2012年3月21日水曜日

名医の時間

相変わらず,健康番組が盛んです.

最近よく聞く言葉が「名医」.
マスコミ的には「ほら,こんなに『名医』がたくさんいるよ」といいたいのでしょうけど,冷静に考えると,これは困ったことなのです.
だって,「名医じゃない医者」がたくさんいることの裏返しなのですから.

また,「名医」が存在するということは,現代“医学”は,「医学」ではなく「医術」の面が多いことの「証明」でもあります.
「科学」は,教える側と教えられる側に一定のレベルがあれば,「伝授できる体系」のことを指しています.
「科学」は,ある「体系だった知識」の一群を意味していますから.

ところが,「名医」がいて,彼のノウハウを他者に伝えることが困難なのであれば,それは「科学」ではなく「技術」であることを示しています.
名医の弟子となって,特に並外れた才能を持つ人だけが,師匠の「ワザ」を受け継ぐことができる.これが「技術」の特徴です.言葉や知識の体系とはならない「秘伝」なのです.

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科学論の世界では,日本人には「科学」と「技術」および「科学技術」の違いがわからないと,よくいわれます.普段は,それでもいいのですが,ときどき確認しておかないと,世の中の動きがわからなくなることがあります.
科学技術庁(現・文部科学省)に,科学が理解できていないことなどね.
 

2012年3月16日金曜日

地質学と歴史との境界領域

面白い論文を見つけました.

それは,新関敦生さんの「地質学と歴史との境界領域」というものです.

(其の一)は「地質学からみた戦国時代のいくつかの古戦場について」という副題があり,其の二には「地下資源開発からみた戦国時代の一断面」という副題がついています.

其の三,其の四もあるらしいのですが,こちらは掲載雑誌が変わり,ネット上からはみることができません.しかし,いずれも地質学から見直した戦国時代論のようです.
読んでみたいものですが,入手はちょっと困難かと(一,二はネット上で入手できます).


また,地質学史探索を始めようかという気にさせました.
戦国時代どころか,はるか古代から人類は地下資源を使用してきたのに,これまでろくな解析がないのはなぜでしょうね.
以前,砂鉄のことについて,少し調べてみたのですが,惨憺たる結果でした.
それで,少し遠ざかっていたのですが,休憩期間中に,けっこう文献もそろってきたし,また,散歩してみるかな~~~.

あ,似たような研究に,盛本昌広(2008)「軍需物資から見た戦国合戦」というのがあります.
   

こちらも,これまでの戦国時代観と異なり,「資源」という方向から見直したものですが,わたしら地質屋からみたら物足りないものでした.
だって「軍資金」=「金銀」や,「武器」=「刀・鎧」=「鉄資源」ということには,まるでふれられていないのですからねえ.どこから,どういうふうに掘ったのか,どういう技術だったのか.


そういえば,世界遺産になった石見銀山だって,地質学的な総括はほとんどされていないという気がします.
まだまだ,やれることはたくさんありそう….

風物詩

風物詩
 むかしは馬糞で
  いま,犬糞

宮武軟骨


ちょっと前までは「車粉」だったですけどね~~~.

質問:車粉は規制されたけど,犬糞は規制されないのはなぜでしょう.
答は,スタッドレス化は大もうけできる業界があるけど,犬の糞を規制しても儲かる業界がないからです.
そんな気にさせる.底の浅い政府.恥ずかしい政治家.

次の風物詩は,「放射能混じりの瓦礫」かな.
政府が,なにかを強引に推し進めるときには,いつも,裏になにかあったものね~~.

補助金付けの地方自治体に,住民を守る強固な意志なんてあり得ないよね~~~.

こういうときのマスコミは,ニコニコ笑いながら「被災地のために」という“民間人”のコメントを流すけど,反対している人のコメントを流すなんてことは,無いものね.
消費税導入の時もそうでしたね.
原子力発電所が,どんどん増えていったときも….

マンションに使われた砂利のように,動かせなくなった状態で,危険なレベルの放射性物質が廃棄場から見つかったなんてことがなければいいですけどね.

「絶対無い」ということであれば,「水俣病」や「薬害エイズ」なんて言葉は,存在しなかったはずですしね.
これらの言葉は,いまは,個人の病気そのものをさす言葉ではなく,企業-政府(お役人)-学者の「ムラ」をさす言葉に意味が変わってますからね~~.
 

2012年3月13日火曜日

春近し

春近し
 煙草の吸いがら
  犬の糞

宮武軟骨


三月に入ると,天気のいい日はさすがに日差しが強くなります.
と,いっても,まだ,真冬日のほうが多いんですけどね.

日中の日差しに,日当たりの良い場所は雪解けが進みます.
きれいな白い雪が,だんだん薄ぼけてきて,やがては泥と変わらない色に.
そして,その下には,春の風物詩,たばこの吸いがら,犬の糞です.

さっさと片付けてしまいたいのですが,朝は凍っていて取り除けないし,日中は泥水の中なので,やはり掃除できません.
もう少し雪解けが進むまで…,いまは一番悲しい季節です….

2012年3月8日木曜日

アイドルの名前

もう,相当前からですが,TVにでてくる若い女性の名前がわかりません((^^;).
別に,それはそれでかまわないのです.
だいたいが二十代の半ばぐらいには,若い女性のしゃべる言葉が「キャピ,キャピ」としか聞こえなかったですから((^^;).

