2011年7月29日金曜日

学名は難しい(3)

平嶋義宏「生物学名概論」がしきりに持ち上げていたドイツ人のロイニスの本を見ることができました.

その本とは,
Leunis, J., 1883, Synopsis der thierkunde. Ein handbuch für höhere lehranstalten und für alle, welche sich wissenschaftlich mit der naturgeschichte der thiere beschäftigen wollen (Volume 1).
Hahn'sche Hofbuchhandlung, Hannover.
および
Leunis, J., 1886, Synopsis der thierkunde. Ein handbuch für höhere lehranstalten und für alle, welche sich wissenschaftlich mit der naturgeschichte der thiere beschäftigen wollen (Volume 2).
Hahn'sche Hofbuchhandlung, Hannover.
です.

中を見ると,平嶋氏の記述から受ける印象とはだいぶ異なります.
ひと言でいうと,思わず「笑っちゃう」ような本でした.

まず,文字が「亀の子文字」・「亀甲文字」((^^;).
これは,伝説の文字ですね.ヒットラーが自国の科学の発展を阻害するとして,使用を止めさせたという伝説の文字で印刷されています(本当は,軍事的な命令が伝わりにくいので止めさせたらしい,という話もあるようです.どっちにしても「伝わりにくい文字」なのです).

ラテン語を理解する前に,ドイツ語を理解して,そのために「亀の子文字」を読めるようにしなければならない((^^;).大回りですねえ.
なんか,以前ヒットしたトム・ハンクス主演の“謎解き映画”を見ている気分.あっちこちに,無数の“落とし穴”がある((^^;).面白いっちゃあ,面白い(が,こんな物を引っ張り出してきて,「学名そのものの普及」ができると考えているのなら大間違い.ですね).

本当に,この本が学名を理解するために必読の書だというなら,英訳本ぐらいあってもよいかと思いますけど,見あたりませんね.ないのは,たぶん意味がないからでしょう((^^;).
ラテン語の発音とも,その元になっているギリシャ語の発音とも違うことが,ランダムに侵入しているというんでは,相手にされないのも不思議はないですね.


この本は,基本的には,動物分類学の本です.たぶん,当時知られていた動物の学名が網羅されているのでしょう.それだけの物だという気がしますが…(大学関係者は独逸語・佛蘭西語を有り難がる傾向はあるようですけど,それはむかしのことだと思ってた(^^;).
学名に,いわゆる“長母音”が使われているので「ラテン語の読み方が書いてある」と評価されたんでしょうけど,それは普通のラテン語辞典に出てるんじゃあないでしょうかね.
(違うな.学名は「ラテン語」といわれてますけど,実際には,ほとんどが「ギリシャ語」のラテン語風つづりですからね.ラテン語辞書には出てないものの方が多いのですよ.)
最初に必要なのは,ギリシャ語-ラテン語辞典でしょうね.


もう一つ.「学名の意味が示してある」ということだったんですが,これも見てみてガッカリ.
学名の語根になったギリシャ語がギリシャ文字で示してありますが,あくまで,語根であって,使用されている多様な語尾変化などが示されているわけではない.つまり,「学名の意味が示してある」わけではない.
ギリシャ文字の横に「亀の子文字」が付属していますので,これが単語の意味を示しているのでしょうけど,亀の子文字なので,まず読むのが大変.読める部分を乏しいドイツ語の知識で比べると,確かにそうらしい((^^;)

なんで,こんなアホみたいな迂遠な苦労を強いるんでしょうかね.
要するに学者の自己満足であって,必然的に科学のオカルト化に加担しているに過ぎないという気がします.

2011年7月28日木曜日

学名は難しい(2)

今日も,平嶋義宏「生物学名概論」を読んでいます.
13頁で,許し難い記事にぶつかってしまいました.

「ラテン語の読み方」の所なんですけどね.

●ラテン語の読み方には,ルールがある>うん,なるほど.
●ギリシャ語由来のラテン語の場合には,やはり,ルールがある>なるほど,なるほど.

次あたりから,だんだん怪しくなります.
●近代人や地名に因む学名の読み方にはルールがある>え? なにそれ.
「近代人や地名に因む学名の読み方は,それぞれの発音に従う」
ウソでしょ.そんなルールがあったら,そんなルールの存在を許したら,その学名は何に由来しているか,常に記述されていなければ(ほとんどされていることはない),読めないことになるでしょ.
日本語は,文字と音とが対応しているから,問題ないでしょうけど,いわゆるアルファベットを使う民族は,アルファベットの文字と発音が対応していない方が多いですからね.
あらゆる言語を知っていて,その単語の読み方も知っていないと,その学名は読めないということを公然といってるようなものです.

こういうことをサラリと言ってのける「学者」は,「科学の世界」に立っているというよりも,「オカルトの世界」に立っていると思われても,しょうがないですね.これでは「秘技・秘伝の世界」ですから.
こういう,無知な市民の参入を拒否するようなルールは無視すべきですね.

ということで,無視して,ラテン語のルール,ギリシャ語のルールを優先することにしますね((^^;).


ちょっと「ムッ」ときたところですが,気を取り直して,読み進めると,もっとひどい記述にぶつかります.
「動物の学名の読み方」という所なんですけどね.
とんでもない例外が公然と書かれています.

動物の学名の読み方は,必ずしも「ラテン語のルール」にしたがっていない本に,従うんだそうです.それは,ドイツ人のロイニス(Leunis:ラテン語風なら「レウニス」ですね(^^;)が1883年と,1886年に出版した本です.
なるほど,それではその本を入手しなければ,いけないわけか.と,誰しも思います.
ところが,巻末の参考文献の所を見ると,「入手困難」と書いてあります.アホな!

わかるでしょ.入手困難な本がないと,学名は読めないのですよ! 例外が書いてあるんだから.
ということで,これは平嶋御大の個人的なルールと解釈して,原則,ラテン語のルール,ギリシャ語のルールを優先することにしますね((^^;).
もし,どうしても,こういう「困ったルール」を残したいのなら,「pdf.ファイル」にしてかつ「無料配布」でもすれば,みな納得すると思いますけどね.


なんか,大昔の話ですけど,カナダ人相手にCoelophysisという恐龍の話をしていて通じず,文字で書いたら「オー!,シーロフィシス!!」と大げさにやられたことを想い出しました.ラテン語ならば,「コエロ・プュシス」ですが,これはラテン語のルールを知っていれば,読むことができます.
でも,「シーロフィシス」では,そう読むことがわかっていなければ「発音」できません.自分たちの創った例外が正則で,本来の正則は認めないとは!.
アルファベット民族とのコミュニケーションは,かくも難しい物なのです((^^;).

さて,書いたら気が晴れたので,また読み続けることにしよう.
あ,その前に,たのんでおいたギリシャ語文法の本がとどいているというので,図書館までいってこなけりゃ.
どんどん,めんどくさいことになるなあ…(^^;

2011年7月27日水曜日

学名は難しい

現状では,なんとしても理解できないことがたくさんあるので,つい,平嶋義宏「生物学名概論」を買ってしまいました.
   

でも,危惧したとおり,肝心なこと,知りたいことは,やっぱり出ていないようです.

たとえば,AGNATHIとAGNATHAは何が違うのか,なんてことは基本的に無理みたいですね.まだちゃんと読み切っていませんけど.

この本は,それなりに面白いですよ.興味深いことがたくさん出ています.
でも,¥4,600+外税の価値はないですね.誰が買うんだ? まるで,普及なんてしたくないみたい.
ソフトカバーB6版で,¥2,000~3,000ぐらいなら,買おうと思う人もでてくるかもしれない.

まあ,今どきこんな立派な装丁で,こんな高価な本を出せるのは「特殊な階級」の人だけですね.
売れなくてもかまわないという階級.
本を書きながら,知識の普及ができなくてもかまわないという不思議な人たち.
大学関係者なのにね(だからかな?).

残念なのが,巻末に「参考文献」がたくさん出ているのですけれど,見てみたいとおもう本は,みな「入手困難」になってました.意味ないじゃん.
それの,どれもこれもが,学名に関する基本的な知識に関することなので,やっぱり分類学なんてのは死にかけた学問だなあ,と思うことしきり.
路は遠いなあ.

そうだ.もう一つ残念なのが,語源がギリシャ語の言葉がたくさんあるのに,ギリシャ文字を使っていないこと.
これまた,意味がない.
路は遠いなあ.(^^;

2011年7月26日火曜日

Googleが…

Googleを頻繁に利用しています.
最近,Googleの検索は,どんどん使いにくくなっています.

なぜかというと,検索していない「文字列」が,たくさん出てくる.
たぶん,曖昧検索みたいなことをやってるのでしょうけど,余計なお世話です.
検索したい文字列より,「曖昧」で引っかかった文字列の方がたくさん出てきます.考えた上で検索しているのに,これではまったく意味がない.検索した文字列が「ない」なら「ない」方が,助かるのです.

おまけに,「…ではないですか」みたいな余計なお世話が邪魔くさい.
「「…」ではない」のだから,オプションで「…ではないです」のほうはカットできるといいのだが,そういうオプションはないですね.「「…」ではない」の方の文字列ばかり出てくる.

親切のつもりなのかもしれないですが,余計なお世話です.
親切心というよりは,たぶん,検索結果の数が多い方が「よい」とGoogleでは考えているのかもしれませんね.
企業の得意な「赤いタラコ」の論理ですね.
どぎつい「赤いタラコ」しか販売しないでおいて,その理由は「消費者が望んでいるからだ」という,あの論理.どっちがいいかと聞かれたことはないと思いますがね….

ま,こんなことを書いても,なんの意味もないでしょうけど,腹が立つので,書くだけは書いとこ((^^;).
ハライセ

2011年7月18日月曜日

世界一

 
 世界一
  でもLive映像
   流れない

 世界一
  でも食えてる選手は
   何割か

 朝起きて,googleニュースを見たら,1-1でした.
 テレビをつけたら,どこも放送をやってませんでした.
 NHKに至っては,外国同士の男子サッカーの戦いを….

 そのうちに,1-2で米国が勝ち越し,そして2-2になったという….
 まるで,ラジオ放送を聴いてる見たい….
 ついに,PK戦で3-1で日本女子が勝ったという,信じられないニュースが….

 一転,TVでもニュースが流れはじめます.
 しかし,民放では,歓喜するフアンの映像は流れますが,試合そのものの映像は流れない.
 悲しい.放送権をとってなかったのね.

 NHKでは,ゴールシーンがいくつか流れますが,試合の流れとかは見られない.
 関係者(?)のコメントばかり….
 民放では,(どこでも同じ反応)どんどん持ち上げ始めます(が,やっぱり映像は流れない).

 彼女らが帰国したら,マスコミは大騒ぎするでしょうね.
 75日間だけ?
 どこかの携帯電話のCMで「持ち上げられて,落とされて」なんてことをやってましたね.

 彼女らは,J-リーグ選手(男子サッカー)と異なり,ほとんどがアルバイトしながらサッカーをやってます.
 サッカーで食べてる選手はほとんどいないという噂です.
 彼女らが,バイトしないで好きなサッカーを充分にできる.そんな環境が整うのは,ここが分かれ道かも.
 「持ち上げても,落とすなよ」

 今日もまた
  秘技「手のひら返し」
   TV-Japan

(責任編集:宮武軟骨)

2011年7月15日金曜日

事故の法則

東電は自然現象を過小評価しただけ.
政府は汚染範囲を過小評価しただけ.
飼料生産業者は,過小評価を信じただけ.
飼育業者は,売ってる飼料は安全だと信じただけ.
屠畜業者は,放射性物質を浴びたワラを喰ったウシの存在なんかは,夢にも思わなかっただけ.
食肉流通業者は,正当に屠畜されたものは安全だと信じただけ.
小売店は,正当なルートで入手した肉は安全だと思っていただけ.
消費者は,売ってるものは安全だと信じただけ.

