2015年6月13日土曜日

「北海道鑛山畧記」:(三)石炭の「イクシュンベッ石炭」

●イクシュンベッ石炭

(地名)
石狩國ソラチ郡ポロナイ村字イクシュンベッ*1
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*1:石狩國ソラチ郡ポロナイ村字イクシュンベッ:現在の三笠市.郁春別,幾春別などの字が当てられた.


(鑛山實況)
明治十三年中,始めて「イクシュンベッ」河岸に於て發見し,仝年中,島田*1山際*2両技手,概測をなす.十四年中,米人鑛山學士「ポッタァ」氏*3之を巡見し,次て山内*4技師,稍精細なる調査をなせり.
又,仝十九年,大島*5桑田*6の両技師,實測を施せり.而して,此諸氏の報告によれば,其質稍々「ポロナイ」炭に優り,其量は海面上大約三百八拾万噸餘ありと.仝二十年,官に於て鐵道を布設し,大に事業を興さんとす.然るに二十一年に至り,事故ありて,悉く北海道士族村田堤*7へ借區開坑を許可す.爾來,仝人に於て事業を繼續し,盛に掘採せり.
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*1:島田:島田純一.
*2:山際:山際永吾.
*3:「ポッタァ」氏:Fredrick Antony Potter;英国人鉱山土木師.
*4:山内:山内徳三郎.
*5:大島:不詳.明治14年の工部省・鉱山局には御用掛准奏任として大島高任が在籍していたので可能性はあるが,「技師」扱いではないと思う.島田(島田純一)の誤記かもしれない.
*6:桑田:桑田知明.
*7:村田堤:士族,薩摩閥.
 

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