2014年9月29日月曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 = T =


=== T ===

Tarantallegra(タラントアレグラ)「踊れ」:
対象にクイック・ステップを踏ませる。

Tarantallegra Tarantoallegro の合成語でしょう.
Tarantoはイタリア南東部の地名.この地方に俗に“舞踏蜘蛛”と呼ばれるタランチュラが多かったので蜘蛛の名前の語源となったそうです.実際には,この蜘蛛にはほとんど毒は無く,舞踏病を引き起こすというのも,ただの伝説だとか.
この伝説にしたがって,Tarantoを「踊る」という意味に使っているのでしょう.
allegro はイタリア語ですが,これはラテン語のalacer(=速い,活発な,生き生きとした)が語源.
「速く踊れ」というつもりなんでしょうかね.


Tergeo(テルジオ)「拭え」:
対象の汚れなどを拭う。

Tergeo は,そのまんま,ラテン語のtergeo(=拭う,磨く,綺麗にする)ですね.

2014年9月27日土曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 = S =


=== S ===

Silencio(シレンシオ)「黙れ」:
対象を一時的に黙らせる。第5巻でハーマイオニーがドロホフに対して使用し、彼の呪文の威力を軽減させている。このことから無言呪文を除き、呪文を唱えられなかった場合、その呪文の威力が低下すると思われる。

Silencio は,ラテン語のsileo(=静かにする;静かに;動くな)かな?
もちろん,英語のsilenceの語源.


Sonorus(ソノーラス)「響け」:
自分の声をスピーカーを用いたように響かせる。反対呪文は「クワイエタス」。

Sonorusは,ラテン語の形容詞sonorus(=鳴り響く,共鳴する,騒々しい)と同じ形です.
でも,ここで形容詞はおかしいですね.動詞はsono(=響く,反響する,音を立てる,など).


Specialis revelio!(スペシアリス・レベリオ)「化けの皮 剥がれよ」:
第6巻でハーマイオニーが、ハリーの「上級魔法薬」の教科書に使用。しかし何も起こらなかったため、効果は不明。

Specialis は,ラテン語の形容詞specialis(=個々の,特別な)と同じです.上級魔法だからspecial(英語)なんでしょうかね.
revelio は,たぶんラテン語のrevelo(=ベールを剥がす,裸にする)からの造語でしょう.


Stupefy(ステューピファイ)「麻痺せよ」:
「失神呪文」「麻痺呪文」。対象を失神させることができる。失神させられると、一定時間経つか「気つけ呪文」を使用されるまで失神状態が解けず、戦闘では一時的に戦闘不能状態に追い込まれる。また呪文自体にも相当なパワーがあり、第5巻では魔法省の役人4人から同時にこの呪文を撃たれたミネルバ・マクゴナガルが、一時生命が危うい状態になっている。小説では赤い閃光として表現される。映画『不死鳥の騎士団』では失神に加え「相手を吹き飛ばす」という効果もある。

Stupefy は英語ですよね.普通は「ビックリさせる」ですが,「麻痺させる」という意味もあります.
この語源がラテン語のstupefacio(=意識を失わせる,無感覚にさせる,麻痺させる).どうして,こちらを使わなかったんでしょうね.
 

2014年9月23日火曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 = R =


=== R ===

Reducio(レデュシオ)「縮め」:
反対呪文は「エンゴージオ」。

Reducio は不詳.たぶん,ラテン語のreduco(=戻す)からの造語でしょう.“和訳”はちょっと,ニュアンスが違いますね.


Reducto(レダクト)「粉々」:
「粉々呪文」。対象物を粉々に破壊する。

Reducto も,ラテン語では前記reducoと同系列の言葉でreducto(=退く;撤回する)というのがあります.この呪文が使われた背景が不明ですが,こちらも“和訳”はちょっと,ニュアンスが違いますね.


Reparo(レパロ)「直れ」:
壊れた物を直す呪文。なお、中に液体が入っていた場合、液体は戻らない。

Reparo は,そのままラテン語のreparo(=修復する;再生する)でしょう.
英語のrepairの語源ですね.


Repello Inimicum(レペロ・イニミカム)「敵をよけよ」:
『死の秘宝 PART2』で登場。スラグホーン、モリー、フリットウィックが、ホグワーツ城防衛のために使用した呪文。

Repello は,そのままラテン語のrepello(=駆る,追い払う)
Inimicum もラテン語のinimicus(=敵)でしょう.
しかし,ちょっと,ニュアンスが違いますね.


