2012年2月2日木曜日

鎚の音…

鎚の音
 空き家が消えて
  賃貸へ

宮武軟骨


地方都市(いなかまち)では,住民の高齢化が進み,あちこちに空き家が目立っていました.このあたりは,市内では比較的古い住宅街なものでね.

数年前から,空き家だった古い住宅が壊され,次世代の住宅が建つのかと思っていたら,建つのはまず100%のところ「~~建託」のアパートです.
旅だった子どもたちは,みな大都市に流れ,生まれた土地には戻ってこない.子ども時代の思い出はあるから,なかなか手放しにくいということはありますが,親が死んだら,残った土地は税金がかかる負担があるだけ.
だから,「~~建託」は渡りに船のわけです(たぶん,子ども世代にとっても危険な罠じゃあないかという気はしますけどね).
おかげで,一軒家より,アパートのほうが,はるかに多くなってしまった.

一見したところ「新しい住人が移入してきて,街に活気が戻るかな」と思ってたら大間違いで,街(コミュニティ)がどんどん壊れてゆきます.新しい住民はコミュニティに参加しない.挨拶すらしない.一方で,昔から町内会が整備してきた環境を当然のように使用する.
ここでは,老人が若者のお世話をするボランティアと化しています.
道・市公報の配布.ゴミステーションの管理.下水道の掃除.街灯の整備,電気代の徴収・支払い.市道の管理.
お役所は町内会を市の下部組織のように扱う.いろんな雑用が舞い込む.しかし,ほぼ限界で,町内会を把握していても住民を把握しているとはいえない状態にある.

「建託」がどんどん増えているので,新築でないと借り手がないようになりつつあります.
たくさんあるアパートのほとんどが,空室状態なのです.
ただでさえ,若い夫婦は共働きで,日中は街に人がいない.
町内会の仕事で訪問しても,室内に人のいる気配がしても,返事はないのが普通です.かといって,夜の訪問も,明らかに迷惑がられる.
アパートの周りは,ゴミだらけ,雑草だらけ.踏み分け道をつくる以外は除雪しないから雪の山ができる.管理業者は,たまにアパートの駐車場の排雪をしているが,その雪はすぐそばの歩道に積み上げるか,橋の上から川に投げる(おかしなことだが,重機に「市委託」のプレートがついてたりする).
自然,古くからの住人と,アパートの住人とは,なんとなく敵対関係が生じる.

「時代の流れ」と,いってしまうのはたやすいですが,では,新しいタイプのコミュニティができあがりつつあるのかというと,そうではない.単なる無法地帯と化しつつあるのです(あるいはスラム化?).
3.11のような地震や,その他自然災害など起きたら「絆」などといっておられるのだろうか.と思わせます.

「限界集落」は“ド田舎”にだけあるのではなく,地方都市の住宅街も「ほぼ限界集落」なのです.
住民はいるというのに.
 

0 件のコメント: