2013年2月3日日曜日

Scaphitesの展開(Ⅳ)

 
1927年には,リーサイド氏[John B. Reeside, Jr.]が,スカファイテスの仲間として,デスモスカファイテス[Desmoscaphites]という属名を提唱しています.もちろん,ラテン語的には「デスモ・スカプァイテス」と発音します.

「デスモ・」はギリシャ語のデスモス[δεσμός]から.デスモスは「紐,帯」などの「縛るもの,束ねるもの」を意味する言葉です.これが,“罪人を縛るもの”から>「投獄」や「ドアの鍵」という意味になったりもします.一方で,「束ねたモノ」>「束」も意味するようになります.
スケッチの標本は一部欠けているようですが,「束ねたモノ」のように見えますかね?

同じアンモナイトでは,デスモセラス[Desmoceras Zittel, 1885]や,デスモフィライテス[Desmophyllites Spath, 1929]にも使われています.
「デスモセラス」は「デスモ・ケラス」,「デスモフィライテス」は「デスモ・プィライテス」がラテン語的発音.


「デスモ・」をつかった学名では,新生代の海生哺乳類「デスモスチルス[Desmostylus]」が日本では有名ですね.
「デスモ・スチルス」は,ギリシャ語の[δεσμός]+[στῦλος]=「束の」+「柱」という合成語をラテン語綴り化したもの.図はマーシュ氏が1888年に,最初に記載した時のデスモスチルスの歯のスケッチです.「束ねた柱」の様でしょう?
マーシュ氏は,このときはカイギュウの仲間と考えていました.

[続く]
 

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