どこかで,誰かが,疑えば,事故は起きなかった.ただそれだけなんですが….

待てよ.政府が安全だといえば安全なら,公害や薬害は起きていないな….
結局,最後は,監視をおこたったわれわれ国民がすべてを引き受けなければならない….そういうこと.

(責任編集:宮武無骨)


原爆騒動

原爆騒動(子炉騒動の略;略しちゃあダメか.(^^;)

最近は二次被害・三次被害・四次被害に話題が移っています.一次被害も終息してないというに.
おかげで,日本をダメにする企業体質や無能政治家の実態がばれて,いいこと(?)もあったよう(?).
代わりがないから,意味ないか.
しかし,それでも強引に進めるか!という連中もまだまだいるね.

外国なら軍●ク●デタ●やテ●が起きてても不思議はない状況ですが,日本人は平和な民族です.
踏まれても,蹴られても,じっとガマンをしている.
じつは●衛隊にも愛●者はいなかったということなのかな(やるなよっ!).

しかし,あまりにもアホなことが多すぎて,パロる気もしなくなってしまった.
ネタは掃いて捨てるほどありますけどね.

(責任編集:宮武無骨)


ラテン語の構造

魚の分類をレビューしながら,“新ラテン語”・“科学ラテン語”のデータを収集してます.

ラテン語は,造語の多い「科学用語」で頻繁に使用されます.
ラテン語は使用する民族がいなくなったので,固定してしまい,ある意味,使用するのが非常に楽になんですね.現用する民族がいると言語は変化します.たとえば,よくいわれる「最近の日本語は乱れている」.そうなると,わけがわからなくなるんですね.マスコミ用語やJK用語がいい例です.お役所発カタカナ語とか.

ラテン語は使用する民族がいなくなったので,妙な変化・俗化,意味のない省略に走ることがない.
これが一番の理由だと思いますが,ほかにも,語源は「ギリシャ語」がほとんどで,国際化の進んだ現代の言語のように「もとは何語だかよくわからない」状況が少ないことなんかも,理由だと思いますね.

データを集めていて,一番の「科学用語」として用いられる理由は,「ラテン語はすごく論理的だ」からだと感じます.
ただし,わたしはラテン語は習ったことがないので,文法など知りません.読むこともできませんし,会話などサラサラ.あくまで「科学用語」(基本的には「学名」)の体系を理解したいだけです(そして,そんな本は存在しない(--;).

たとえば,ラテン語に[Seres]という言葉があります.
発音も含めた表記では,[Sēres, Sērēs]となるらしい.もとは,ギリシャ語で[Σῆρες](セーレス)と表記し,意味は「東~中央アジアの人びと」です.たぶん,ラテン語辞典(羅英でも,羅和でも)を引くと「中国人」などと書いてあるかと思いますが,これはウソ.なぜなら,ギリシャ語やラテン語が成立したころに「中国」という国はなかったからです.
ではなぜ,「東~中央アジアの人びと」をさす言葉が必要だったか.それは,(たぶんです.わたしの想像(^^;)「シルクロード」が関係していると思います.そこで,[Seres]も,[Σῆρες]も「絹がやって来る土地」という意味を持っています.


ここからがすごいところです.
[Seres]は形容詞化して[sericus]となります.[sericus]は[ser-icus]という合成語です.
[-icus]という接尾辞は,辞書では「《類似.適応》を示し,正酸(の形容詞名).ハロゲン化水素酸(の形容詞名)」云々などと書いてありますが,実際に例を調べてゆくと,「地名などについて《形容詞化》」させている場合が,ほとんどです.
つまり,[Seres]は形容詞化して,[sericus]になり,「東~中央アジアの人びとの」の意味ですが,「絹の産地の」という意味も持ちます.これが,「絹の」の意味に変化するのは不思議はありませんね.

形容詞[sericus]は,本来[ser-icus]という構造ですが,[seric-us]という構造に変化します.(日本語の使用者には理解しがたいことですが)形容詞にも《男性》《女性》《中性》で語尾変化があり,順に,以下のようになるからです.

sericus, serica, sericum (sēricus, sērica, sēricum)


つまり[seric-]という語根が誕生します.
さて,この[seric-]から,さまざまな形容詞ができあがります.
接尾辞[-atus]は,「~になった(~した.された.~をもった.~状の.~化の)」という意味を持ちますが,これと組み合わさって…,《形容詞》seric-atus=「絹毛をもった.絹毛状の」になります.

sericatus, sericata, sericatum (sēricatus, sēricata, sēricatum)


もう一つ,接尾辞[-eus]は,主として「~製の(原料)」を示しますが,これと組み合わさって…,《形容詞》seric-eus=「絹製の.絹状の.絹糸様光沢のある」になります.

sericeus, sericea, sericeum (sēriceus, sēricea, sēriceum)


さらに,接尾辞[-fer]は,「~(を)持つ」という意味を持ちますが,これと組み合わさって…,《形容詞》serici-fer =「絹毛を有する」という意味になります.

sericifer, sericifera, sericiferum (sēricifer, sēricifera, sēriciferum)



形容詞が,いくつかできましたが,これらはすべて,実際に動物や植物の「種名」として使われています.調べてみてください.

ついでに,蛇足しておくと,[sericites]は[seric-ites]という構造をもち,[seric-]=「絹の」と[-ites]=「石」との合成語ですが,英語としては[sericite]=「絹雲母」になっています.

ひどく理論整然としていて興味深いのですが,こういうルールからとんでもなく外れた例もないわけではありません.なぜそうなるのかを調べると,これはまたおもしろいのではないかという気がしますが,わたしは言語学者ではないので,そちらには踏み込まないようにしています.

2011年7月14日木曜日

魚の分類(11)Säve-Söderbergh (1934)

ベルグが10番目に示したのが,Säve-Söderbergh (1934)の分類です.

---
Save-Soderbergh (1934) はCROSSOPTERYGIIとDIPNOIとTETRAPODAには,共通して多くの特徴があることを指摘しました.それは,内鼻孔の存在,対で存在する四肢の構造などです.これらのことから,彼はCROSSOPTERYGIIとDIPNOIとTETRAPODAを新しいグループ(CHOANATA)に含めています.

Save-Soderberghによって提唱されたVERTEBRATA GNATHOSTOMATA(脊椎動物・顎口類)の分類は,以下の通りです:

---
I. Elasmobranchii
 1. Acanthodii.
 2. Placodermi.
 3. Holocephala.
 4. Selachii.
ll. Choanata.
 A. 1. Dipnoi.
 A. 2. Urodela.
 B. 1. Crossopterygii.
 B. 2. Eutetrapoda.
III. Actinopterygii.

--
Säve-Söderbergh, G., 1934, Some points of view concerning the evolution of the Vertebrates and the classification of that group. Arkiv f. Zoologi, XXVI A, no. 17, pp. 17-18.

EUTETRAPODA

(clade unknown) EUTETRAPODA Säve-Söderbergh, 1934


1934: II-B. 2. EUTETRAPODA Säve-Söderbergh, (Berg, 1940, p. 351)

---
EUTETRAPODA = eu-tetra-poda=「真の」+「四つの」+「~の足をもつもの《中複》」

---
eu-は,ギリシャ語の[εὖ]」=「よく(善く,良く),立派に」を《合成前綴》化したもの.

tetra-は,ギリシャ語の[τέτταρες ]=「4」をラテン語の《合成前綴》化したもの.

-podaは,ギリシャ語の[ὁ πούς]=《男》「足」を,ラテン語の《合成後綴》化したものの変化形.
[ὁ πούς]をラテン語化した《合成前綴》は pod-, podo-, podi-=「足(脚,柄,梗)の」ですが,これを形容詞化すると…,

-podus = -pod-us=-「足の」+《形容詞化語尾》

形容詞は《三性変化》するので…,
《合成後綴》《形容詞》-podus, -poda, -podum=「~足(脚・柄・梗)の」

形容詞は《複数》をサポートするので…,
《合成後綴》《形容詞》《複》-podi, -podae, -poda=「~足(脚・柄・梗)の」

これらが,おのおの《名詞》化して,=「~足;~足のあるもの」を意味します.

したがって,-podaは《中性》《複数》形ということ.
---
あわせると,「真の四足類」

(2011.09.07.:修正)

URODELA

(clade unknown) URODELA Säve-Söderbergh, 1934


1934: II-A. 2. URODELA Säve-Söderbergh, (Berg, 1940, p. 351)

---
URODELA = uro-dela=「尻尾のある」+「~の顕著なもの」=「顕尾類」

---
uro-は,ギリシャ語の[ἡ οὐρᾱ,]=《女》「尻尾」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.本来はour-, ouro-ですが,二重母音[ου](ou)は,変換時に(u)になる習慣がありますので,ur-, uro- (ūr-, ūro-)(ウール・/ウーロ・)=「尻尾のある」になります.

-delaは,ギリシャ語の[δῆλος]=《形容詞》「見える.顕著な;明白な」が,ラテン語の《合成後綴》化した-delusの変化形.《形容詞》《女単》形で,「~の顕著なもの」の意味.
普通なら,複数形が使われ,-delaeだと思いますが,なぜか単数形です.

---
注:有尾類と訳されていることもありますが,それはCAUDATA = caud-ata=「尾の」+「~をもった」の方に与えるのが適切でしょう.
なお,URODELAは,Dundee (1989)によってCAUDATA Scopoli, 1777 の同物異名とされ,Estes (1964)によって,AMPHIBIA Linnaeus, 1758に編入されています.
また,原著者はURODELA Latreille, 1825 と URODELA Dumèril, 1806の二つの例がありますが,原著が入手できないので判断不能.
わかる範囲の経緯では,URODELAは使用しない方がいいようです.

(2011.09.24.:修正)

CHOANATA

(no clade name) CHOANATA Säve-Söderbergh, 1934


1934: ll. CHOANATA Säve-Söderbergh, (Berg, 1940, p. 351)
1936: branch II. CHOANATA: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)

(clade unknown) CHOANICHTHYES (author unknown)


1937: class CHOANICHTHYES: Romer, (Berg, 1940, p. 352)

(注)上記は,名称のみを比較したもので,名称の定義は比較していません.

---
CHOANATA = choanata=「後鼻孔をもったもの《中複》」(=「後鼻孔類,内鼻孔類」)
CHOANICHTHYES = choan-ichthyes=「後鼻孔の」+「魚《男複》」=「後鼻孔魚類(内鼻孔魚類)」

--
choan-は,ギリシャ語の[ἡ χοάνη]=《女》「坩堝;漏斗.ホルン.(通風筒.頭蓋中の洞.眼の後の空洞)」(われわれに必要な意味は「後鼻孔(内鼻孔)」)が,ラテン語の《合成前綴》化したものです.
(なお,解剖学的な用語法によれば,「後鼻孔」と「内鼻孔」は同じものですが,「外鼻孔」と「鼻腔」と「後鼻孔」は別のもので,「鼻腔」が外部に向かって開いているのが「外鼻孔」で,体内の別の器官に向かって開いているのが「後鼻孔」だそうです.つまり,「後鼻孔」を使うのなら,「前鼻孔」を使うべきなんじゃあないかと…)

これに《形容詞》化語尾の-atus =「~をもった」を合成し,《形容詞》を造ります.
choanatus = choan-atus=「後鼻孔の」+「~をもった」
《形容詞》は《三性変化》するので,
《形容詞》choanatus, choanata, choanatum

《形容詞》は《複数》をサポートするので,
《形容詞》《複数》choanati, choanatae, choanata

この形容詞が,おのおの《名詞化》して,=「後鼻孔:後鼻孔をもった」という意味になります.
CHOANATAは,これらのうちの《中性複数》形を採用したものですね.

