2011年3月29日火曜日

プルトニウムが…

 
 プルトニウムがついに,原発事故現場から発見されてしまいました.
 自然状態では存在しない元素ですから,明らかに,原子力発電所から出たものです.

 例によって,たくさんの御用学者さんたちが,「危険だけど安全」というわけのわからない論理を展開しています.

 プルトニウムは危険です.
 どのくらい危険なのかわからないほど危険なのです.ある研究者は「角砂糖数個分で日本が全滅」するほど危険だといっています.一方,例えば,「プルサーマル」(プルサーマルのプルはプルトニウムのプルです)を実用化したい人たちは「事実誤認」だといってますが,じゃあどれほど危険なのかというと,簡単には実験を許可できないほど危険なわけです.だから,いまだにどれほど危険なものなのか,よくわからない.

 今朝の学者さんがいってました.
 過去におこなわれた核実験の時に日本列島の地面に降って,すでに地面に保存されているプルトニウムと同じくらいの量だから安全なのだそうです.よくわからない論理ですが….
 つまり,福島第一では,今回程度の事故でも,地中のプルトニウム量は「倍」になったということなのですが,どうして安全なのでしょうね.


 で,原子力関係者の説明はよくわからないので,今後のこととして,わたしの立場からひと言.

 プルトニウムは,非常に特殊な例を除いて,自然状態では存在していない元素です.その理由は「放射性元素」なので,時間が経つとどんどん減ってゆくからです.もとの存在量が半分になる期間を「半減期」といっています.半減期が短い241Puの半減期は14.4年だそうです.
 一方で,プルトニウム爆弾をつくるのにもちいられる239Puの半減期は約2.5万年です.これは,原子炉の使用済み燃料には普通に含まれているそうですが,その存在量は,よくわかりません.
 ただ,今回のような事故でも(冷却水が漏れただけだといってます),過去の核実験によって蓄積された土中のプルトニウム量を倍にするほど含まれているわけです.

 わたしはそちらのほうの専門家じゃあないから,それがどういう意味を持つのかについては,何も言うことができません.でも,安全だ,安全だという学者先生の頭の中には,ないのではないかと思われる時間の感覚について,すこしいっておきたいことがあります.

 239Puの半減期は約2.5万年.
 2.5万年という時間はイメージしづらいと思いますね.

 たとえば,いまから2.5万年前というと,どんな時代でしょうか.
 一番最近の氷期(=ヴュルム氷期)が終わったといわれるのが,約1万年前.
 2.5万年前というと,この氷期が最盛期を迎えている頃でしょうか.
 人類はといえば,マンモス・ハンターといえば聞こえはいいですが,要するにまだ旧石器による狩猟生活の時代.

 よっく,考えてください.
 いま漏れたプルトニウム239は2.5万年経っても,半分にしかならないのです.その間に,人類が達成したことといえば,もちものが旧石器から携帯電話になったぐらいの,わずかな進歩しかしていません.
 安全になるのは(基準すらありませんが),もとのこぼしてしまった量に規制されますが,5万年経っても1/4にしかなりませんから,いつになるやら.
 そういう物質をコントロールできると考えているとすれば,きっとその人は,自分を神だと思っている人にちがいありませんね.「原子力の神」は我々普通の人間から見れば,「紙一重の人物」のほうに見えますね.
 違いますでしょうか?

 あ.もうひとつ.
 今回の地震・津波は1000年に一度ほどの規模だというのが,関係者の評価のようです.
 つまり少なくとも,1000年くらい前から現在までに一度くらいはあったと考える方がいいようです.人類が文明らしきものを築いてからも何度か体験している(洪水伝説は世界中の民族がもっています).
 プルトニウム239が半減期を迎えるまでには,この程度の地震・津波は25回くらいは経験するはずです.その中には,今度は,一万年に一度ほどの地震・津波も体験することになるでしょう.その規模については,考えたくもないですね.
 

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