2011年5月22日日曜日

ACANTHOPTERYGII

order ACANTHOPTERI Müller, 1844 (Berg, 1940, p. 346).

1844: order ACANTHOPTERI Müller, (Berg, 1940, p. 346).
1904: suborder ACANTHOPTERYGII: Boulenger, (Berg, 1940, p. 347).
1909: suborder 10. ACANTHOPTERYGII: Goodrich, (Berg, 1940, p. 348)
1932: order ACANTHOPTERYGII: Woodward, (Berg, 1940, p. 350)

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ACANTHOPTERI = acantho-pteri =「棘の,棘のある」+「~翼《男複》」
ACANTHOPTERYGII は acantho-pterygii =「棘の,棘のある」+「~翼《男複》」

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acantho-は,ギリシャ語で「棘,針」を意味する[ἄκανθα](アカンタ)をラテン語語根化したもの.acanth-, acantho- (アカントゥ・,アカント・)=「刺の,刺のある」という意味を持ちます.

-pteri は,もとはギリシャ語で以下のように変化した結果です.
ギリシャ語の[τό πτερόν]」=《中》「羽,翼」が,ラテン語の《合成前綴》化し,pter-, ptero- =「翼状の」となります.これに《形容詞》化語尾の-usがついて,-pterus = -pter-us=「羽の,翼の」となります.《形容詞》は《三性変化》するので…,
《合成後綴》《形容詞》-pterus, -ptera, -pterum =「羽の,翼の」

《形容詞》は《複数》をサポートするので…,
《合成後綴》《形容詞》-pteri, -pterae, -ptera =《複》「羽の,翼の」
となります.

上記,-pteriはこの《男性複数》形です.
したがって,ACANTHOPTERI は acantho-pteri という構造で,「棘の,棘のある」+「~翼《男複》」という意味を持ち,「棘鰭類」と訳すことができます.


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上記の-pteriに対し,-pterygii は以下のように変化した結果です.

ギリシャ語で「《女》翼」を意味する[ἡ πτέρυξ] (プテリュクス)が,ラテン語の《合成前綴》化し,pteryg-, pterygo- =「翼の」という意味を持ちます.

この《合成前綴》の《所属・関係》をあらわす《合成後綴》-iusが合成されて,
-pterygius = -pteryg-ius=「翼の」+《所属・関係》:「翼の」の《形容詞》形.

《形容詞》は《三性活用》しますので,
《合成後綴》《形容詞》-pterygius, -pterygia, -pterygium =「羽の,翼の」

《形容詞》は,《複数》をサポートしますので…,
《合成後綴》《形容詞》-pterygii, -pterygiae, -pterygia =《複》「羽の,翼の」

つまり,-pterygiiは「羽の,翼の」をあらわす《男複》形.

こちらも「棘鰭類」と訳すことができます.
語源となったギリシャ語が若干違うということですね.

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なお,[ἡ πτερίς]=《女》「オシダ」を語源とするpterisの変化形は,しばしば(市販の辞典などでも)混同され,「シダ,翼」とゴッチャになっていることがあります.

これは,(たぶん)ですが,
pteris = pter-is [πτερ-ις]=「羽の,翼の」+《近い関係》=「シダ」
という変換式があり,「シダ」の形状が「翼」に似ていることからできた名前が,ラテン語変換の過程でゴッチャにしてしまった言語学者がいるということなんだと思います.

(2011.08.29:修正)

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