でも,娘たちとの会話する中で,まったくわからないのも,ちょっと困ったものなのです.
で,ようやく憶えかけた,うろ覚えのアイドルの名を確認しようと,ネットで検索すると,うろ覚えであればあるほど,「アイドル」ではなく「AVアイドル」にぶち当たります((^^;).
これはなにか裏があるらしく,いわゆる「AVアイドル」の名前は売れっ子である「アイドル」の名前に似せてつくってあるのと,普通に検索をかけた場合,そちらが出てくるように仕掛けがしてあるらしい.というか,そちらの方がたくさんでてくる.

別に,そういうのが出てきて驚くほどウブではありませんので,かまわないのですが,もうかなり昔の爺さまとの会話を思いだしました.
たまたま,うちの親父と二人でいたときに,TVに,ある若い女優が笑顔で出てました.

親父「こんなポルノ女優をTVに出して!」と不快そう.
私 「この人そんな人じゃあないよ.誰かと間違ってるんじゃあない?」
親父「そうかあ⤴」と納得できない様子.

まあ,当時ですら,若い女性がヌード・セミヌードの写真集をだすのはよくあることでしたから,親父がそう思ったのも無理はないかと思います(ただ,それと,そのときTVにでていた女優と一致していたかどうかは,定かではありません.そういうのって,ほとんど興味ないですから).


若いころから男性週刊誌などを読む習慣がなかったので,どういうふうに変わってきたのかは知りません.ただ,むかし,喫茶店でモーニングサービスをなどを楽しむときに,手近にあった雑誌をたまに見ることはありました.
ほとんどの話題について行けないので,ざっと眺めるだけでしたけどね.
最近,病院通いがあるので,待合室においてある雑誌に手を伸ばすと,とても待合室で(つまり,公衆の面前で)見られるようなものではない写真がたくさん載っています.驚いて,マガジンラックに戻します.
まあ,一人だったら,そのまま,見てるかもしれないですけどね((^^;).

いつの間に,こんなになってしまったのだろうと思います.
それこそ,むかし喫茶店で見た週刊誌から比べたら,私の頭では「ポルノ」としか判断できません.でも,現代では,これが普通なのかもしれませんね.
勘違いしてほしくないのは,他人の趣味について,とやかく言おうとしているわけでは,ないことです.


もしかしたら,親父が「ポルノだと思った,その,なにものかにでていた女性」とその時「TVにでていた女優」とはおなじ人だったかもしれない,ということです.

時代が変わり,価値観が変わります.
だんだん,ついて行けない人たち(私も含めて)が増えてくるわけです.
 

2012年3月2日金曜日

限界

何日か前のことだが,道新の「読者の声」欄に,ある民生委員からの投稿があった.
確か「民生委員はボランティアだから,結果について責めないでください」ということだったと思う.

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もう何年前になるか,私が町内会の総務部長をしていたとき,町内会費を集めていたある班の班長が「○○さんの言動がおかしいので心配だ」という.
「○○さん」というのは独り暮らしのおばあさんである.

「お金がない」
「泥棒が(しょっちゅう)入る」
「ものがなくなる」
その他,よく意味がわからないことを口走る.

私は,その足で,近所の民生委員のお宅にお邪魔し,その状況を説明した.
その民生委員は,すぐにいって調べてみるということだったので,ひとまず安心して,その場は終わった.

数日後,近所についでがあったので,その民生委員のところに行って状況を聞いてみようと思った.
町内会として,できることはないかと思ったからである.

ところが,民生委員の態度が一変していた.
「プライバシーのことは一切話せない」の一点張りである.
おまけに,“あなたは町内会費がほしいのかもしれないけど,民生委員には関係がない”というようなことまでいう.
私は,会費のことをいっているのではなく,同じ町内会に住むものとして心配だから,「どうだったのか」,「どう判断したのか」,「これからどうなるのか」が知りたいだけだし,「町内会に住むものとしてなにかできることはないか」が知りたいだけだといったが取り合わない.

まったく話にならないので「『町内会でできることは一切ないので,関わらないでくれ』という意味と解釈していいのか」といったら,目を丸くしていた.
たぶん,こんな失礼なヤツにはあったことがないのだろう.

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後日,町内会長にそのことを報告したら,「そうなのよ.あの人たちは,プライバシーを楯になにも話してくれないし,どうなったかも教えてくれないのよね.」「なにもしてないのかもしれないし…」ということだった.
世間知らずのわたしは知らなかったが,民生委員というのはそういうものというのが世間の評価らしい.

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なにがまずいのか.
答は簡単である.
民生委員がボランティアであることが,マズイのだ.

コミュニティ内の構成員が,なにかマズイ立場にいるようなとき,これからマズイことがおきそうなとき,市民が一番最初に思いつくのは「民生委員」だ.
その民生委員が,ただのボランティアで,どんな資格や能力があるのかもわからない人たちなのだ.
起きるかもしれない事件が,民生委員の性格や能力がボトルネックとなって,見過ごされてゆく.

行政の中にプロがいれば,簡単に,未然に防ぐことができる事件が放置されている.その行政側の楯になっているのが「ボランティアの民生委員である」といえるかもしれない.

米国の映画やドラマには,「ソーシャルワーカー」なる職業の人がでてくることがある.
彼,彼女らは資格と,ある程度の権力を持って,困っている人を助ける仕事をしているらしい.
日本にはそんな制度や資格者がいるのかどうか知らないし,見たこともないが,ボランティアの民生委員などなくして,ちゃんと仕事をすることが求められるプロをおくことが先決だと思う.
そうすれば,電気もガスも止められたまま餓死するなんてことが,起きるはずがない.


あれから,数年が過ぎた.
「○○さん」は,もう,この街にはいない.
どうなったのか気にはなるが,(行政から「ボランティア」という称号すらもらっていない)ただの市民には何ほどのできることもない.
プライバシーを楯に(誰のプライバシーだか…(--;),なにかできるはずのことが,することを許されない.