--
一方,ichthyesは,ギリシャ語の[οἰ ἰχθύες]=《男複》「魚ども」をラテン語綴り化したもの.
《合成前綴》choan- =「後鼻孔(内鼻孔)の」とあわせて「後鼻孔魚類(内鼻孔魚類)」となります.
最近では,後鼻孔をもつ“魚類”以降の,すべての両生類・爬虫類・哺乳類などを含む言葉として使われているようですから,「~~魚類」はうまくないですね.

(2011.09.04.:修正)

PLACODERMI

(unranked clade) PLACODERMI McCoy, 1848


1934: I-2. PLACODERMI: Säve-Söderbergh, (Berg, 1940, p. 351)
1936: sub-branch 2. † PLACODERMI: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)
1933: class† PLACODERMI (ARTHRODIRA, ANTIARCHI): Romer, (Berg, 1940, p. 352).
1937: class † PLACODERMI: Romer, (Berg, 1940, p. 352)

---
PLACODERMI = placo-dermi=「平板の」+「~皮をもった《男複》」=「板皮類」

---
placo-は,ギリシャ語の[ἡ πλάξ]」=《女》「平板」がラテン語の《合成前綴》化したもの.

-dermiはギリシャ語の[τό δέρμα]」=《中》「皮,皮膚」がラテン語の《合成後綴》化した-dermusの変化形.《男性》《複数》が名詞化したもの.「~皮;~皮をもった」を意味します.

あわせて,「平板の皮をもったものども」の意味で,普通「板皮類」と訳されています.

---
PLACODERMATAなんかのほうがいいのじゃあないかと思いますね.推奨されているのは-morphaですから,PLACODERMMORPHAでしょうけど,語呂が悪いですね.

(2011.08.25.:修正)


(2011.09.16.:修正)

2011年7月12日火曜日

魚の分類(10)Goodrich (1930)

ベルグが9番目に示したのが,Goodrich (1930)の分類です.Goodrich (1930)はGoodrich (1909)の分類を以下のように修正しています.

---
E. S. Goodrich, 1930, Studies on the structure and development of Vertebrates. London, pp. XV-XX.
(注:ページ数がおかしいですが,Berg (1940)のママです)

---

Phylum Vertebrata


subphylum ACRANIA
subphylum CRANIATA
 branch MONORHINA
  class CYCLOSTOMATA
   subclass MYXINOIDEA
   subclass PETROMYZONTIA
 branch and class OSTRACODERMI
   order ANASPIDA
   order CEPHALASPIDOMORPHI
   order PTERASPIDOMORPHI
   order PTERYCHTHYOMORPHI (ANTIARCHI)
 branch GNATHOSTOMATA (AMPHIRHINA)
grade ICHTHYOPTERYGII
  class PISCES
subgrade CHONDRICHTHYES
 subclass ELASMOBRANCHII
  order SELACHII
  order HOLOCEPHALI
  order PLEURACANTHODII (ICHTHYOTOMI)
 subclass CLADOSELACHII
 subclass ACANTHODII
 subclass COCCOSTEOMORPHI
  order ANARTHRODIRA (MACROPETALICHTHYS)
  order ARTHRODIRA
 subgrade OSTEICHTHYES
  subclass DIPNOI
  subclass TELEOSTOMI
 division CROSSOPTERYGII
  order OSTEOLEPIDOTI
  order COELACANTHINI
 division ACTINOPTERYGII
  subdivision A
   order CHONDROSTEI (PALAEONISCOIDEI, ACIPENSEROIDEI, SAURICHTHYOIDEI)
   order POLYPTERINI
  subdivision B. HOLOSTEI
 group a
  order AMIOIDEI
  order LEPIDOSTEOIDEI
 group b
  order TELEOSTEI
---
注:違うランクが同じ位置に,同じランクが違う位置に配置されていますが,Berg (1940)の表現をできるだけ正確にあらわしています.

ICHTHYOPTERYGII

(clade unknown) ICHTHYOPTERYGII (author unknown)


1930: grade ICHTHYOPTERYGII : Goodrich, (Berg, 1940, p. 351)

---
ICHTHYOPTERYGII = ichthyo-pterygii=「魚の」+「翼《男複》」=「魚翼類(魚鰭類)」

---
ichthyo-は,ギリシャ語の[ὁ ἰχθύς]=《男》「魚」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-pterygiiは,ギリシャ語の[ἡ πτέρυξ]=《女》「翼」が,ラテン語の《合成後綴》化した-pterygiusの変化形.その《男性》《複数》形で「~翼」の意味です.

あわせて,「魚の翼」という意味.魚の翼は鰭のことですから,「魚翼類」もしくは「魚鰭類」と訳しておきます.

---
class REPTILIA Laurenti, 1768 の下位分類 subclass ICHTHYOPTERYGIA Owen, 1860 (=「魚鰭亜綱」)とわずかに語尾が異なるだけなので,マナー違反もしくはルール違反の疑いがあります.
定義者名を明記しないという悪習があるので,なおのこと,混乱を引き起こす可能性がありますね.そこが根本的な問題でしょう.

(2011.09.10.:修正)

PTERYCHTHYOMORPHI

order PTERYCHTHYOMORPHI (author unknown)


order PTERYCHTHYOMORPHI (ANTIARCHI): Goodrich, 1930 (Berg, 1940, p. 351)

---
PTERYCHTHYOMORPHI = pter-ychthyo-morphi=「翼状の」+《不詳》+「~様のもの《男複》」

ychthyo-はichthyo-の誤記かと思われる.ただし,原著の誤記なのか,berg (1940)の誤記なのかは不明.

(2011.09.18.:修正)

MONORHINA

(clade unknown) MONORHINA (author unknown)


1930: branch MONORHINA: Goodrich, (Berg, 1940, p. 351)

---
MONORHINA = mono-rhina=「単一の」+「~鼻をもつもの《中複》」

---
mono-は,ギリシャ語の[μόνος]=「単一の」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-rhinaは,ギリシャ語の[ἡ ῥΐς]=《女》「鼻」が,ラテン語の《合成後綴》化した-rhinusの変異形.《中性》《複数》形が《名詞化》したもので「~鼻;~鼻をもつもの」の意.

あわせて,「単一の鼻をもつもの」となります.仮に「単鼻類」と訳しておきます.

(2011.09.13.:修正)

CRANIATA

phylum CRANIATA Linnaeus, 1758


1758: phylum CRANIATA Linnaeus,
1921: phylum? CRANIATA: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)
1927: phylum? CRANIATA: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)
1930: subphylum CRANIATA: Goodrich, (Berg, 1940, p. 351)
1932: phylum? CRANIATA: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)
1936: phylum? CRANIATA: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)

---
CRANIATA = craniata=「頭蓋をもった《中複》」=「(有)頭蓋類」

---
craniataは,ギリシャ語の[τό κρᾱνίον]=《中》「頭」を,ラテン語化したものの変異形です.
[τό κρᾱνίον]をラテン語綴り化するとcranionですが,この語根はcrani-, cranio-です.

これに,「~をもった」を意味する《合成後綴》《形容詞》-atusを合成して,
craniatus = crani-atus=「頭蓋の」+「~をもった」=「頭蓋をもった」

《形容詞》は《三性変化》をしますので,
《形容詞》craniatus, craniata, craniatum

《形容詞》は《複数》をサポートしますので,
《形容詞》《複》craniati, craniatae, craniata

これらは,《名詞化》して,おのおの=「頭蓋をもったもの」の意味になります.

上記,CRANIATAはこれらのうちの,《中性》《複数》形です.

---
【蛇足】
否定を意味する接頭辞a-をつけると,どういう意味になるでしょう.

(2011.09.05.:修正)

ACRANIA

subphylum ACRANIA (author unknown)

1930: subphylum ACRANIA: Goodrich, (Berg, 1940, p. 351)
1940: subphylum ACRANIA: Berg, p. 355.

---
ACRANIA = a-crania=「非・」+「頭蓋《中複》」=「無頭蓋類」

---
a-は否定の《接頭辞》.

-craniaは,「~頭蓋;~の頭蓋をもつ」の意味の《合成後綴》《中性》《複数》

--
したがって,ACRANIA は a-craniaという構造で,「非・」+「頭蓋《中複》」の意味を持ち,「無頭蓋類」と訳すことができます.

---
これは,LEPTOCARDII Müller, 1844, CEPHALOCHORDATA Owen, 1846 と呼ばれているものと同じ分類群で,実際にはいわゆるナメクジウオが分類されています.

ACRANIA=「無+頭蓋《中複》」
LEPTOCARDII=「細い+心臓《男複》」
CEPHALOCHORDATA=「頭の+索状のもの《中複》」

ナメクジウオは,心臓もなければ,脊柱ももっていません(それどころか,四肢も腰帯もない).
てなわけで,名称としては,「頭がない」や「細い心臓(いわゆる心臓がなく,血管が収縮することで血液を送り出す=だから,細い心臓)」よりも,「頭が索状」のほうが特徴をあらわしているのは事実のようで.
ただ,先取権からはどうなのでしょう.

(2011.08.29:修正)

2011年7月9日土曜日

魚の分類(9)Woodward (1932)

ベルグが8番目に示したのがA. Smith Woodward (1932)の分類です.

---
Woodward, A. S., 1932, "Textbook of Palaeontology, The second English edition“ by Zittel (1932).

---

class PISCES


subclass 1. † OSTRACODERMI
 order † ANASPIDA
 order † HETEROSTRACI
 order † OSTEOSTRACI
 order † ANTIARCHI
subclass 2. CYCLOSTOMI
subclass 3. † ARTHRODIRA
subclass 4. ELASMOBRANCHII
 order † ACANTHODII
 order † PLEUROPTERYGII
 order † RHENANIDI
 order † STEGOSELACHII
 order † ICHTHYOTOMI
 order SELACHII
 order HOLOCEPHALI
subclass 5. DIPNOI
subclass 6. GANOIDEI
 order CROSSOPTERYGII
 order CHONDROSTEI
 order PROTOSPONDYLI
 order † HALECOSTOMI
subclass 7. TELEOSTEI
 order ISOSPONDYLI
 order OSTARIOPHYSI
 order HAPLOMI
 order APODES
 order PERCESOCES
 order HEMIBRANCHII
 order ANACANTHINI
 order HETEROSOMATA
 order ACANTHOPTERYGII

HEMIBRANCHII

order HEMIBRANCHII (author unknown)


1932: order HEMIBRANCHII: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)

---
HEMIBRANCHII = hemi-branchii=「半分の」+「~鰓をもつもの《男複》」=「半鰓類」

---
hemi-は,「半,半分」という意味を持つギリシャ語の《接頭辞》[ἡμῑ-]です.ラテン語化するとsemi-という形もあります.

-branchiiは,ギリシャ語の[τό βράγχιον]=《中》「鰓」が,ラテン語の《合成後綴》化した-branchiusの変化形.《男性》《複数》形です.

