2008年5月26日月曜日

知ってほしいこと

 昨日,「地質学史懇話会会報」が届いたので,目を通していると,面白い記述がありました.
 それは,島津光夫「風景論と風土論について」という論文なのですが,論文そのものではなくて,その「まえがき」にある記述です.そこには,“地質学者が書いた自然についての本はたくさんでているが,一般の人に読まれることはほとんどない”,“地質学の権威から酷評されるような本がベストセラーになっている”という論旨のことが書かれています.

 “どこかで,似たような記述を読んだばかりだな”と思い,記憶を探ってみると,それは,読み終えたばかりの三浦國雄「風水/中国人のトポス」のなかにある「東アジアの風水思想」でした.
 そこには,“まじめな風水研究の本は初版も売り切れずに絶版”,逆に,“机の位置を並び替えるだけで運気向上”などという「ちまちました」風水の本はベストセラー…,ということが書いてあります.



 ここからは,学ぶべきことがいくつも抽出できそうですが,それは置いといてもう一つ.
 いまだに朝のニュースショーなどで頻繁に行われている「星占い」.元々は,ニュートン物理学に従って,「初期条件がわかれば,未来が予測できる」という前程で,行われていたもんです.これも,似たようなこと.本来,その人が誕生した時間の地球と惑星と星座の位置関係などを決定して,その人の性格や未来を予想するというものですが,これは結構な作業を要することなので,こんなことができたのは,金に糸目を付けることのない権力者(王,皇帝,貴族など)の存在が前程です.
 そういう人たちがいなくなって,我々貧乏人の時代でも“占星術師”は生きていかなければならないですから,「薄利多売の時代」になる.
 だから,地球と惑星と星座の位置関係を計算するなんていう,めんどくさいことはやってられない.そこで生み出されたのが,「生まれたときに太陽がどの星座にいるか」だけ.これで,占星術師は“星座占い屋さん”に堕落します.
 以来,星のことは何にも知らなくても,星座占い屋さん”が多産します.
 こういうのにだまされているうちの娘なんかは,私が「今日は水瓶座の運勢は最低だけれど,魚座の運勢がいいから,父ちゃんは大丈夫」というと,「トーちゃんはずるい」などといいます.(^^;
 私は,2月18日生まれで,本当に翌日は魚座に変わります.

 それはともかく,本質的なことは忘れ去られ,“金色の風水グッズを持っていると金運があがる”などということだけが浮き上がる偽物横行の時代(失礼.三浦さんは“ちまちました風水”といってますので,偽物ではなく「ちまちま風水」とよびましょう(^^;).
 読ませたい文章を書くのか,売れる文章を書くのか,選択が迫られます.

 私? もちろん,売れない方を選びます.(^^;

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