2011年6月10日金曜日

ACANTHODII

class ACANTHODII Owen, 1846

1909: subclass 4. † ACANTHODII: Goodrich, (Berg, 1940, p. 348)
1923: order ACANTHODEI: Jordan, (Berg, 1940, p. 349)
1930: subclass ACANTHODII: Goodrich, (Berg, 1940, p. 351)
1932: order † ACANTHODII: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)
1934: I-1. ACANTHODII: Säve-Söderbergh, (Berg, 1940, p. 351)
1936: sub-branch 1. † ACANTHODII: Stensiö, (Berg, 1940, p. 351)
1985: class ACANTHODII: Mueller, A. H., p. 180.

---
ACANTHODIIは「Acanthodesの仲間」という意味で造られたと考えることができます(でも直感的に,oder, classレベルの分類群単位に属名をもってくるだろうかという疑問はありますが).

そうすると,
ACANTHODII = acanthod-ii=「 Acanthodes の」+《不詳》
ACANTHODEI = acanthod-ei=「 Acanthodes の」+《不詳》
となって,解析不能になります.

つまり,属名Acanthodesをもとに造られた名称ではない可能性が高いことになります.

なお,Acanthodesは,ギリシャ語の[ἀκανθώδης]=「棘の多い」《男女・対格・複数》,[ἀκανθώδες]《男女・呼格・単数》もしくは[ἀκανθώδης]《男女・形容詞》と一致しますが,《対格》《呼格》《形容詞》を「属名」として使うことは推奨されていませんので,一応論外ということにしておきます.ここで,《男女・形容詞》は,そのままの形で,《名詞》扱いされることがありますので,採用された可能性があります.

--
ということで,
ACANTHODII = acanth-odii=「棘のある」+「~に類するもの《男複》」=「棘魚類(?)」
ACANTHODEI = acanth-odei=「棘のある」+《不詳》
という形を考えます.

acanth-は,ギリシャ語の[ἡ ἄκανθα]=《女》「棘,針」を,ラテン語の《合成前綴》化したものです.

-odiiは,-odius (-ōdius)(オーディウス)= -ōd-ius= -ōdes-ius=「~に類する」+「~の.~(に)属する,~(に)関係する」の《複数形》です.そうすると,acanth-odiiは《形容詞》《複数》ということになりますが,《名詞》化して=「棘に類するもの《男複》」として使われているのだと判断できます.
和訳は「棘魚類」となっています.

一方,-odeiは解析不能.
いろいろ探ってみると,ギリシャ語の[ἀκανθώδει]=《形容詞》《双数》「棘の多い,刺々しい」は,ラテン語綴り化すると,acanthodeiになります.しかし,ギ-ラ変換の習慣によると[ει (ei)]は (i)になるのが普通なので,acanthodeiではなくacanthodiになり,おまけに《双数》を使う意味が分かりません.
したがって,-odeiは文法ミスの可能性が高いのです.

--
この名称は,もっと明瞭になるように,class(綱)ならば,ACANTHOD-I-MORPHA,orderならば,ACANTHOD-IFORMESとすべきでしょう(実際,最近はそういう言葉も使用されているみたいです).

(2011.08.22:修正)


(2011.08.27:修正)


0 件のコメント: