよばれたかも.
もっとも,この「日本地球惑星科学連合」というのは,たぶん,パラダイムのちがう異種の学問の野合集団なので,論争が成立しにくいのも事実だと思います.なんのためにできた連合なのか,まだよくわからないですからね.
数年後,数十年後に,この「日本地球惑星科学連合」が,科学史上,科学論上,どのような位置づけになっているのか楽しみでもあります(その頃には,もう生きとらんだろうなあ).
学問体系ではないのに“科目”として,文部省の都合で無理矢理でっち上げられた「地学」が,その故に崩壊したように,おなじ道をたどるのではないかと…,老婆心ながら….
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