2010年8月23日月曜日

アイディア園長>アイディア市長?

 
 「アイディア園長」として有名な,小菅正夫さんが,次期旭川市長選に出るそうな.

 わたし,この人は「アイディア園長」なんかじゃあないとおもう.
 あの程度のアイディアなら,現場の職員なら,常に二つや三つ持っているハズだからね.逆にあの程度で「アイディア〜〜」とつくなら,「アイディア~~」の底が知れるというものです.

 小菅さんを評価するとするならば,その「マネジメント力」だとおもう.

 小都市の住民統治機構(首長+役場職員+議会議員を含む.場合によっては町内会長なんかも)というのは,完全なる邑社会で「大ボス・中ボス・小ボス」が,がっちりスクラムを組んでいる.
 獣医出身で,現場たたき上げの園長のアイディアなんて,(アイディアというだけでは)取り上げてくれるわけがない.完全に部外者だからだ.博物館の学芸員なんてのもおなじで,完全に外人部隊である.だまって働けばいい(いやなら出て行けといわれる)だけであって,意見なんか採り上げてもらえるはずがないのが普通である(いいたいことは,いっぱいあるが,グッとこらえる(^^;).

 そこを,わずかづつとはいえ,予算を確保し,少しずつ理想に近づけていった,その「マネジメント力」こそを評価すべきなのだ.

 なぜ,「アイディア園長」とよばれたのか?
 これは一つの戦略であるとおもう.

 展示が有名になれば,必ずマネをするヤツがでてくる.実際に,あちこちから視察があったろう.そのときに,「金(予算)がなくても,アイディアがあれば」といっておけば,かなりの数の連中がだまされる.「足らぬ足らぬは,工夫が足らぬ」というヤツ.
 視察のメンバーとして,役場職員や管理職,議会議員などを送り込んだ自治体は,たぶん簡単にだまされたろう.現場のことなんか,なんにも知らないからだ(そもそもが,「視察にいこう」なんて発想そのものがね…).
 帰ってから,現場職員に「アイディアを出せ」,「金は出さぬ」といってればいいのだから.

 しかし,視察メンバーに「現場職員」を入れた自治体は,だまされなかっただろう.だって,「現場職員」だ.旭山動物園がやったようなアイディアなんか,始めから持ってるに決まっているからだ.
 かれは,帰庁して,どう報告するだろうか.
 「アイディアを実現できるだけの必要最低限の予算*をつけないと,突破口はありません」というに決まっている.

 アイディアなんかいくらあっても,それだけではしょうがない.現実に「予算」というヤツをつける(ぶんどってくる)能力がないと,なんにもならないのだ.

 市長選では,「アイディア〜」よりも「マネジメント力」がキーポイントだね.必要なところに予算をつける能力さ.


 もうひとつ.
 小菅さんの業績を上げておかなければならない.

 それは,「文化は金になる」ことを示したことだ.いい方は汚いけど,「金」しか頭のない人たちには,こういういい方をしないとね. 

 「福祉・教育・文化」に予算が回ってくるのは,ものすごく景気のいいときで,しかももう,ほとんどのところに予算をつけてしまって,ほかにつけるところがなくなったころに,ようやっと予算が回ってくる(景気の後退が,はじまりかけたころね).
 で,景気の後退が始まると,真っ先に予算が取り上げられる場所でもある.

 理由は,「福祉・教育・文化」では,潤う業界が,ほとんどないからだ.「大ボス・中ボス・小ボス」が連なっている邑社会だからね.

 ところが,小菅さんは,旭山動物園の成功で「文化も金になる」ことを示してしまった.正確には「文化で人を呼ぶことができる」し,「人が集まれば,金が落ちる」ということだけどね.

 小菅市長が誕生して,これまでの邑社会では気付かなかった分野,「旭川の文化」を「街おこし」にジェネレートする実験をおこなってほしいものだとおもう(郷土史研究会もない悲しい町ですけどね).
 支持する市民は,「あの人なら,なにかするかもしれない」という単純な発想だと思うけどね.それで充分.今までの政治屋には無い臭いが…,すればよい.
 ん? 象の臭いか? (トラの臭いかもね(^^;)


* 必要最低限の予算:これは,効果を生み出すための「必要最低限」という意味で,ついてりゃいいという程度の「必要最低限」という意味ではない.「費用と効果」は完全に比例するものではなく,「少し」の予算では効果がみられない範囲というものがあるので,予算はそこまでつけなければ意味がないのだ.
 

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