Repello Muggletum(レペロ マグルタム)「マグルを避けよ」:
「マグル避け呪文」。マグルがこの呪文をかけた物に近づくと、急用を思い出し、対象物から遠ざかるようになる。

Repello は前出.
Muggletum は,劇中で(魔法使いではない)一般人をMuggleと読んでいて,それをラテン語風にしたものと思われます.
ちなみに,英俗語ではmuggleは「マリファナ」の意味があるらしく,「無能な奴」の意味もあるらしいです.ただし,これは作中の設定なのかもしれません(普通の辞書には無い).
劇中,ハーマイオニーがこう呼ばれて,いわゆる“純血魔法使い”から差別されている設定になっていました.


Riddikulus(リディクラス)「ばかばかしい」:
まね妖怪を退治する呪文。心の中に滑稽なものを想像しつつ使用する。映画版では「バカ笑い」と訳されている。

Riddikulus は,不詳ですが,ラテン語のridiculus(=笑える,可笑しい,滑稽な)かと.これは英語の ridiculousの語源ですね.

2014年9月18日木曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 = Q =


=== Q ===

Quietus(クワイエタス)「静まれ」:
「ソノーラス」によって響かせた自分の声を元に戻す。

Quietus は,ラテン語のquietusと綴りは同じですが,ラテン語では形容詞.動詞はquiesco.でも,命令形はどうやるのかわかりません(最初にお断りしたとおり.(^^;).
これは,英語のquietの語源ですね.
 

2014年9月16日火曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 = P =


=== P ===

Partis Temporus(パーティス・テンポラス)「道を開けよ」:
『謎のプリンス』で登場。ダンブルドアが亡者を追い払う為に炎を出したが、その炎が道を塞いでしまったため、この呪文を唱えて炎をどかし、再び道を作った。

Partisは,そのままラテン語のpars(=部分)の属格partisかも.
Temporusは,たぶんラテン語のtempus(=時間,状態など)からの造語.
つまるところ…,“部分的に状態を保持せよ”ということなのかな?
自信なし.(^^;


Periculum(ペリキュラム)「救出せよ」:
『炎のゴブレット』で登場。第三の課題でハリーがフラー・デラクールを救出するためにこの呪文を使用して杖先から赤い火花を打ち上げた。

Periculum というラテン語はあるのですが,その意味は「危険;試み;責任」などで,どう解釈したらいいのかは,わかりません.発音は「ペリークルム」が近いでしょう.


Petrificus Totalus(ペトリフィカス・トタルス)「石になれ」:
「全身金縛り術」。この呪文が命中した人間は全身が動かせなくなる。声帯や舌も動かせなくなるため話すこともできないが、意識や思考は保たれる。物品にかけることもでき、例として防犯ブザーにこの呪文を行使するとブザー自体が機能しなくなる。映画では青い閃光として表現された。

petrificus はpetri-ficusの合成語と思われます.
ただし,petri-はギリシャ語形の言葉なのでpetro-が普通.一方,-ficusはラテン語形の言葉なので,こういう合成は不自然なんですが,後半がラテン語形なのでpetro-がpetri-になったのかもしれません.
簡単に言えば,petrifyという英単語をラテン語風に綴ったのだとも.
Totalusは,たぶんラテン語の totalis(=全体の)のこと.totalisは,ラテン語のtotus(=全体)からの派生語(tot-alis).英語のtotalの語源でしょうね.


piertotum locomotor(ピエルトータム ロコモーター)「すべての石よ、動け」:
第7巻でマクゴナガルが使用。ホグワーツ城内の石像が、生きているかのように動き出した。映画では「すべての兵よ、動け」と訳されている。

piertotumは不詳.ただし, pier-totumと分ければ,-totumは前出のtotusの中性形.ただし,やっぱりpier-は不詳.
locomotorは,前出=L=参照.
ということで,pier-を除いても「全体・動け」のつもりみたいです.


Prior Incantato(プライオア・インカンタート)「直前呪文」:
杖が最近使った呪文の効果を再現させる。4巻でエイモス・ディゴリーが使用。

Prior は,ラテン語のprior.prae(=前の)の比較級で「より前の」.ただ,発音は「プリオル」でしょう.
Incantatoは,たぶん,ラテン語のincantatio(=呪文).英語のincantation(=呪文,唱文;魔法)の語源.
なぜ比較級なんでしょうねえ?


