2011年8月27日土曜日

APHETOHYOIDEA

Grade and class † APHETOHYOIDEA: Watson, 1937 (Berg, 1942, p. 353.)

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APHETOHYOIDEA = apheto-hy-oidea=「緩めた」+「舌骨の」+「~類似の形からなるもの」(=「緩舌類」)

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apheto-は,ギリシャ語の[ἄφετος]=「緩める,広げる;自由にする」を,ラテン語の《合成前綴》化したもの.

hy-は,ギリシャ語の[ὑοειδής]=「Υ (υ)型の」を,ラテン語の《合成前綴》化したもの.別に「舌骨の」と,「豚の」という意味を持ちます(「豚の」は語源が別).

-oideaは,調査が困難でした.
ギリシャ語の [τό εἶδος]=《中》「見られるもの;形.種類」は,ラテン語風につづると,eidosになるはずですが,実際にはoidesと綴られています.
これについては,何を見ても解説がみつからないのですが,以下のように考えらました.

ギリシャ語では,語の連結は一般に[-ο- (-o-)]が使われます(これに対して,ラテン語では(-i-)).そうすると, [τό εἶδος]が《合成後綴》化して《連結形》になると, [-ο-εἶδος]になります.[-οεἶδος]はラテン語綴化の過程で,[ει (ei)]は(i)に,[ος (os)]は(us)に変えられる習慣があります.結果,[-οεἶδος]は(-oidus)になります.
このそうすると,(-oidus)は,《英語》などで「~似た」を意味する(-oid)の語源ですね.

-oidusの《語根》は-oid-.そうすると,
-oideus = -oid-eus=「~類似の」+「~からなる」という《合成後綴》が生み出されます.

これは《形容詞》ですから,《三性変化》します.
《合成後綴》《形容詞》-oideus, -oidea, -oideum =「~類似の形からなる」(順に《男》《女》《中》)

《形容詞》は《複数形》をサポートしますから,
《合成後綴》《形容詞》《複》-oidei, -oideae, -oidea =「~類似の形からなる」(順に《男》《女》《中》)
と,活用されます.
これらは《名詞》化して,=「~類似の形からなるもの」という意味を持ちます.

この《名詞》《複数形》-oidei, -oideae, -oideaは,いずれも分類単位の《語尾》に使われていますね.

ということで,-oideaは「~類似の形からなる」という意味の《合成後綴》《中性形》でした.

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で,すべての語根をあわせると,
APHETOHYOIDEA は apheto-hy-oideaという構造で,「緩めた」+「舌骨の」+「~類似の形からなるもの」という意味を持ち,(現在は使われていませんので,日本語の訳語はないようですが)「緩舌骨類」と訳せます.

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なお,APHETOHYOIDEAは,下顎骨と舌骨弓の間の隙間に,完全な「鰓」をもつことから,名づけられたんだそうです.

(2011.08.27.)

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