2010年12月16日木曜日

石炭の名称(5)「雲根志」

 
 1773(安永二)年に,「雲根志」前編が刊行されます.
 石之長者・木内石亭の著したものです.

 見出し語は「石炭」で,ここではじめて「よみ」も「せきたん」になります.
 記述は,これまでのものと大きく異なり,オリジナリティ豊かです.

 明白に,「植物の変じたもの」と断定しています.

 見出し語は「石炭(せきたん)」ですが,各地のローカルネームも紹介されていて,「ウシ(土ウシ,木ウシ)」,「からす石」,「石スミ」など.
 石亭は「堅きものは石」,「半ばなるは木」,「柔なるは土」とし,(現代的にいうならば)炭質岩石および石炭と泥炭とに分け,いずれも植物が変じたもので,まったく異なるものというわけではないという認識です.


 1801(安永八)年には,「雲根志」三編が刊行され,これにも「石炭」の項目があります.
 読みはやはり「せきたん」.

 しかし,ここでは以前「ウシ」と表記していたものを「ウニ」に変え,「雲丹」の漢字を使っています.雲丹は「石雲丹」・「木雲丹」・「土雲丹」に三分され,薪代わりに用いられるのは「木雲丹」であるとしています.
 気になるのは「本草綱目曰石炭昔人不用」とあること.本草綱目には,やはり「石炭」とあったのでしょうか….

   

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