Protego(プロテゴ)「護れ」

Protego は,そのまんまラテン語のprotego(=防護する)です.ただし,発音は「プローテゴ」でしょう.


Protego Horribilis(プロテゴ・ホリビリス)「恐ろしきものから守れ」:
「盾の呪文」。魔法を用いた攻撃に対してバリアを発生させ、魔法から身を護る。上から順に呪文の強度が拡大すると思われる。続けて言うことで「許されざる呪文」に対しても、効果があると思われる。護身として幅広く使える。その為、魔法省からはこの呪文を習得するよう指令が発布されたが、習得するのは難しいらしく、フレッドとジョージ・ウィーズリーが開発した「盾の帽子」には注文が殺到した。呪文に限らず、矢などの物理攻撃も防ぐことが出来る。

Protego は,前出.
Horribilis もラテン語のhorribilis(=恐ろしい).ただ,これは形容詞なのでprotego horribilis ×××.とあるべきかとは思います.


Protego Maxima(プロテゴ・マキシマ)「最大の防御」:
『死の秘宝 PART2』で登場。スラグホーン、モリー、フリットウィックが、ホグワーツ城防衛のために使用した呪文。

Protego は,前出.
Maxima も,Bombarda Maximaの説明で,でてきてます.


Protego Totalum(プロテゴ・トタラム)「万全の守り」:

Protego は,前出.
Totalum は,ラテン語のtotalis(=完全な)からの造語と思われます.
 

2014年9月11日木曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 = N =


=== N ===

Nox(ノックス)「闇よ」:
杖先に灯った明かりを消すことができる。「ルーモス」の反対呪文。ラテン語で「闇」という意味がある。

noxは,ラテン語のnox(=夜)ですね.
元はギリシャ語の「νύξ(ニュックス)」.翼竜の一属,Nyctosaurusの語源でもあります.
「タヌキ属」のNyctereutesの語源でもあります.ちなみにnyctereutesは「夜の狩人」の意味.

英語のnightは,νύξ, νυκτ-(ギ)> nox, noct-(ラ)> nacht(独)経由でできたらしいです.
ノクターン(nocturne)は「夜想曲」ですもんね~.
 

2014年9月9日火曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 =M=


=== M ===

Meteolojinx Recanto(メテオロジンクス・レカント)「気象呪い崩し」:
魔法省の窓から見える天気を変えるのに有効と言われる呪文。

meteolojinx は,たぶん,ラテン語のmeteorologicus(=地上(空中)の現象に熟達した)からの造語.名詞はmeteorologia.これはもちろん,英語のmeteorology(=気象学)の語源です.
recanto は,ラテン語のrecanto(=反響する,木霊;転じて「魔法にかける;取り除く,撤回する」など).英語のrecantですね.
つまるところ「(魔法使いの)気象呪文を撤回せよ」とでもなるのかな.


Mobiliarbus(モビリアーブス)「木よ動け」:
木を動かす。

Mobiliarbus は,たぶんラテン語の mobilisと arbosの合成語.
mobilisは,動詞 moveo(=動かす)の形容詞形.moveoは,もちろん英語のmoveの語源です.
arbosは,arborの変異形で,意味は「木」のこと.ギリシャ神話にでてくるArgoはJasonの舟ですが,arborに関係あるらしい.


Mobilicorpus(モビリコーパス)「体よ動け」:
第3巻でシリウスが使用。気絶して動かなくなったスネイプをそのままの状態で浮遊させ、運べるようにした。

Mobilicorpusは上記と同様に,mobilisとcorpusの合成語でしょう.
mobilisは既出.
corpusは,ラテン語で「体(とくにヒトや動物)」のこと.英語でもそのまま使ってますね.


Morsmordre(モースモードル)「闇の印を」:
ヴォルデモートと死喰い人が「闇の印」を上空に打ち上げる時に使用する。

Morsmordreは,たぶんmors-mordreの合成語.
morsはもちろん,ラテン語の「死,死体;死や破壊を引き起こすもの」という意味の言葉.
mordreは不明.
ですが,たぶん,ラテン語のmordeo(=噛む,切り込む;刺す;傷つける)の変形かと.
つまり,「死や破壊を引き起こすものの傷をつけよ」とかいう意味になるんでしょう.まったく自信が無いですけど.〔^^;

ちなみにヴォルデモート(Voldemort)の意味は不明ですが,無理やり解釈するとvol de mort.mortは「死・」を意味するラテン語の語根.volはvolan(=飛ぶこと)ですから,「死の飛行」とかいう意味なんじゃあないでしょうか.
ちなみに,「飛び魚座」はvolansであり,エゾモモンガの学名がPteromys volans (Linnaeus, 1758)です.

