2010年10月11日月曜日

レアアースって?

 
 最近世間を騒がせている“レアアース”っていうマスコミ用語ですが,あれ,どうにかなりませんかね?

 マスコミでつかう“レアアース”っていう言葉は,よくわかりませんが,ニュースで示しているその「もの」は,「レア・アース・エレメント[rare earth element]」もしくは,「レア・アース・メタル[rare earth metal]」のことのようです.どっちを示しているのかは判りませんが.
 業界の人は,長ったらしい名前をつかうのを嫌う傾向がありますから,符丁として「レアアース」と呼んでいるのでしょうけど,それをそのままニュースでつかうのはどうなのでしょうかね.
 「レアアース」だけでは「地球にめずらしい」という意味にしかなりません.そういうものは,数限りなくありますけどね.マスコミが好きな「絶滅危惧種」なんてのも“レアアース”のひとつといってもいいんじゃあないでしょか.

 たぶん,しばらくしたら,したり顔の解説者が「「レアアース」というのは正しい言葉じゃあなくて,「レア・アース・エレメント」もしくは,「レア・アース・メタル」のことを言います」とか,いうんでしょうね(元NHKアナ.の「なんでも知ってるおじさん」とかが(^^;).
 でも,だいたい,言葉の乱れなんて,マスコミが発生元ですけどね.そのくせ,言葉の乱れを指摘するのもマスコミという不思議.いわゆるマッチ・ポンプですね.

 たとえば,「ナイト・ゲーム[night game]」というのをいやがって「ナイター」などといったのはマスコミですし,「それは英語ではない」と指摘するのもマスコミです.
 「UFO」にいたっては,もともと軍事用語で「Unidentified Flying Object[未確認飛行物体]」のことです(だいたい最初にレーダーでみつかるので,それがなんだか目視で確認されるまでは,みな「UFO」と呼ばれる)が,マスコミでは勝手に「宇宙人の乗り物」という意味でつかっています.「UFO」に火星人が乗っていることが確認されたら,それは,「UFO」ではなくて「火星人の乗り物」なんですけどね((^^;).
 もっとも,ここでは「宇宙人」という言葉そのものがおかしいのですね.宇宙空間では「人」と呼ばれるような高等生物が発生するわけはなくて,宇宙空間のどこかの星に発生するはずですから,その「星」の名前をつけなければならない.それら,個々の星にすむ「~~星人」全体を表す言葉として使っているというなら,われわれ「地球(星)人」もりっぱな「宇宙人」です.
 英語では,「a being (creature) from outer space」というそうですから,日本語に訳すと「外宇宙人(もしくは生物)」ですから,こちらなら論理的.

 さて,“レアアース”ですが,これは,もともと,化学・地球化学で使用している「希土類」という言葉がありますから,こちらを訳語として使うべきでしょう.「レア・アース・エレメント[rare earth element]」ならば「希土類元素」ですし,「レア・アース・メタル[rare earth metal]」ならば「希土類金属」です.「元素」と「金属」は別な意味を持つ言葉です.だから,別な言葉.
 希土類元素を含む混合物として輸入しているのか,純粋な希土類金属として輸入しているのか,それはわかりませんが(正確に報道してくれない;提示された映像では鉱石状のようなものも,金属様なものもありました),どっちにしても「地球にめずらしい」という中途半端なことばですましていい「もの」とは思えませんでした.

 「科学技術立国」を目指している国としては,情けない.
 ま,ノーベル賞受賞者あたりがいえば,聴いてくれるんでしょうけど….
 

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