2011年5月14日土曜日

SIRENOIDEI

order SIRENOIDEI Müller, 1844.


order SIRENOIDEI: Jordan, 1923 (Berg, 1940, p. 349)

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ギリシャ語の[Σειρήν](セイレーン)はラテン語綴化するとSeirenですが,ラテン語ではSiren (Sīrēn)(シーレーン)が用いられています.これは「海の女精シーレーン*」のこと.セイレーンはもともと,上半身が人間の女性で下半身が鳥の姿をしていましたが,いつの間にか,半人半魚の姿で描かれるようになりました.要するに“人魚”ですね.
ちなみに,この伝説の正体と考えられるようになった動物のグループを[SIRENIA](シーレーニア)とよんでいます.ジュゴンやマナティのことですね.こちらは哺乳類.

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SIRENOIDEIは,定義がわからないのでなんですが,Müller (1844)ではsubclass DIPNOIに,Jordan (1923)では subclass DIPNEUSTAに分類されていますので,今でいう「肺魚類」の一グループだと考えられていたと思われます.死語なのか,再定義もしくは同物異名とされたのかは不明.

さて,SIRENOIDEIはSirenに「類似」を意味する-oideusの変化形.《男性複数形》-oideiを合成したもの.意味は「人魚類類」ですが「半魚様類」とでも訳しておきますか.
SIRENOIDEIは日本では紹介されたことがないのか,和訳は見つけられませんでした.ま,哺乳類と間違われそうですから,使用しないのはいいことですね.

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ただし,困ったことに,両生類にgenus Siren Österdam, 1766 が存在し,
suborder SIRENOIDEA Dubois, 2005
 family SIRENIDAE Gray, 1825
  genus Siren Österdam, 1766**
  genus Siren Linnaeus, 1767**

があります.
哺乳類のほうのSIRENIAは,まずいことになると思いますね.

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* 日本では「セイレン,サイレン」とも表記される.「セイレン」は「セイレーン」の誤記.「サイレン」は英語の日本語表記.
** 該当する属名の定義者が二人います.どちらに優先権があるのか現時点では判断できないので,両方ともあげておきます.

(2011.09.22.:修正)

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