あわせて,「半分の鰓をもつもの《男複》」です.「半鰓類」とでも訳しましょうか.

(2011.09.09.:修正)

STEGOSELACHII

?superorder STEGOSELACHII Woodward, 1924


1924: ?superorder STEGOSELACHII Woodward,
1932: order † STEGOSELACHII: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)
1936: order † STEGOSELACHII: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)

---
STEGOSELACHII = stego-selachii=「屋根のある」+「~鮫に属するもの《男複》」=「屋根鮫類」(=「硬鮫類・堅甲鮫類」)

stego-は,ギリシャ語の[τό στέγος]=《中》「屋根」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-selachiiは,ギリシャ語の[τό σέλαχοϛ]=《中》「サメの類(軟骨魚,板鰓類;サメ,エイ)」が,ラテン語の《合成後綴》化した-selachiusの変異形.《男性複数形》が名詞化したもので「~鮫;~鮫に属するもの」の意味.
あわせると,「屋根のある鮫に属するものども」という意味ですが,意味不明ですね.とりあえず「屋根鮫類」と訳しておきますが,中国では「硬鮫類・堅甲鮫類」などと訳しているようです.

(2011.09.22.:修正)

RHENANIDI

order † RHENANIDI: Woodward, 1932 (Berg, 1940, p. 350)

---

(2011.08.27:削除)RHENANIDA 参照のこと


ANTIARCHI

order ANTIARCHI Cope, 1885

1923: order ANTIARCHA: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)
1932: order † ANTIARCHI: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)
1936: group A. † ANTIARCHI: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)

---
ANTIARCHI = anti-archi=「反・」+「肛門《男複》」=「反肛類」(=胴甲類)
ANTIARCHA = anti-archa=「反・」+「肛門《中複》」=「反肛類」(=胴甲類)

ANTIARCHIは「胴甲類」と“訳”されていることがありますが,これは「訳」ではないですね.

---
anti-は,ギリシャ語の《前置詞》で, [ἀντί]」=《前置詞》「に面して,に相対して,対立して,反対して」をラテン語の《合成前綴》化したものです.

-archi, -archaは,元はギリシャ語の[ὁ ἀρχός]」=《男》「導くもの,リーダー.直腸,肛門」ですが,以下のように変化します.

《合成後綴》《形容詞》化
-arch-us =「肛門の」+《形容詞》=-archus

《形容詞》は,《三性活用》しますので,
《合成後綴》《形容詞》-archus, -archa, -archum =「肛門の」(順に《男》《女》《中》)

《形容詞》は,《複数形》をサポートするので,
《合成後綴》《形容詞》-archi, -archae, -archa =《複》「肛門の」(順に《男》《女》《中》)

各々,名詞化に伴い=「~肛門;~肛門を持つもの」の意になります.
したがって,ANTIARCHIも,ANTIARCHAも「反対の肛門を持つもの」の意味になります.違いは,前者が《男性複数》であり,後者は《中性複数》ということになりますね.

しかし,ここで《男性》になったり,《中性》になったりは,どうもしっくり来ないです.ここは明瞭に「グループ」の意味を持たせて,ANTIARCHI-FORMESとかにした方がいいでしょうね.

(2011.08.27:修正)

2011年7月8日金曜日

当世,流行言葉集

「徹底検証」:昨日,一時間半ほどで創りあげた番組の修飾語.それ以上時間をかけていて,この出来なら,それこそ「お笑い」だね.
「潜入」:関係者から許可を取って,撮影すること.「スクープ!」もほぼ同じ.
「劇撮!衝撃映像」:YouTubeからの引用.
「特別ゲスト」:番宣にきたタレントのこと.


「独占インタビュー」:局アナが写っていること.
「街頭インタビュー」:一般市民を装った大部屋タレントの独擅場.脚本あり.


「アンケート」:数人に訊くこと.
「無作為アンケート」:質問内容より,その前につく「条件文」がやたらに長い.
 例:原発を廃止すると原始時代に戻りますが……,それでもあなたは原発に反対しますか「yes, no」
 例:消費税を上げないと被災地住民の救済が困難ですが……,それでもあなたは増税に反対しますか「yes, no」(「yes, no」以外の答は認められない)


「ワイドショー」:一見,報道番組風のバラィエティ.バラィエティだから放送内容に責任を負わないと某番組プロデューサーが公言したことがある.「ニュースショー」も同じ用法.
「ワイドショーの司会者」:どんないい加減なことをいっても,責任をとらなくてもいい,と裁判所のお墨付きがある.理由は,プロデューサー・ディレクターの指示に従っただけだからという.つまり,「演劇中で殺人者の役をやっても,殺人罪には問われない」と,同じことだという.だったら「プロデューサー・ディレクター」には責任があるはずだが,どうなっているのかは,よくわからない.
なお,某「へえへえおばさん」が「番組中の意見はディレクターの指示による」ことを証言している.

「へえへえおばさん」:数日前に別の放送局の番組で「同じもの」を見ていても,そのときにはまるで初めてみたように,大声で「へえー,へえー」くりかすタレント.好感度ナンバー一桁というタレントがけっこう多い.ということは,この「好感度ナンバー」というのも怪しい.
また,一般人でも,彼女ら(かれら)のリアクションなるものをまねる人が増えている.普通じゃあないことに気付いていない.


「ニュース」:一見,報道番組風の政府もしくは企業の宣伝ショー
「芸能ニュース」:芸能人のスキャンダル.
「スポーツニュース」:プロスポーツ選手のスキャンダル.
「政治ニュース」:政治家のスキャンダル.


「お笑い番組」:有能な芸人を集めておきながら,「芸能」ではなく,「真似しないでください」というテロップを流さなくてはならないほど危険なことをやらせる番組.
「バラィエティ」:ほぼストーカー番組.有能な芸人の芸ではなく,私生活を見せる.見たくないって.
「まねっ子番組」:ほぼすべて.
「ディベート番組」:意見の違いを明らかにすることより,相手に発言させない方法を示す番組.一時期は流行っていたが,最近は減った.
「政治討論会」:説明不能.

「日本語が乱れている」:自分たちが乱した日本語なのに,時々,責任を回避するために言葉の軽いアナウンサーたちが使う.

「Fテレビ」:愚民政策の最先端を受け持っていたら,いつの間にか,局アナが「愚民」になっていた.「フ●・サ●ケ●グループ」の一員.(本来の意味の)「トンデモ」だから,わかっていれば,それなりにおもしろい(注:「トンデモ」という用語は正確に使いましょう).
「公共放送」:●HKの場合には,政府広報番組なのに受信料を取られる(税金の二重取りのような気がするがどうだろう).N●Kの場合には,ほかの高品質番組がみたい場合には別料金を請求される(「BS」とかいうらしい).
「BS」:「BS」なんか見る気ないのに,もれなくTVについてくる.「スカパー,無料」なんてのにつられてアンテナを立てると,もれなくNH●から上乗せ受信料が請求されるそうだ.

(宮武無い骨:責任編輯)


2011年7月7日木曜日

武士の時代(続き)

関 幸彦(2006)「東北の争乱と奥州合戦=「日本国」の成立=」(戦争の日本史5,吉川弘文館)
   


読みました.
こちらは,残念ながら

福田豊彦(1995)「東国の兵乱ともののふたち」(吉川弘文館)
   

と,違い,武器≒鉄の動向については,何一つ触れられていません.
ただ,p. 172に,「掘り下げ方として,鉄及び製鉄の問題もおもしろい…」とありますが,記述はほとんどありません.専門書が二冊ほど紹介してありますが,ほぼ入手は不可能なものかと….
題名からいって,食指がうごくようなものでもありませんし….

ただし,「武士(政権)の誕生」が「日本国」の成立に並行しているし,それが,(不明な点が多いにしろ)「前九年の役(安倍一族)」,「後三年の役(清原一族)」そして「奥州合戦(源義経)」として歴史に残っているというのは興味深かったです.


義経といえば,「金売り吉次」という人物がいましたね.伝説だともいわれてますが.
一種の山師なのでしょうけど,なにか興味深い人物でもあります.

2011年7月4日月曜日

アシタカの武器

 先日,TVで「もののけ姫」をやってました.
 アシタカがもっていたのは「蕨手刀」でしたね.でも主たる武器ではない.
 常用しているのは「弓」でした.
 矢尻は「鉄」だったのでしょうか.たぶん,違うでしょうね.東北地方の「蝦夷」という設定でしょうから….

   
 

武士の時代

 
 武士の時代が到来するには,いくつかの条件が必要だったらしい.
 その全体像にはあまり興味がありませんが,かれらが日常使用する武器は,武器を造るには「鉄」が必要だったことがあり,「鉄」の供給がどうあったのかには興味があります.

 「阿弖流為」のところで触れたように,そういう歴史の見方というのは,まだ成立していないらしいのですね.暴れまくる武士が,その手に持っているのは「鉄」なんですが….

 その一部について,語られているのが,
 福田豊彦(1995)「東国の兵乱ともののふたち」(吉川弘文館)

   


 関係あるのは,Ⅱ章「馬と鉄と北の世界」だけです.
 Ⅰ章「王朝国家と兵乱」は,その背景を知るのに便利ですが,Ⅲ章「鎌倉幕府をめぐる人びと」は「ハイ.歴史でやってくださいね」という感じ.

 ま,要するに,よくわからんのですね.
 ただ,むかし学校で習った“歴史”は大嘘だったことが認識されます.

 「鉄」は「北の世界」でも,関東と東北と北海道では状況が異なります.東北,北海道の「鉄」は,ほとんどわかっていない.
 しかし,「鉄」の動向は“アイヌ民族の成立”に関係していただろうということが,しめされてました.交易民だったプレ・アイヌ民族がなぜ,蝦夷ヶ島に封じ込められ,アイヌ民族にならなければなかったのか.

 東京工業大学製鉄史研究会(1982編)「古代日本の鉄と社会」(平凡社選書)
 H.チースリク(1962編)「北方探検記 : 元和年間に於ける外国人の蝦夷報告書」(吉川弘文館)

     

 を,読みなおさなくっちゃ.と,思う.
 あ,その前に「安倍一族」と「平将門」があった.
 

2011年7月1日金曜日

魚の分類(8)Jordan (1923)

 
ベルグが7番目に示したのが,ジョーダン(D. S. Jordan, 1923)の"Classification of fishes”です.
ジョーダンは“魚様脊椎動物”および「魚」を6つの綱に分け,71の目,638の科に別けています.Teleostei(=完骨類)だけでも511の科に分類しています.

---
*1: D. S. Jordan. A classification of fishes, including families and genera as far as known. Stanford Univ. Publ., Biol. Sci., III, No. 9, 1928, pp. 77-248+X.

