2007年3月22日木曜日

最上徳内の地質学(3)

 不要だろうとは思いつつ,「日本庶民生活史料集成」の第四巻(探検・紀行・地誌 北辺編)を借りだして(例によって,図書館の壁を乗り越えて(^^;),最上徳内「蝦夷國風俗人情之沙汰」を見直してみました.

 これは,「東大図書館旧南葵文庫本を底本とし,北大図書館所蔵『蝦夷風俗人情之沙汰一名蝦夷草紙』を参考」にしたものだそうです.つまり,前に示した徳内の師・本多利明によって書き加えられている系列ですね.これによると,「産物の事」の項目(とくに地質・鉱物関連だけ)は,・金山・銀山・銅山・鉄山・鉛山・黄銅・余糧・碗青・硯石・鍾乳石・石炭・明礬・緑礬・温泉の14項目ありました.これまで確認した三冊総て記述(内容ではなく項目数)が異なることになりますね.心配なので,「北門叢書」版も確認しなければね(大学図書館は現在使用不能です(-_-;).
 ちなみに,北海道大学図書館蔵書の「蝦夷草紙」は,現在,画像が公開されていて,見ることが可能です.しかし,上記「蝦夷風俗人情之沙汰一名蝦夷草紙」と表題するものは見あたりません.また,この蝦夷草紙に関しては,複数のものが所蔵されているので,別途検討する必要がありそうです.

 さて念のために再録しておくと,吉田常吉(1965編)の「産物の事」の項目(とくに地質・鉱物関連だけ)では,
・黄銅・餘糧・碗青・硯石・鍾乳石・石炭・明礬・緑礬・温泉の9項目.

 須藤十郎(1994編)の「産物の事」の項目(同上)では,
・金山・銀山・銅山・鉄山・鉛山・黄銅・余糧・碗青・硯石・鍾乳石・石炭・明礬・温泉の13項目.

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