2011年5月10日火曜日

魚の分類(1)

 
 「苦しい時代に」をブラシアップするために,魚の分類と進化についてしらべています.

 以前,「シャケの進化」をしらべたときに,魚類の分類がサッパリわからないことに悩みました.
 取っ掛かりがまるでないのですね.

 たとえば,学名の記載者が記述されていないので,原著に当たれない.これは,上位分類については,特にその傾向が強く,「○○目」とか,分類名はあるのに,定義者・定義がわからない.これは,魚類分類では,当たり前のようになっていて…,正直な話,分類してるとはとっても思えない.定義がみつからないんですから.
 第一には,魚の分類なんてやってる人が,日本には(たぶん)存在しないんだろうということなんでしょう.と,思っていたら,これは外国でもほぼ同じ状況のようです.分類名に記載者(定義者)が示されていないのが普通です.だからぜんぜんわからない.
 わからないから,分類が混乱してることすら,あいまいなまま.

 たとえば,魚類[pisces]という言葉は,すでにいくつかの理由で分類名としては使われていません.
 最初に,pisces(魚類)という言葉を使ったのは,どうやらLinnaeus (1758)らしいです.
 ところが,Linneが定義した(原著が入手できないので,どのように書いてあったかはわかりません)piscesは以下のようになっていました(らしい(^^;).

class PISCES Linnaeus, 1758
├ order APODES Linnaeus, 1758(ここだけの訳語:無足類)
├ order JUGULARES Linnaeus, 1758(ここだけの訳語:喉位類)
├ order THORACICI Linnaeus, 1758(ここだけの訳語:胸郭類)
├ order ABDOMINALES Linnaeus, 1758(ここだけの訳語:腹腔類)
└ order BRANCHIOSTEGI Linnaeus, 1758(ここだけの訳語:鰓蓋類)

 で,ここに示された[order](目)はどれも,現在は使われていません.ということは,PISCESの構成要素がないんだから,PISCES Linnaeus, 1758自体も成立しない.
 誰かが,たとえば,class PISCES Linnaeus, 1758 (emend. Gonbe, 19xx)として訂正していれば,それを使えますが,そんなのはみつからない.だから,class PISCES Linnaeus, 1758は“死語”ということになります(それでも使われている場合がある).

 これがわかるだけでも数年かかっています.それほど,魚の分類に手を付けるのは難しい(^^;.
 だから,どうにもならないのですが,以前,古書店からBerg (1940) Classification of fishes both recent and fossil. A. J. Reprint Agency, New Delhi, 517 pp.というのを入手していたのを,すっかり忘れていたんですが,「苦しい時代に」を書こうとして,ふとその存在を想い出したわけです.
 そしたら,原文はロシア語なんですが,後半に英訳がついていて,魚類分類の研究史が載ってました.
 しばらく,それで整理してみようかなと考えています.
 終わったら,結局,わからなかった…と,なりそうですが,まあ,このブログは探索メモですから((^^;).
 

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