++++
class 1. LEPTOCARDII
 order AMPHIOXI
class 2. MARSIPOBRANCHII
 order HYPEROTRETIA
 order HYPEROARTIA
class 3. OSTRACOPHORI (OSTRACODERMI)
 order HETEROSTRACI
 order OSTEOSTRACI
 order ANTIARCHA
 order ANASPIDA
 order CYCLIAE (PALAEOSPONDYLIDAE)
class 4. ARTHRODIRA
 order STEGOPHTHALMI
 order TEMNOTHORACI
 order ARTHROTHORACI
class 5. ELASMOBRANCHII
 subclass SELACHII
  order PLEUROPTERYGII
  order ACANTHODEI
  order ICHTHYOTOMI
  order POLYSPONDYLI (fam. ONCHIDAE)
  order CESTRACIONTES
  order SELACHOPHIDICHTHYOLDEI
  order NOTIDANI
  order EUSELACHII
  order TECTOSPONDYLI
  order BATOIDEI
 subclass HOLOCEPHALI
  order CHIMAEROIDEI
class 6. PISCES
 subclass CROSSOPTERYGII
  order RHIPIDISTIA
  order ACTINISTIA
  order CLADISTIA
 subclass DIPNEUSTA
  order CTENODIPTERINI
  order SIRENOIDEI
 subclass ACTINOPTERI
  superorder GANOIDEI
   order CHONDROSTEI
   order GLANIOSTOMI
   order SELACHOSTOMI
   order PYCNODONTI
   order HOLOSTEI
   order HALECOMORPHI
  superorder TELEOSTEI
   order ISOSPONDYLI
   order LYOPOMI
   order HETEROMI
   order SYMBRANCHIA
   order OPISTHOMI
   order APODES
   order HETEROGNATHI
   order EVENTOGNATHI
   order NEMATOGNATHI
   order INIOMI
   order XENOMI
   order HAPLOMI
   order CYPRINODONTES
   order SYNENTOGNATHI
   order ANACANTHINI
   order SALMOPERCAE
   order XENARCHI
   order ALLOTRIOGNATHI
   order SELENICHTHYES
   order HETEROSOMATA
   order ZEOIDEI
   order XENOBERYCES
   order BERYCOIDEI
   order THORACOSTEI
   order HYPOSTOMIDES
   order AULOSTOMI
   order LABYRINTHICI
   order PERCOMORPHI
   order CATAPHRACTI
   order HOLCONOTI
   order CHROMIDES
   order PHARYNGOGNATHI
   order GOBIOIDEA
   order DISCOCEPHALI
   order JUGULAREA
   order XENOPTERYGII
   order PLECTOGNATHI
   order PEDICULATI
 

JUGULARES

order JUGULARES Linnaeus, 1758


order JUGULARES: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
JUGULARES = jugularis =「喉に関係するもの《男女複》」=「喉類」

---
「喉」を意味するラテン語が,jugulus=《男》「喉」もしくはjugulum=《中》「喉」.これの《合成後綴》《形容詞》形が,-jugularis = -jugul-aris=「喉の」+《種類,関係,従属》

形容詞は《三性変化》するので,
《合成後綴》《形容詞》-jugularis, -jugularis, -jugulare =「喉の」

形容詞は《複数》をサポートするので,
《合成後綴》《形》《複》-jugulares, -jugulares, -jugularia =「喉の」

これらが,《名詞》化して=「喉に関係するもの《男女複》」という意味になります.

(2011.09.11.:修正)

GOBIOIDEA

order GOBIOIDEA (author unknown)


order GOBIOIDEA: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
GOBIOIDEA = gobi-oidea=「Gobiusの」+「~類似の形からなる《中複》」

--
gobi-は,ラテン語のgobio, gobionis (gōbio, gōbiōnis)もしくはgobius, gobii (gōbius, gōbiī)=「雑魚;ハゼ(goby)」の語根.もとは,ギリシャ語の[ὁ κωβιός]=《男》「コービオス(コイ科の小魚;雑魚):ハゼ」からきたものらしく,ラテン語にもcobio, cobionis (cōbio, cōbiōnis)もしくはcobius, cobii (cōbius, cōbiī)=《男》「雑魚;ハゼ(goby)」があります.

-oideaは,-oideus = -oid-eus=「~類似の+~からなる」の《中性》《複数》形.

あわせると,「Gobiusの類似の形からなるもの《中複》」

---
注:GOBI-は「ハゼ類」と訳されることがありますが,問題が多いですね:模式種のGobius nigerは Black goby(日本ではセイヨウカマツカ属,キタノカマツカ属などと呼ばれることもある)と呼ばれ,東大西洋・地中海・黒海に生息します.つまり,カマツカ類の方が妥当といえば,妥当なのですね.
欧州でgoby《英》と呼ばれるのはGOBIOIDEI(ゴビウス亜目)の仲間.一方,日本ではGOBIOIDEA(ゴビウス目)に属する魚を俗に「ハゼ」というそうです.
ちなみに,マハゼはAcanthogobius flavimanus Temminck et Schlegel, 1845.

(2011.09.08.:修正)

CHROMIDES

order CHROMIDES (author unknown)

1923: order CHROMIDES: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
CHROMIDES = chrom-ides=「Chromisの」+《一族の名をあらわす》

---
Chromisはギリシャ語の[ὁ/ἡ χρόμις]=《男女》「(明るい色彩をもった)海の魚の一種」のこと(辞典は日常語の解説なので,理系頭には意味不明ですが,“あるグループの海棲魚のことで,それは非常に明るい色彩をもっている”ということですかね.一種じゃあ,ありません.もちろん;具体的には「スズメダイ類」のことらしいです).

そのまま,ラテン語綴化されて,属名として用いられ,Chromis =「スズメダイ属」です.

これは《合成前綴》chrom-を構成し,さまざまな語尾と合成されて,いくつかの分類用語を造っています.
亜科を意味する-inaeと結びついて…,
CHROMINAE = chrom-inae=「Chromisの」+《亜科》

科を意味する-idaeと結びついて…,
CHROMIDAE = chrom-idae=「Chromisの」+《科》

「父祖からの一族・種族の名」をあらわす《合成後綴》-idesと結びついて…,
CHROMIDES = chrom-ides=「Chromisの」+《一族の名》=「Chromis族」
これは,造成当時は《目》をあらわしていたらしいですが,現在は使われていません.

(2011.09.04.:修正)

HOLCONOTI

order HOLCONOTI (author unknown)


order HOLCONOTI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
HOLCONOTI = holco-noti=「溝のある」+「~背をもつもの《男複》」=「溝背類」

---
holco-は,ギリシャ語で[ὁ ὁλκός]=「揚陸機;溝」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.「揚陸機」と「溝」はまったく別のものですが,揚陸機で船を引き上げると「溝」ができるということなのでしょうか.

-notiは,ギリシャ語で[τό νῶτον]=「背,背中」が,ラテン語の《合成後綴》化した-notusの変異形.《男性》《複数》で「~背;~背をもつもの」の意味.

あわせて,「溝のある背をもつもの《男複》」の意味で,「溝背類」とでも訳しましょうか.

(2011.09.09.:修正)

CATAPHRACTI

order CATAPHRACTI (author unknown)

1923: order CATAPHRACTI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
CATAPHRACTI = cataphracti=「装甲《男複》」(=甲頬類,頬甲類)

---
cataphractiは,ギリシャ語の[κατάφρακτος]=「鎧で覆われた」の変化形です.

κατάφρακτοςはκατά-φρακτος=「上から下へ」+「保護された」という意味.
κατάφρακτοςは,そのままcataphractusというラテン語に転移されているようです.

したがって,
《形容詞》cataphractus, cataphracta, cataphractum =「装甲の」

《形容詞》は《複数》をサポートするので…,
《形容詞》《複数》cataphracti, cataphractae, cataphracta =「装甲の」

さらに《名詞》化して…,
=「~装甲;~装甲をもつもの」の意.

---
したがって,CATAPHRACTIは「装甲をもつもの《男複》」という意味で,日本語では,「甲頬類」もしくは「頬甲類」と訳されています.
う~~ん.だったら,もとの言葉はcataphracto-pareiaiとかの方が….

(2011.09.02.:修正)

LABYRINTHICI

order LABYRINTHICI Regan(?), 1909(?)


1923: order LABYRINTHICI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
LABYRINTHICI = labyrinthici=「迷宮をもつもの《男複》」=「迷宮器官類」

---
LABYRINTHICIは,ギリシャ語の[ὁ λαβύρινθος]=「迷宮,迷路」の変化形です.
[ὁ λαβύρινθος]のラテン語化した《合成前綴》はlabyrinth-で,これに《所有・従属関係》をあらわす《形容詞》化語尾-icusが合成されて,
labyrinth-icus=「迷路の」+《形容詞:所有・従属関係》化語尾=「迷路の;内耳の;複雑な」

形容詞は《三性変化》するので,
《形》labyrinthicus, labyrinthica, labyrinthicum=「迷路の;内耳の;複雑な(ラビリンス器官の)」

形容詞は《複数》をサポートするので,
《形》《複》labyrinthici, labyrinthicae, labyrinthica =「迷路の;内耳の;複雑な(ラビリンス器官の)」

これらが,おのおの名詞化して「迷路をもつ;内耳をもつ;複雑なものをもつ」の意味になります.つまり,LABYRINTHICIはこれらのうちの,《男性》《複数》形なわけです.
ところで,文法的にはこうなるのですが,LABYRINTHICIは「ラビリンス器官」(正確な名称不明)と呼ばれるものを所持しているところから名づけられたらしく,「ラビリンス器官を持つものども」という意味らしいのです.だから,labyrinthus (labyrinth-us)(=「ラビリンスの」)ではなく,labyrinthicus (labyrinth-icus)(=「ラビリンスをもつ」)だったわけですね.

(2011.09.12.:修正)

AULOSTOMI

(clade unknown) AULOSTOMI (author unknown)
order AULOSTOMI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
AULOSTOMI = aulo-stomi=「管の」+「~口《男複》」(=管口類)

---
aulo-は,ギリシャ語の[ὁ αὑλός]=《男》「フルート.笛.管」が,ラテン語の《合成前綴》化したものです.

-stomiは,ギリシャ語の[τό στόμα]《中》「口;舌,言語;顔;出口;裂け目;先端;前」の《合成後綴》《男性》《複数》形です.意味は「~口.~の口をしたもの」となります.

--
したがって,AULOSTOMI は aulo-stomiという構造で,「管の」+「~口;~の口をしたもの《男複》」という意味で,「管の口をしたもの」(=管口類)と訳せます.

(2011.08.31.:修正)

THORACOSTEI

order THORACOSTEI (author unknown)


1923: order THORACOSTEI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
THORACOSTEI = thorac-ostei=「胸の」+「~骨をもつもの《男複》」(=胸骨類)

thorac-は,ギリシャ語の[ὁ θώραξ]=《男》「胸」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-osteiは,ギリシャ語の[τό ὀστέον]=《中》「骨」が,ラテン語の《合成後綴》化した-osteusの変化形.《形容詞》《男性》《複数》形が名詞化したもの.「~骨:~骨をもつもの」の意味.

あわせて,「胸の骨をもつものども」という意味で,「胸骨類」と訳せます.

(2011.06.23.:修正)

BERYCOIDEI

order BERYCOIDEI (author unkown)

1923: order BERYCOIDEI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)
---

(2011.09.02.:削除)BERYCIDAE,参照

XENOBERYCES

order XENOBERYCES (author unknown)


1923: order XENOBERYCES: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
XENOBERYCES = xeno-beryces=「異種の」+《不詳》

xen-は,ギリシャ語の[ὁ ξένος]=「お客,見知らぬ人;異国人;異種,普通でないもの」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

berycesは,該当するギリシャ語・ラテン語が存在しない.family BERYCIDAE;参照

(2011.09.25.:修正)

ZEOIDEI

order ZEOIDEI (author unknown)


1923: order ZEOIDEI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

(2011.09.25.:削除)order ZEIFORMES;参照


SELENICHTHYES

order SELENICHTHYES (author unknown)


1923: order SELENICHTHYES: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
SELENICHTHYES = selen-ichthyes=「月の」+「魚《複数》」(=「月魚類」)

selen-は,ギリシャ語の[ἡ σελήνη]=「月;月の女神(ἡ Σελήνη)」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-ichthyesは,ギリシャ語の[ὁ ἰχθύς]=《男》「魚」の複数形[οἰ ἰχθύες]=《男複》「魚」をラテン語風につづったもの.一般的には,ギリシャ語をラテン語綴りに変換してから変化形をつくるのが普通ですが,これはギリシャ語の複数形を直接ラテン語化したものです.