Nox(ノックス)「闇よ」:
杖先に灯った明かりを消すことができる。「ルーモス」の反対呪文。ラテン語で「闇」という意味がある。

noxは,ラテン語のnox(=夜)ですね.
これは元はギリシャ語のνύξ(nyx).翼竜の一属,Nyctosaurusの語源でもあります.
「タヌキ属」のNyctereutesの語源でもあります.ちなみにnyctereutesは「夜の狩人」の意味.
 

2014年9月6日土曜日

ハリー・ポッターの魔法呪文 =L=


=== L ===
(J, Kで始まる呪文はありません)

Lacarnum Inflamarae(ラカーナム・インフラマーレイ)「??」:
『賢者の石』で登場。ハーマイオニーがクィディッチの試合の際、スネイプの気を逸らす為、この呪文を唱えてローブの裾を炎上させた。小説では「杖から明るいブルーの炎が飛び出し」という記述があるが、呪文名は登場していない。また原作では悪魔の罠を退治する際にもこの呪文を使っている。

Lacarnum は不明.
Inflamarae は,たぶんラテン語のinflammo (=火を点ける)からの造語でしょう.


Legilimens(レジリメンス)「開心」:
「開心術」。相手の心をこじ開け、記憶や思考を読み取る。閉心術を使うことで防げる。

Legilimens は,たぶんラテン語のlegibilis(=読める,判読可能な)からの造語でしょうね.「開心」は意訳?


Locomotor(ロコモーター・○○)「」:
移動のための呪文(Locomotion Charm)物を浮かせ、杖を向けた方向に運ぶ呪文。○○には運びたい物の名前が入る作中ではトランク。

Locomotor は,たぶんloco+motorの合成語でしょう.

loco-は「場所」という意味.-motorは「動かすもの」という意味.これからフランス語のlocomoteurがつくられ,さらに英語になったらしい.意味は「運動力のあるもの」で,のちに「機関車」に使われるようになりました.
ロコモーターは英語的発音で,ラテン語風には「ロコモートル」でしょうね.


Locomotor Mortis(ロコモーター・モルティス)「」:
足縛りの呪い(Leg-Locker Curse)。第1巻でスネイプがクィディッチの審判をやった時、ハリーを守る為、ハーマイオニーとロンがスネイプにかけようと練習していた。映画『賢者の石』の未公開シーンではネビルがこの呪文をかけられている。ラテン語のmortisは、英語で死後硬直を意味するrigor mortisの語源である。

Locomotor は前出.
Mortis は,ラテン語のmors(=死,死体)の属格(「~の」の意).
?ちょっと,意味は理解しかねます.(?_?)


Lumos(ルーモス)「光よ」:
杖に灯りを灯す呪文。反対呪文は「ノックス」。ちなみに、「ルーモス」の後に「マキシマム」と唱えると、さらに光が強くなるその際の意味は「強き光よ」。

Lumos は,ギリシャ語風になってますけど,ギリシャ語辞典には,そのような言葉は見あたりませんね.
たぶん,ラテン語のlumen(=光,明かり,陽の光)からの造語でしょう.だったら,luminareあたりの方がそれらしいですけどね.
ちなみに,「マキシマム(maximum)(=最大の)」はラテン語.
lumosをギリシャ語風に造ったとすれば,これは男性形になっちまうので,ラテン語化してlumus(下記参照).そうすると,マキシマムじゃあなくて「マキシムス(maximus)(男)」じゃあないのかなあ.
もっと勉強せにゃ.(^^;
ちなみに,ルーメン(lm)は物理学の光束の単位ですね.


Lumus Solarum(ルーマス・ソレム)「?」:
『賢者の石』で登場。ハーマイオニーは、この呪文を唱えて日光を出現させ、悪魔の罠を退治した。

Lumus は前出.
Solarum は,たぶんラテン語のsolaris (=太陽の)からの造語.