あわせて,「月の魚ども」という意味で,「月魚類」と訳すことができます.

(2011.09.21.:修正)

XENARCHI

order XENARCHI (author unknown)


1923: order XENARCHI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
XENARCHI = xen-archi=「異種の」+「~肛門をもつもの《男複》」(=「異肛類」)

xen-は,ギリシャ語の[ὁ ξένος]=「お客,見知らぬ人;異国人;異種,普通でないもの」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-archiは,ギリシャ語の[ὁ ἀρχός]=《男》「導くもの,リーダー.直腸,肛門」が,ラテン語の《合成後綴》化した-archusの変異形.《男性複数形》が名詞化したもので,「~肛門をもつもの」の意味.

あわせて,「異種の肛門をもつものども」の意味.「異肛類」と訳しておきます.

(2011.09.24.:修正)

CYPRINODONTES

order CYPRINODONTES (author unknown)


1923: order CYPRINODONTES: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
CYPRINODONTES = cyprinodon-tes=「Cyprinodon」+《性質・状態》(=「メダカの性質」)
意味不明ですね((^^;)

---
この冠の Cyprinodon は,メダカやカダヤシに似た魚のグループで,南米・北米に生息するものだそうです.時々,「メダカ~」とか,「カダヤシ~」とかにされている場合がありますが,分類学的にぜんぜんちがうものですので,注意しましょう.

---
Cyprinodon = cyprin-odon =「コイの」+「~歯」

cyprin-はギリシャ語で[ὁ κυπρῖνος]=《男》「コイ」を,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-odonは,ギリシャ語で[ὁ ὀδών]」=《男》「歯」を,ラテン語の《合成後綴》化したもの.

あわせて,「コイの歯」になります.「コイの歯(属)」は,上記のように日本に類似したものはいませんので,「キュプリノドン属」とさせていただきます.

---
Cyprinodonの語根はcyprinod-です.この語根が,《合成前綴》として使われて,いくつかの分類名がtくりだされます.
《合成語》《属名》Cyprinodon = cyprin-odon=「コイの」+「~歯」(=「キュプリノドン属」)
《合成語》《亜科》CYPRINODONTINAE = cyprinodont-inae=「Cyprinodonの」+《亜科》
《合成語》《科名》CYPRINODONTIDAE = cyprinodont-idae=「Cyprinodonの」+《科》
《合成語》《目名》CYPRINODONTIFORMES = cyprinodont-iformes=「Cyprinodonの」+「~の形をしたもの」
《合成語》《目名》CYPRINODONTES = cyprinodon-tes=「Cyprinodon」+《性質・状態》
《合成語》《目名》CYPRINODONTI = cyprin-odonti=「コイの」+「~歯のあるもの《男複》」

後二者は,現在は使われていない様です.文法的にも違和感がありますしね.

(2011.09.06.:修正)

XENOMI

order XENOMI (author unknown)


1923: order XENOMI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
XENOMI = xen-omi=「異種の」+「~肩をもつもの《男複》」=(「異肩類」)

xen-は,ギリシャ語の[ὁ ξένος]=「お客,見知らぬ人;異国人;異種,普通でないもの」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-omiは,ギリシャ語で[ὁ ὦμος]=《男》「肩」が,ラテン語の《合成後綴》化した-omusの変化形.《形容詞》《男性》《複数》形が名詞化したもの.「~肩をもつもの」の意味.

あわせて,「異種の肩をもつものども」の意で,「異肩類」と訳すことができます.

(2011.09.25.:修正)

NEMATOGNATHI

order NEMATOGNATHI (author unknown)


1923: order NEMATOGNATHI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
NEMATOGNATHI = nemato-gnathi=「糸の」+「~の顎を持つもの《男複》」=「糸顎類」

nemato-は,ギリシャ語で[τό νῆμα]=《中》「紡糸,糸」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-gnathiは,ギリシャ語の[ἡ γνάθος]=《女》「顎,口」が,ラテン語の《合成後綴》化した-gnathusの変化形で,《男性》《複数》が《名詞》化したもの.意味は「~顎;~の顎を持つもの」.

あわせて,「糸の顎を持つもの」の意味で,「糸顎類」とでも訳すのでしょうか.ナマズの鬚を「糸」に見立てたんですかね.

---
現在は,order SILURIFORMES(=ナマズ目)が一般的に使われているようです.しかし,どちらにしても原著者名が示される例が見つからないので,原著にあたることが不可能です.つまり,比較のしようがありません.
ということで,分類名を変えた意味があるのかどうかは「不明」です.こんなの,とっても科学とは思えない((^^;)

(2011.09.14.:修正)

EVENTOGNATHI

order EVENTOGNATHI (author unknown)


1923: order EVENTOGNATHI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
EVENTOGNATHI = ev-ento-gnathi=「真の」+「内部の」+「~の顎を持つもの《男複》」(=「真内顎類」)

---
ev- は,ギリシャ語の[εὖ]=「よい.真の」だといいます.つまり,eu-がev-になったということですね.
なぜ!?
ギリシャ語には,もともとラテン語の(v)にあたる文字がありませんし,ラテン語でも(v)と書いた文字は「ヴ」ではなく「ウ(u)」と発音します.だったら,(v)は使用するべきじゃあないんですけどね.

この場合は,もっとひどいことが起きています.
ラテン語でeventus=「出来事」とい言葉がありますが,これの語根はevent-, evento-になってしまいますね.そうすると,EVENTOGNATHIは「出来事の顎をもつもの」というわけのわからない意味になってしまうのです.
現在,使われていないからいいようなものの,なぜ,EUENTOGNATHIでは,いけなかったんでしょうかね.

話を元に戻します.
ento-は,ギリシャ語の[ἐντός]=「内部に」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-gnathiは「~の顎を持つもの」という意味の《男性》《複数》形です.

--
あわせて,「真の内部の顎を持つもの《男複》」という意味.「真内顎類」とでも訳しておきますか.

(2011.09.07.:修正)


HETEROGNATHI

order HETEROGNATHI (author unknown)


1923: order HETEROGNATHI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
HETEROGNATHI = hetero-gnathi=「異種の」+「~顎をもつもの《男複》」(=「異顎類」)

hetero-は,ギリシャ語の[ἕτερος]=「異なった,異種の」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-gnathiは,ギリシャ語の[ἡ γνάθος]=《女》「顎,口」が,ラテン語の《合成後綴》化した-gnathusの変化形.《男性》《複数》で,「~顎;~顎を持つもの」の意.

あわせて,「異種の顎をもつもの《男複》」という意味.「異顎類」とでも訳しておきますか.

(2011.09.09.:修正)

SYMBRANCHIA

order SYMBRANCHIA (author unkonwn)


1923: order SYMBRANCHIA: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

(2011.09.23.削除)SYNBRANCHIFORMES:参照


LYOPOMI

order LYOPOMI (author unknown)


1923: order LYOPOMI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
LYOPOMI = lyo-pomi=「緩めた」+「~蓋をもつもの《男複》」(=「緩鰓蓋類」)

lyo-は,ギリシャ語の[λΰω]=「ゆるめる.解き放つ.解く.破壊する.溶かす」がラテン語の《合成前綴》化したもの.

-pomiは,ギリシャ語の[τό πῶμα]=「蓋,覆い」が,ラテン語の《合成後綴》化した-pomus = -pom-usの変異形.《男性》《複数》形が名詞化したもので「~蓋をもつものども」の意味です.

あわせて,「緩めた蓋をもつもの」という意味で,「緩鰓蓋類」と訳せます.

(2011.09.12.:修正)

HALECOMORPHI

(clade unknown) HALECOMORPHI Cope, 1872


1872: (clade unknown) HALECOMORPHI Cope,
1923: order HALECOMORPHI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
HALECOMORPHI ==「魚醬(鯡の)」+「様のもの《男複》」(=「鯡様類」)

---
haleco-は,ラテン語のhalec, halecis (hālēc, hālēcis)=《中》「魚醬」の語根.
本来は「魚醬」の意味であるが,この場合は,「魚醬」の原材料である小魚,特に「ニシン」を示しているらしい.

-morphiは,「~様のもの」を意味する-morphus の《男性》《複数》形.

あわせて,「魚醬(鯡)様のもの《男複》」という意味.まあ,化石ですから,魚醬みたいにグシャグシャになっていたのかもしれないですね.

(2011.09.08.:修正)

PYCNODONTI

order PYCNODONTI (author unknown)


order PYCNODONTI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
PYCNODONTI = pycnodont-i=「Pycnodusの」+《不詳》(=「Pycnodus類」)
PYCNODONTI = pycn-odonti=「密な」+「~歯のあるもの《男複》」(=「密歯類(厚歯類)」)

---
PYCNODONTIは,genus Pycnodus Agassiz, 1833を冠とする分類群名称(のはず)です.

---
《合成語》《属名》Pycnodus = pycn-odus=「密生した」+「~歯のあるもの《男単》」

Pycnodusの語根は,pycnod-ですから,
《合成語》《科名》PYCNODIDAE = pycnod-idae=「Pycnodusの」+《科》
《合成語》《目名》PYCNODI = pycnodi=「Pycnodus《男複》」=「Pycnodus類」
《合成語》《目名》PYCNODIFORMES = pycnod-iformes =「Pycnodusの」+「~形をした《複》」

になるはずですが,実際には,
《合成語》《科名》PYCNODONTIDAE = pycnodont-idae=「pycnodontusの」+《科》
《合成語》《目名》PYCNODONTI = pycn-odonti=「密生した」+「~歯のあるもの《男複》」=「密歯類(厚歯類)」
《合成語》《目名》PYCNODONTIFORMES = pycnodont-iformes =「pycnodontusの」+「~形をした《複》」
が用いられているようです.(下記)
ordo: PYCNODONTIFORMES Berg, 1937
ordo: PYCNODONTI (author unknown)
 subordo: PYCNODONTOIDEI Nursall, 1996
  familia: PYCNODONTIDAE Agassiz, 1833
   genus: Pycnodus Agassiz, 1833

---
-odontは-odusの《属格》形なんだろうと思いますが,なぜ,冠となっている《属名》の形をとらないものが採用されるのか(したがって,原形がわからない!),ここが理解できません.
もちろん,こんなことは,辞典にも文法書にも出ていないのでね.

(2011.09.19.:修正)

SELACHOSTOMI

order SELACHOSTOMI (author unknown)


order SELACHOSTOMI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
SELACHOSTOMI = selacho-stomi=「サメの」+「~の口をしたもの《男複》」(=「鮫口類」)

---
selacho-は,ギリシャ語の[τό σέλαχοϛ]=《中》「サメの類」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-stomiは,ギリシャ語の[τό στόμα]《中》「口;舌,言語;顔;出口;裂け目;先端;前」が,ラテン語の《合成後綴》化した-stomusの変異形.《男性》《複数》形が名詞化したもので,「~口.~の口をしたもの」の意味.

あわせて,「サメの口をしたものども」という意味です.とりあえず,「鮫口類」と訳しておきます.

(2011.09.21.:修正)

GLANIOSTOMI

order GLANIOSTOMI (author unknown)


order GLANIOSTOMI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
GLANIOSTOMI = glanio-stomi=「sheat-fishの」+「~の口をしたもの《男複》」

---
glanio-は,ギリシャ語で[ὁ γλάνις]=《男》「欧州産の大型ナマズ(sheat-fish)」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-stomiは,ギリシャ語で [τό στόμα]=《中》「口;舌,言語;顔;出口;裂け目;先端;前」が,ラテン語の《合成後綴》化したもの.

《合成後綴》《形容詞》《男性》《複数》-stomi=「~の口をしたもの」

あわせて,「sheat-fishの口をしたもの」の意.

(2011.09.08.:修正)

CTENODIPTERINI

order CTENODIPTERINI (author unknown)



1923: order CTENODIPTERINI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
CTENODIPTERINI = cteno-di-pter-ini=「櫛の」+「二つの」+「翼状の」+《所有・従属関係;男複》
CTENODIPTERINI = cteno-dipter-ini =「Ctenodusの」+「 Dipterusの」+《所有・従属関係;男複》

---
CTENODIPTERINIは,素直に考えるとcteno-di-pter-iniに分解されるため,「櫛状の」+「二つの」+「翼状の」+「属するものども《男複》」となり…,はっきりいって,その意味は不明ですね((^^;).

これは,どうやら,genus Ctenodusとgenus Dipterusが「属するものども《男複》」ということらしいです.文法的に正しくて,そういう意味を示すのかどうかわたしには判断ができません.

CTENODIPTERINI = Ctenod-ini +Dipter-ini
ということですか.

ちなみに,-iniは《所有・従属関係》を示す《合成後綴》《形容詞/名詞》の《男性複数》形です.

---
【蛇足】
Ctenodus = cten-odus =「櫛状の」+「歯が…の動物《男単》」=「櫛歯属」
Dipterus = di-pterus =「二つの」+「翼をもつもの《男単》」=「二翼属」

(2011.09.05.:修正)

ACTINOPTERI

infraclass ACTINOPTERI Cope, 1871

1871: infraclass ACTINOPTERI Cope,
1872?: infraclass ACTINOPTERI Cope,
1923: subclass ACTINOPTERI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
ACTINOPTERI = actino-pteri=「放射線状の」+「翼《男複》」(=「射鰭類」)

---
actino-は,ギリシャ語の[ἡ ἀκτίς]=《女》「光.光線.放射線」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-pteriは,ギリシャ語の[τό πτερόν]=《中》「羽,翼」が,ラテン語の《合成後綴》化したものの変化形.
原形は,《合成後綴》《合成語》の-pterusで,これの《男複》.

--
したがって,ACTINOPTERI は actino-pteriの構造で,「放射線状の」+「翼《男複》」という意味を持ち,和やすると「射鰭類」とでもなるでしょうか.

(2011.08.30.:修正)

DIPNEUSTA

(clade unknown) DIPNEUSTA (author unknown)


subclass DIPNEUSTA: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

(2011.09.06.削除)DIPNEUSTI;参照


CHIMAEROIDEI

order CHIMAEROIDEI (author unknown)

(2011.09.03.:削除)CHIMAERIFORMES参照


BATOIDEI

order BATOIDEI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

(2011.09.01:削除)BATIDES: 参照

TECTOSPONDYLI

order TECTOSPONDYLI (author unknown)


order TECTOSPONDYLI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---
TECTOSPONDYLI = tecto-spondyli=「屋根構造の」+「~脊椎をもつもの《男複》」

tecto-は,ラテン語でtectum (tēctum)=《中》「覆い.屋根」が《合成前綴》化したもの.

-spondyliも,ラテン語のspondylus =《男》「脊椎;貝柱;筋肉」の複数形spondyli.

合わせて,「屋根構造の脊椎をもつものども」.どんなものか,実物をみてみたいですね.

---
ちなみに,この語は《ラ語》+《ラ語》の珍しい例です.

(2011.09.23.:修正)

EUSELACHII

ordo: EUSELACHII Hay, 1902


1902: ordo: EUSELACHII Hay,
1923: ordo: EUSELACHII: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
EUSELACHII = eu-selachii=「真の」+「サメに属するもの《複数》」(=「真のサメ類(サメエイ類)」)

---
eu-は,ギリシャ語の[εὖ]」=「よく(善く,良く),立派に」を《合成前綴》化したもの.
アンモナイトの「ユーパキュディスクス[Eupachydiscus]」の「ユー[Eu-]」ですね.

-selachiiは,ギリシャ語の[τό σέλαχοϛ]=《中》「サメの類」が,ラテン語の《合成後綴》化したもの.
[τό σέλαχοϛ]をラテン語綴り化すると,selachosになり,これの語根はselach-.
これを《合成後綴》形容詞化します.

-selachius = -selach-ius=「鮫の」+「~の.~(に)属する,~(に)関係する」

形容詞は《三性変化》しますので…,
《合成後綴》《形容詞》-selachius, -selachia, -selachium=「~鮫に属する」

形容詞は《複数》をサポートしますので,
《合成後綴》《形容詞》《複》-selachii, -selachiae, -selachia=「~鮫に属する」

これらが,おのおの《名詞》化して,=「~鮫;~鮫に属するもの」という意味になります.

---
したがって,EUSELACHII は eu-selachiiという構造で,「真の」+「サメに属するもの《複数》」という意味からなり「真鮫(鱏)類」と訳せます.

(2011.09.07.:修正)

NOTIDANI

order NOTIDANI (author unknown)


1923: order NOTIDANI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
NOTIDANI = notidani=《不詳》

---
NOTIDAN-は,genus Notidanusを冠とする分類群の接頭辞のはずです.

Notidanus = notidan-us=「小さな鮫の」+《名詞化接尾辞》

---
notidan-は,ギリシャ語の [ὁ νωτιδανός]=「小さな鮫.尖った背びれをもつ.鮫の一種」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.
これに《名詞化語尾》の-usが合成されて,《属名》として使われています.

《合成前綴》notidan-に分類群をあらわす《合成後綴》を付加すれば,さまざまな分類群名が合成できます.
《科》を意味する-idaeを合成して,
NOTIDANIDAE = notidan-idae=「Notidanusの」+《科》

《目》を意味する-iformesを合成すれば,
NOTIDANIFORMES = notidan-iformes=「Notidanusの」+《目》
となるはずですが,Notidanusは現在,冠としては使われていないようなので,存在していません.

---
さて,NOTIDANIですが,ギリシャ語の複数形をラテン語化したものかと考えたのですが,調べたところ[νωτιδανοί]すなわち,NOTIDANOIにしかならないので,あてはまりません.

どうやら,Notidanusそのものの複数形Notidaniを使用しているらしいのです.ただし,Notidanusの複数形なんてものは,ギ語辞典にも,ラ語辞典にも載っているものではありません.他の例から導き出したものです.

通常,《目》の名称は,「類似するもの」,「形のもの」などの語尾をつけて合成されていますので,これは非常に珍しい例です.

(2011.09.14.:修正)

SELACHOPHIDICHTHYOLDEI

order SELACHOPHIDICHTHYOIDEI Jordan, 1923


1923: order SELACHOPHIDICHTHYOIDEI Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
SELACHOPHIDICHTHYOIDEI = selach-ophid-ichthy-oidei=「鮫の」+「小さな蛇の」+「魚の」+「~類似の形からなるもの《男複》」

selach-は,ギリシャ語の[τό σέλαχοϛ]=《中》「サメの類」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

ophid-は,ギリシャ語の[ὁ ὄφις]=《男》「ヘビ」の《縮小形》[τό ὀφίδιον]=《中》「(小さな)ヘビ」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.なお,この語は「(アナゴ,ハモなどのヘビ様の)魚」」も意味しています.

ichthy-は,ギリシャ語の[ὁ ἰχθύς]=《男》「魚」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-oideiは,ギリシャ語の「~類似の」を意味する《形容詞語尾》[-οειδης]がラテン語化した-oideus = -oid-eus=「~類似の」+「~からなる」の変化形.《男性》《複数》形で,「~類似の形からなるものども」を意味します.

あわせて,「鮫の,小さな蛇の,魚の類似の形からなるものども」.意味不明ですね((^^;).
のちの引用例がまるでないので,死語だと思います.

(2011.09.21.:修正)

CESTRACIONTES

order CESTRACIONTES (author unknown)

1923 order CESTRACIONTES: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
CESTRACIONTES = cestracion-tes=「Cestracion」+《不詳》

---
cestracionは,genus Cestracion Oken, 1817のこと.
genus Cestracion Oken, 1817はgenus Heterodontus Blainville, 1816の同物異名なので,order CESTRACIONTESは成立しません.

Ordo: HETERODONTIFORMES Berg, 1940
 Familia: HETERODONTIDAE Gray, 1851
  Genus: Heterodontus Blainville, 1816

---
Cestracionの意味は不詳.
類似の言葉に,ギリシャ語の[τό κέστρον]=「スターチス(最近日本にも輸入されている草花);鋸歯状の道具」があり,これをラテン語綴りにすると,cestronになります.

一方,ラテン語とされる言葉の中にも,
《中》cestrum (cestron), cestri =「(ロウ画法で用いられる)彫刻刀,工具」
および
《女》cestros, cestri =「カッコウグサの類」<[κέστρος]=「カッコウグサ;スターチス」
があります.
いずれも,「鋸歯状」を示していて,《合成前綴》cestr-, cestro-=「鋸歯状の」が成立しそうですが,cestra-にはなりそうもありません.

なお,-cionは,ギリシャ語の[ὁ/ἡ κίων]=《男・女》「柱,口蓋垂」のラテン語綴りです.
cestra-が成立すれば,その意味は「鋸歯状の口蓋垂」になるのですが….

---
-tesは,《行為者》,《関係者》,《当事者》もしくは《性質・状態》を示す《合成後綴》ですが,みな単数形なので,これを《目》の《接尾辞》として使用した例は珍しい(過去にないわけではないようです)と思います.

(2011.09.02.:修正)

POLYSPONDYLI

order POLYSPONDYLI (author unknown)


1923: order POLYSPONDYLI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
POLYSPONDYLI = poly-spondyli=「多くの」+「~脊椎をもつもの《男複》」(=「多椎類」)

poly-は,ギリシャ語の[πολύς]」=「多くの.十分な.重厚な」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-spondyliは不詳.
ギリシャ語で「脊椎」を意味する言葉は[ὁ σφονδύλος]=《男》「脊椎;脊柱」で,ラテン語綴り化するとsphondylosになります.綴りが違う.
現代ギリシャ語辞典には,逆に[σπόνδυλος]が載っていることがあります.こちらは,spondylosになります.

一方で,[ὁ σφονδύλος]はラテン語化していて,こちらの綴りは,spondylus =《男》「脊椎;貝柱;筋肉」.こちらには,異綴りがあってsphondylus =「同上」.

多少の混乱があるようです.
どうやら,古い時代には《ギ語》と《ラ語》では,綴りが違い,意味もかなり違っていたようです.しかし,現代では,現代ギリシャ語では綴りがラテン語に引っ張られてしまいますが,意味は古い時代と同じ.
ラテン語は,ギリシャ語での意味を吸収して綴りも変化ということらしい.
辞典では,このあたりをクリアーに説明していないので,よくわかりませんがね.

しょうがないので,spondylosとsphondylos(ギ語綴りでも同じ)は同じと仮定して,話を続けます.

-spondylus = -spondyl-us=「脊椎;脊柱」+《形容詞形》

形容詞は《三性変化》するので,
《合成後綴》《形容詞》-spondylus, -spondyla, -spondylum =「脊椎の」

形容詞は《複数》をサポートするので,
《合成後綴》《形》《複》-spondyli, -spondylae, -spondyla =「脊椎の」

これらが,おのおの名詞化して「~脊椎;~脊椎をもつもの」の意味になります.

あわせて,「多くの脊椎をもつものども」となり,「多椎類」と訳すことができます.

(2011.09.18.:修正)

ICHTHYOTOMI

order ICHTHYOTOMI (author unknown)


order ICHTHYOTOMI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)
order † ICHTHYOTOMI: Woodward, 1932 (Berg, 1940, p. 350)

---
ICHTHYOTOMI = ichthyo-tomi=「魚の」+「鋭いもの《中複》」(=「鋭魚類」)

---
ichthyo-は,ギリシャ語の[ὁ ἰχθύς]=《男》「魚」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-tomiは,[ὁ τόμος]」=「薄片,切片;(本の)巻」が,ラテン語の《合成後綴》化した-tomusの変化形です.《男性》《複数》形で,「切られたもの」を意味します.
ところが,《形容詞》[τομός]は「鋭利な,鋭い」を意味するために,《名詞》は「鋭いもの」を意味する場合があるようです.
辞典の記述は矛盾しているようですが,「鋭利な」《形容詞》で切ったものは「切断」と「破片,断片」《名詞》を意味しているのかもしれません.なお「断片」は「巻いた本」の「断片」も意味し,「(本の)巻」も意味します.

で,ICHTHYOTOMIが何を意味しているのかというと,原著になにが書かれているのか知る必要があります.が,それは不可能なので(原著者不明;わかったとしても原著入手はほとんど不可能),両方示しておきます.
ICHTHYOTOMI=「魚の鋭いものども」=「魚鋭類(鋭魚類)」
ICHTHYOTOMI=「魚の切片」=「魚切類;切り身類((^^;)」

(2011.09.11.:修正)

ACANTHODEI

order ACANTHODEI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---

(2011.08.22:修正)


(2011.08.27:削除) ACANTHODII 参照


PLEUROPTERYGII

order PLEUROPTERYGII (author unknown)


1923: order PLEUROPTERYGII: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)
1932: order † PLEUROPTERYGII: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)

---
PLEUROPTERYGII = pleuro-pterygii=「側面の」+「~翼をもつもの《男複》」=「側翼類(側鰭類)」

pleuro-は,ギリシャ語の[ἡ πλευρά]=《女》「肋骨,側面」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.「肋骨」が基本で,連想から「側面」が導き出されたもののようです(辞典の書き方が曖昧).

-pterygiiは,ギリシャ語の[ἡ πτέρυξ]=《女》「翼」が,ラテン語の《合成後綴》化した-pterygiusの変化形です.《男性》《複数》形が名詞化したもので「~羽をもつもの」の意味(ただし,これは《属格形》を使っているので,まずいのではという気がするのですが….ちゃんとしたギリシャ語学者に訊いてみたいところです).

とりあえず,あわせて,「側面の翼をもつものども」という意味で,「側翼類」と訳せます.魚の“翼”は「鰭」なので,「側鰭類」のほうがいいですかね.

---
なお,genus Pleuropterusは,植物のほうで使われているようなのですが,記述が曖昧なので追跡できません.これがあるから,PLEUROPTERYGI-になっているのかもしれないのですけどね.

(2011.09.17.:修正)

ARTHROTHORACI

(clade unknown) ARTHROTHORACI (author unknown)

1923: order ARTHROTHORACI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
ARTHROTHORACI = arthro-thoraci=「節のある」+「~胸のもの《男複》」(=「節胸類」)

---
arthro-は,ギリシャ語で[τό ἄρθρον]=《中》「関節.肢節」がラテン語の《合成前綴》化したものです.

-thoraciは,該当するギリシャ語もラテン語もありません.
以下のように変異形を推測すると,-thoraciという《合成後綴》を造ることができますが,正解かどうかはなんとも(こんなことは,辞典にも,文法書にも出ていないので).

-thoracus = -thorac-us=-「胸の」+《形容詞》化語尾=-「~胸の」

《形容詞》は《三性変化》をサポートするので…,
《合成後綴》《形容詞》-thoracus, -thoraca, -thoracum=「胸の」

同様に,《複数形》もサポートするので…,
《合成後綴》《形容詞》《複》-thoraci, -thoracae, -thoraca=「胸の」

つまり,order ARTHROTHORACIは,《名詞》《形容詞》でARTHROTHORACIなorderという様に使われていたと考えられます.ところが,《名詞》orderを略して ARTHROTHORACI 単独で使われるようになり,《形容詞》が《名詞》化します.
そうすると,
>《名詞》化=「~胸;~胸のもの」という意味に変化します.

つまり,-thoraciは「~胸;~胸のもの」という意味の《合成後綴》《男性》《複数》形ということになります.

--
したがって,ARTHROTHORACI は arthro-thoraciという構造で,「節のある」+「~胸のもの《男複》」という意味で,日本語に訳すると,「節胸類」とでもなりますか.

(2011.08.31.修正)

TEMNOTHORACI

suborder TEMNOTHORACI Goodrich, 1909


1909: suborder TEMNOTHORACI Goodrich,
1923: order TEMNOTHORACI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
TEMNOTHORACI = temno-thoraci=「切られた」+「~胸のもの《男複》」(=「切胸類」)

temno-は,ギリシャ語で[τέμνω]=「切る,傷つける」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-thoraciは,ギリシャ語で[ὁ θώραξ]=《男》「胸」が,ラテン語の《合成後綴》化した-thoracusの変異形.《形容詞》《男性複数》形が,名詞化したもので「~胸;~胸のもの」の意味.

合わせて,「切られた胸のものども」です.よくわからね~~(^^;.復元図なんか見てみたい.
とりあえず,「切胸類」と訳しておきます.

(2011.09.23.:修正)

STEGOPHTHALMI

order STEGOPHTHALMI (author unknown)


1923: order STEGOPHTHALMI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
STEGOPHTHALMI = steg-ophthalmi=「屋根の」+「~眼をもつもの《男複》」

steg-は,ギリシャ語の[τό στέγος]」=《中》「屋根」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-ophthalmiは,ギリシャ語の[ὁ ὀφθαλμός]=《男》「眼」が,ラテン語の《合成後綴》化した-ophthalmusの変化形.《男性複数形》が《名詞化》したもので,「~眼;~眼をもつもの」の意味.

あわせて,「屋根の眼をもつものども」ですが,意味不明.現在はまったく使われているようすがりませんので,なにもわかりません.

(2011.09.22.:修正)

ANTIARCHA

order ANTIARCHA: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

---

(2011.08.27.削除)ANTIARCHIを参照のこと


CYCLIAE

order CYCLIAE (author unknown)


1923: order CYCLIAE (PALAEOSPONDYLIDAE): Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
CYCLIAE = cycl-iae=「丸い」+《所属》《複数形》=「丸類」

---
何を意味しているかわからない“最低の”命名ですね.

cycl-は,ギリシャ語の[ὁ κύκλος]=「円.輪」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-iaeは,《所属・関係》,《状態》,《国名》,《病気》を表す《接尾辞》《女》-iaの《複数形》と思われます.
つまり,「円に所属するもの」となりますが,なんだろね.

(2011.09.06.:修正)


OSTEOSTRACI

order OSTEOSTRACI Lankester, 1868

1923: order OSTEOSTRACI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)
1927: order 1. † OSTEOSTRACI (CEPHALASPIDAE, TREMATASPIDAE): Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)
1932: order † OSTEOSTRACI: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)
1937: order † OSTEOSTRACI: Watson, (Berg, 1942, p. 353.)

---
OSTEOSTRACI = oste-ostraci=「骨の」+「貝殻《男複》」(=「骨甲類」)

--
oste-は,ギリシャ語の[τό ὀστέον]=《中》「骨」を,ラテン語の《合成前綴》化したものです.

-ostraciは,ギリシャ語の[τό ὄστρακον]=《中》「陶器(の破片),貝殻」を,ラテン語の《合成後綴》化したもので,《形容詞》《男性》《複数》-ostraci=「~貝殻の」ですが,これを,さらに名詞化したもので「~貝殻;貝殻のようなもの」を意味します.

したがって,OSTEOSTRACI は oste-ostraci という構造をもち,意味は「骨の」+「貝殻《男複》」であり,日本語の学術用語では「骨甲類」と訳されることがあるようです.

(2011.08.26.:修正)


HETEROSTRACI

HETEROSTRACI Lankester, 1868 (clade unknown)

1923: order HETEROSTRACI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)
1932: order † HETEROSTRACI: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)
1927: order 1. † HETEROSTRACI: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)
1965: subclass HETEROSTRACI: Tarlo,, p. 1.
1937: order † HETEROSTRACI: Watson, (Berg, 1942, p. 353.)

---
HETEROSTRACI = heter-ostraci=「異種の」+「貝殻《男複》」(=「異介類(異甲類)」)

--
heter-は,ギリシャ語の形容詞[ἕτερος]=「異なった,異種の」をラテン語の《合成前綴》化したもの.

-ostraciは,ギリシャ語の[τό ὄστρακον]」=《中》「陶器(の破片),貝殻」を,ラテン語の《合成後綴》化したもので,《男性》《複数》を示します.

従って,HETEROSTRACI は heter-ostraciで,「異種の」+「貝殻《男複》」と訳せます.日本語では,「異介類(異甲類)」が使用されているようです.

(2011.08.26:修正)


OSTRACOPHORI

class OSTRACOPHORI (author unknown)


1923: class 3. OSTRACOPHORI (OSTRACODERMI): Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
OSTRACOPHORI = ostraco-phori=「貝殻の」+「運ぶもの《男複》」(=「介持類」)

---
ostraco-は,ギリシャ語で[τό ὄστρακον]=《中》「陶器(の破片),貝殻」が,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

-phoriは,ギリシャ語の[φορός]=「運ぶ,もたらす」が,ラテン語の《合成後綴》化した-phorusの変異形.《男性》《複数》が名詞化したもので,「運ぶもの」の意味.

あわせて,「貝殻の(を)運ぶもの」という意味で,「介持類」とでも訳しますか.

(2011.09.14.:修正)

HYPEROARTIA

order HYPEROARTIA (author unknown)


order HYPEROARTIA: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

(2011.09.10.:削除)HYPEROARTII;参照

HYPEROTRETIA

order HYPEROTRETIA (author unknown)


1923 order HYPEROTRETIA: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)

---
HYPEROTRETIA = = hypero-tretia=「口蓋の」+「穴の開いたものに属するもの《中複》」(=「口蓋穿孔類(穿口蓋類)」)
(たぶん)HYPEROTRETAのミススペル.

-tretiaが正しい綴りだとすると,《合成後綴》-tretius = -tret-ius=「穴の開いた」+《所属・関係》=「穴の開いたものに所属するもの」を想定することになりますが,不自然です.

《合成後綴》-tretusを想定するだけで,-tretus = -tret-us=「穴の開いた」+《形容詞/名詞》が作れますので,
《合成後綴》《男性》《複数》-treti
《合成後綴》《女性》《複数》-tretae
《合成後綴》《中性》《複数》-treta
どれも,「~穴の開いたもの」の意味になるからです.

(2011.09.10.:修正)

AMPHIOXI

order AMPHIOXI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

(2011.08.31.:削除)AMPHIOXINI;参照